【ディナン】ブルターニュ公爵の威厳溢れるディナン城!Château de Dinan

公開日 : 2019年09月23日
最終更新 :

中世の雰囲気残るディナンの街を訪れたら見逃せないのが、ディナン城。その装飾や構造の複雑さは、歴代のフランス王朝が使用したパリ郊外にあるヴァンセンヌ城と類比されます。今回は、街の中心を見つめるようにそびえるディナン城の魅力を紹介したいと思います。

◇ブルターニュ公爵によって築かれた城

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イギリスへの亡命から帰国したジャン4世ブルターニュ公爵によって、ディナン城の建設が取り決められたのが1380年のこと。権力を印象づける威厳のある城の高さは45メートルにおよび、村の中心となる広場を見渡すことが出来る構造となっています。

ディナンの街が1598年にアンリ4世の部隊によって占領された後、改修に莫大な費用が掛かることから一度は廃墟となったものの、1703年からは牢獄として使用されました。1906年にディナン市が購入し、1908年からは博物館として一般公開されています。

◇城内は2019年にリニューアル

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2019年にリニューアルのための工事が終わり、城内は当時の面影を伝えるように改装が施されました。1階には倉庫や厨房、2階にバンケット・ホール、3階に礼拝堂と応接間、上の階にはブルターニュ公のための住居空間と衛兵の間があります。

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上の階へ行くにつれて、ブルターニュ公と親しい関係の人しか立ち入ることができない造りとなっていました。防衛的でありながら、光を取り込むための大きな窓が設えられ、快適に過ごすための住居として用いられていたことがわかります。

◇城の中心にある小さな礼拝堂

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城の中央に据えられた礼拝堂には植物をモチーフとした繊細な模様が刻まれ、当時からこの小さな祈りの場が神聖な空間として大切に扱われていたことを伺い知ることができます。厚みのある石組みの中には、神聖な壺や、聖水盤などを収める戸棚が設けられています。1703年に牢獄として改築された際に礼拝堂としての機能は失いましたが、現在でも一部が残され、ステンドグラス下の扉から出入りすることが出来ます。

◇コエトカンの塔からは旧市街が見渡せる

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城壁から突き出すように聳え立つもう一方の塔はコエトカンの塔(Tour Coëtquen)と呼ばれ、フランソワ2世ブルターニュ公爵によって1476年から1481年にかけて建てられました。次第に増していくプロテスタント軍からの攻撃の脅威に備え、16世紀終わりにメルクール公爵によって改築され、大砲による砲撃にも耐えうるディナン南西部を守る重要な拠点となったそうです。現在は14世紀~15世紀の戦争の技法を学べる品々が展示されている他、屋上からはディナンの美しい旧市街を見渡すことができます。

コエトカンの塔の屋上では無料でスタッフによる城の解説(フランス語のみ)を聞くことができ、街の詳しい歴史や城内の見所について学ぶ事も出来るのでお勧めです。

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それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。

〈文・写真:高津竜之介〉

■今回紹介した場所

・ディナン城(Château de Dinan)

・住所:Rue du Château 22100 DINAN

・アクセス:「ディナン駅」から徒歩20分

筆者

フランス特派員

高津 竜之介

NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。

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