【カンペール】アンリオ陶器工房前の注目すべき庭!小修道院の庭(Jardin du Prieuré)

公開日 : 2019年08月19日
最終更新 :

カンペール焼きの老舗アシュべー・アンリオ工房に行ったら、ぜひ一緒に訪れて欲しいのがロクマリア小修道院の庭。今回は、フランス文化省による「注目すべき庭園(Jardin remarquable)」にも登録されている魅力溢れる庭園を紹介したいと思います。

◇カンペール工芸文化の中心地ロクマリア地区

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旧市街からオデ川を挟んで反対側にあるロクマリアという地区には、フランスで最も歴史ある「アシュべー・アンリオ ファイアンス陶器工房 」(Faïencerie HB-Henriot)やカンペール陶器博物館などがあり、カンペールの工芸文化を支える象徴的な地域です。アンリオ工房も面する落ち着きのある広場の反対側、オデ川に沿って整備されているのが小修道院の庭です。

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◇ロマネスク様式が美しい修道院のすぐ近く

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名前の通り、道を挟んで反対側にはロクマリア大修道院および小修道院、ロマネスク様式が美しいロクマリア・ノートル・ダム教会があります。どちらも11世紀に起源を持っており、フィニステール県に存在するロマネスク様式の建築物としては最も歴史ある場所として知られています。とりわけ、中庭を望む回廊が素晴らしいので小修道院の庭と併せて見学するのがお勧めです!

◇機能的な中世の庭

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小修道院の庭は、住民生活を支えるための植物が育てられていた中世の機能的な庭からインスピレーションを受けており、3つの空間から構成されています。

- 生活の庭と呼ばれる1つ目の庭は、栄養豊富な木の根、葉野菜、フルーツ、ハーブなど食用の植物が植えられています。例えば、庭に植えられた大麦、ささげ(マメ科の一年草)、マスタードなどは当時の食卓のベースとなる食材でした。

- 2つ目は薬草の庭。医療用の植物が植えられています。当時の修道士は秘伝の治療薬を自ら調合していました。基本的には自然の中で薬草を集めていたそうですが、珍しい品種や外来植物などは庭で大切に育てられていたそうです。

- 3つ目は衣服用の庭と呼ばれ、亜麻、アサなどの服の材料となる植物が育てられています。また、ベニバナなど染料として用いられていた植物も植えられています。

◇天国を象徴する庭園

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このように、中世の庭は非常に高い機能性を持っていることを特徴としていましたが、同時に外界の地獄と対置される天国を象徴する場所でもありました。中央に置かれた井戸や泉はエデンにある川から流れ込む清らかな水源のシンボルとも言うべき存在でした。

また、白ユリの花は無垢を連想させるなど、それぞれの植物には象徴的な意味が込められていたそうです。

庭では天然石に手書きの説明書きがなされているなど、愛情を持って管理されていることが伝わってきました。心温まる素敵な空間で、リラックスしてみてはいかがでしょうか?

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それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。

〈文・写真:高津竜之介〉

■今回紹介した場所

・スポット名:ロクマリア小修道院の庭(Jardin du Prieuré LOCMARIA)

・住所:Place Berardier, 29000 QUIMPER

・アクセス:「カンペール駅」から徒歩30分

筆者

フランス特派員

高津 竜之介

NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。

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