ベートーヴェンの名曲「エリーゼのために」は、レーゲンスブルク生まれの13歳の女性のために作られた!?

公開日 : 2020年01月13日
最終更新 :

ベートーヴェン・シリーズ第三弾です。

カナダ人の音楽研究家であるリタ・シュテブリン氏によると、「エリーゼのために」のあのエリーゼは、レーゲンスブルク人だったということですが、これはかなり新しい説です。

2018年3月に、彼女の講演を聞きそびれた私は、ドイツ語で彼女がPDFにまとめたものをガイド仲間であり、かつ音楽家でもあるカナダ人アンから転送してもらいました。当時、まだまだ世の中に出たばかりの説なのですが、昨晩引っ張り出して来て、日本語でまとめてみました。カタカナの名前がたくさん登場し、混乱しそうですが、よろしければ、お付き合いください。

(注意: 単なる翻訳をしたわけでなく、私の言葉で、ネットで見つけた他の情報を含め、ご案内しています。)

「エリーゼのために」のエリーゼとなる人の候補は3人。

最も有力とされるのは、オペラ歌手であったElisabeth Rockel(1793-1883)。(リンク先はウィキペディア英語版)

「エリーゼのために」が作曲された1810年当時(ベートーヴェンは40歳)、エリザベートは17歳。20歳の時、ハンガリー出身の作曲家かつピアニストである35歳のJohann Nepomuk Hummelと結婚しています。

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別の候補は、ウィーン生まれのTherese Malfatti(1792-1851)。(リンク先は、ウィキペディア日本語版)

テレーゼはベートーヴェンの生徒で、1810年にベートーヴェンから求婚されたとウィキペディアの日本語版には書かれている一方、ドイツ語版では2010年の別れの際に自分を忘れないでほしいという趣旨の恋の破局? に似た手紙を書いているとなっています。実際は翌1811年にベートーヴェンの友人と結婚しています。

話は飛んで、1772年にレーゲンスブルクで生まれたメトロノームの発明者、Johann Nepomuk Mälzel(1772-1838)とベートーヴェンは、長い付き合いの友人同士。(リンク先は、ウィキペディア英語版)。

ヨハン・ネポムク・メルツェルはなんと、難聴のベートーヴェンのために、1812年、補聴器のようなものを作ってプレゼントしているほか、頻繁に交流があったようです。そして、ベートーヴェンは、このメトロノームを真っ先に取り入れた作曲家としても知られています。

エリーゼ3人目の候補者ですが、1796年レーゲンスブルクで生まれたElise Barensfeld。(リンク先はウィキペディア英語版)

才能のある歌い手で、メトロノームの発明者であるヨハン・ネポムク・メルツェルと一緒にウィーンに住んでいる時、先に紹介したふたり目のエリーゼ候補である、テレーゼにピアノを習っていました(メルツェルは、「エリーゼが父親と別居しており、母親は早くに亡くなったため、」メンター(mentor)、つまりエリーゼの育成者、指導者でありました)。

カナダ人リタ・シュテブリン氏の説では、当時13歳のエリーゼ・バレンスフェルドのために作曲した「エリーゼのために」を、この13歳のエリーゼにピアノで弾かせてほしいとベートーヴェンに頼まれたとなっています。

ピアノの先生であったテレーゼが「エリーゼのために」のオリジナルの楽譜を持っていたのですが、ベートーヴェンから委ねられたわけですから、当然といえば当然かと。そして、13歳の少女のために作曲したから、そのレベルで弾ける曲なのだそうです。

ちなみに、レーゲンスブルクはこのエリーゼのためにが作曲されたときは、歴史の変革期でした。自由都市であったレーゲンスブルクがナポレオンの影響を受け、その後バイエルン州に取り込まれてしまいます。

余談ですが、この原稿をひと通り書いて、夜中にベッドに入った私は、まだベートーヴェンについて考えていました。

そういえば、ベートーヴェンのソナタ第24番は、別名テレーゼというタイトルがついているが、これはきっと、エリーゼのためにの候補ふたり目のテレーゼに違いない、明日起きたら調べよう! と。

翌朝調べてみると、「ベートーヴェンの教え子のテレーゼとある。」

やっぱり! と思って続きを読むと、がっかり。

さすが女性との話がたくさんあるベートーヴェンです。

このテレーゼは1775年にスロバキアで生まれたテレーゼであり、エリーゼのためにのテレーゼではないのだそうです。

それにしても、この第24番は1809年に作曲されたもの。ウィキペディアの日本語版によると、多彩な女性関係があるのだそうですが、それにしても1809年にテレーゼに捧げる曲を、1810年にはエリーゼに捧げる曲を作るなんて。なかなかのものですね。

(注意: ブログ内で、ウィキペディアの記事にリンクをしておりますが、本文の内容は、基本的にドイツ語版の情報を利用しています。)

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