知らなければ良かった、大聖堂の秘密

公開日 : 2019年05月23日
最終更新 :

私は、レーゲンスブルク観光局の公認ガイド、という仕事をしています。

ですから、その辺のレーゲンスブルク人より知っていることだってたくさんあります。

例えば、大聖堂の双子の塔が財政難から完成されることなく、何百年もの歳月が経っていたものの、1859年から1869年の10年間で、当初の設計図通りに完成させられたことも。

ネットでニュースを読んでいて、その大聖堂の塔が完成して150年という記事に出会いました。

そう、確かに今年は、150年目の年です。

そして、さらに読み進めると、とんでもない事実を見つけてしまったのです。

大聖堂の上の方は、コンクリートで出来ている、と聞いたことがあったことを思い出しました。

まさか、そんなことはないと信じていたのに。(あら、いきなり結論です。知らなければ、いいのに、知ってしまった。コンクリートがふんだんに使ってある事実!)

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大聖堂は、石灰岩と、緑色砂岩で作られています。

そして、この塔は、財政難のために完成させられることなく、長い年月が経っていたのですが、ルートヴィヒ1世が、19世紀に完成させたのです。

それはいいのですが、残念ながら、素材が緑色砂岩であったため、かけらが落ちてくることもあり、歩行者に怪我を追わせる可能性が、という心配に達したのだそうです。世界大戦の頃には、この塔を壊すことも検討されていたようです。その解決法として、少しずつにコンクリートを吹きかけて固めた、という訳です。なんとこの塔の部分の80%はもうオリジナルではないと。(また、駄目押しのように、知りたくない事実が出てきてしまいました。)

実際、この塔を間近で見るチャンスは普通はありません。

私の場合、ガイド仲間が、石工さんの友達がいるとのことで、仲間内で、案内をしてもらったことがあります。2013年の10月のことでした。

その時の写真をいくつか、紹介したいと思います。

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赤い服の人が歩いていますが、とっても狭い通路です。ほぼこの位置から下を見下ろすと、(大聖堂の北側)ホテルビショッフホーフのルネッサンス様式の窓が見えたりしています(下の写真、右上の白い壁にピンクのアーチがある窓です)。

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現大聖堂は、3代目です。2代目のロマネスク様式の塔をクレーンの代わりに使って石材を持ち上げた、という話を、私はガイドする際になるべくお話をしようとしています。

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その時、この塔の最上部に木造の滑車を用意して、そこにロープをつなげ・・・と説明するのですが、その滑車がこれ、これです。(写真↓)

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この滑車はどこにあるかというと、大聖堂の屋根裏みたいな場所です。

ちょどそこから、下を覗くことができます。すると、大聖堂の西側の入り口のすぐ上に位置することがわかります。

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ちなみに、ここにたどり着くためには、ロバの塔と呼ばれる、ロマネスク様式の塔の内部(螺旋状になっています、写真↓参照)を上に上がり、

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2枚目の写真で赤い服の人が歩いている、あそこを歩いて行くのです。途中に、外から中に入るための扉があり、そこを入ると、屋根裏になっています。

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大聖堂の石の中には、石工さんが何かしら刻み込んだ石もあったりするのです。ここは、1972〜1979年の改築についてが刻まれています。

螺旋階段を登って

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登って

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途中、大聖堂の端々にある彫刻を見ながら、こんな高いところにあっても、誰も見ないのに、と思いながら

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とうとう、上から、眺める。

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これが、大半をコンクリートで吹き付けてしまった部分なのね、と改めて写真を見てみる私。

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でも、この大聖堂は奥が深い。ここしばらくで、何気にいくつもの大聖堂を見てきましたが、やはりレーゲンスブルクの大聖堂は素晴らしい。

今日は、古い写真を引っ張り出し、普段公開されていない大聖堂の詳細をご覧いただきました。

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