レーゲンスブルクのシナゴーグ

公開日 : 2019年05月17日
最終更新 :

レーゲンスブルクはカトリックの街ですが、宗教をテーマに語れば、夜が明けそうな気もします。

プロテスタントだった時代も150年ほどありますし、ドイツでも最も古いユダヤ人街の一つがあったとも知られているのです。

今日は、レーゲンスブルクにあるシナゴーグのお話です。

(観光客には、関係のないお話でしょうが、レーゲンスブルクの一面です。普段は入れない場所(本当は、誰でも入れるように門戸は開かれていますが)なので、是非ご一読ください。

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ユダヤ人共同体(Jüdische Gemeinde)は、バイエルン州に13ありますが、レーゲンスブルクのそれは、その中でも一番古く、かつ一番大切なものなのだそうです。

こちらが、2019年2月に完成したばかりの建物の入り口です。

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入ってすぐにある銅製の文字は、ドイツ系ユダヤ人でアメリカに移り住んだローゼ・アウスレンダーの詩です。

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シナゴーグは、多目的ホールというか集会所のような場所の二階にあります。

その内部は、というと、こんな感じです。

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壁に使われている木材は、節がないものを利用し、上に行くほど幅が細くなり、上部の窓のところでは、木材の角度を変えて、柔らかな太陽光線が入るように、というものです。

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そして、半球を平たく潰した形の天井ですが、天然木を使っての建築で、技術的にも非常に難しいものだったようです。シナゴーグ建築に当たり、今まである重要文化財の部分との組み合わせ、兼ね合いを含め、かつバリアフリー、加えて景観やユダヤの決まりに従ったものを作る必要がありました。建築デザインには、幾つものデザイン会社がアイディアを絞り出しました。

そんな中、この天井は、対応できる会社がなく、わずか一社がチャレンジしてきたのだそうです。

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それでは折角ですから、レーゲンスブルクのユダヤ人について、少しだけ歴史を見てみましょう。

980年頃からあったレーゲンスブルクのユダヤ人街がなくなったのは、1519年のこと。

当時500人ほどの人がいて38軒の建物(うち一つは学校)がありました。金融や貿易に携わり、市民と共存していたユダヤ人ですが、マクシミリアン1世の亡くなった後、レーゲンスブルク市議会が、ユダヤ人を2週間以内に追放、と決めたからです。

その後、この場所は広場となりました。それが、現在のノイプファー広場です。

1227年、(現在のノイプファー広場)にシナゴーグが造られていますが、それは神聖ローマ帝国内で、ケルン、トリアー、シュパイアー、ヴォルムス(Worms)に次いで五番目のシナゴーグだったそうです。勿論、これも1519年に崩壊されています。

その後150年ほど経過した1669年、またユダヤ人が住み着くようになりました。

1841-1907年に使われていたシナゴーグは、1938年に崩壊されています。川下通り(Untere Bachgasse)にありました。この通りを気をつけながら歩いていると、シナゴーグがあったことを示す看板が壁にあります。

1907年以降、現在のシナゴーグのある場所に、ネオロマネスク建築で造られました。1912年に完成し、1938年に崩壊。建築完成からたったの26年ということですね。

そう、お気付きのように、二つのシナゴーグが同じ年(1938年)に崩壊されているのですが、それは反ユダヤ主義の暴動のせいです。1938年11月に、ドイツ各地で起こりました。水晶の夜、クリスタル・ナハトと呼ばれています。例えば、シナゴーグだけでも177も崩壊されているのですが、そのうちの二つがレーゲンスブルク、というわけです。

1912年に建てられたシナゴーグは、470人(男性290人、女性180人)が同時に座ることが出来る規模だったそうですが、現在のものは、200人収容可能(現在のユダヤ人共同体には、1000名以上が登録されています)。

ユダヤ教、シナゴーグというと、ちょっと特殊な世界を感じてはいましたが、今回、ガイドの勉強会としてツアーに参加することにより、いい印象を持ちました(宗教的な考えで、私には理解できないこともたくさんありますが)。

建物が解放的に作られていて、大きな窓をたくさん取り入れていること、図書館の利用、礼拝そのものなど、一般の人にも解放されていること、礼拝後の食事などにも参加出来ること。閉鎖的な世界ではないようです。

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