【レンヌ】絵本の世界に迷い込む!木組みの家が連なる街並み

公開日 : 2019年03月05日
最終更新 :

レンヌ駅から10分ほど歩くと、木組みの家が連なる旧市街へと辿り着きます。傾いた家々がバランスを取りながら寄り添っている姿は、なんとも愛らしい景観です。家を支える木々は赤褐色や藍色、緑色に塗られ、一軒一軒異なる個性的な格子模様はどこを切り取っても絵になる街並みです。

中世の街並みを残す旧市街

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そんな中世の趣が残るレンヌですが、実は1720年の大火事によって街の大部分が焼失してしまいました。その時の火災から逃れた建築物群が、現在の旧市街を形づくっています。15世紀~16世紀の民家や、彫刻が施された貴族の館、不規則に並べられた石畳の道など、古くからの街の特徴を今なお留めています。

レンヌの木組みの家の特徴

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同じ木骨組みの建築でも、アルザス地方やノルマンディー地方に多く残る家々はコロンバージュ(Colombages)、レンヌの家々はパン・ド・ボワ(Pans de bois)と呼ばれます。その違いは、より高層構造をしている事と、上階部分が道路へ張り出す持送りアーチ構造(Encorbellement)をしているところです。狭い土地を活用してより多くの居住空間を確保することが出来るのに加え、雨宿りが出来るという利点もあったようです。一年を通じて雨の多いブルターニュ地方ならではの理由に納得です!

木造民家の禁止と鱗状の外壁の秘密

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カラフルな街並みが可愛らしいレンヌの通りですが、17世紀~18世紀は現在とは大きく違った姿をしていたと言われています。その理由は、先ほど触れた火事と大きく関係しています。17世紀初頭から火事が頻繁に発生するようになり、王令によって新規の木造民家の建設が禁止されました。それに伴って、石材を用いた建物の建築が推奨されるのですが、当時の住民は木組みの外壁を石膏などで覆い隠しました。屋根材に使われるアルドワーズと呼ばれる石を壁に貼ることもあったそうで、現在でも鱗のような外壁が残っている建築もあります。

レンヌで最も古いと言われる1505年建築の民家

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レンヌの歴史地区を散歩していると目に飛び込んでくるのが、鮮やかな赤に塗られた民家です。ブルトン語で「古い家」を意味するティ・コズ(Ti-coz)と呼ばれるこの家は、1505年に建てられたと言われています。玄関前に飾られた彫像は、聖セバスチャンの殉教者を象っているとされ、当時流行した感染病ペストから護ってくれると信じられていたようです。建設当時は聖職者の寄宿所、その後評判の良いオーベルジュ、次いでクレープリーと歴史と共に様々に用いられてきましたが、現在はエル・テアトロ(El Teatro)と呼ばれるナイト・クラブとして営業をしているようです。

入り組んだ細い路地に木組みの家が並ぶレンヌの旧市街は、絵本の世界に迷い込んだかのような素朴で可愛らしい雰囲気です。レンヌにはメトロもバスもありますが、周りを見ながらゆったり歩くのがとても楽しい街です。訪れたら、ぜひとも散策してみてくださいね!

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それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。

〈文・写真:高津竜之介〉

筆者

フランス特派員

高津 竜之介

NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。

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