日本にも来た、多くの宝飾品やイコン画たち・考古学博物館【ヴァルナ】

公開日 : 2014年10月03日
最終更新 :
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ヴァルナ(Варна)の考古学博物館(Варненски археологически музей)はかつて女子高だった威厳ある建物でマリヤ・ルイザ大通り(бул. Мария Луиза)沿いに存在しています。

中は年代順に沿ってテーマに分けられ、紀元前7~6千年の新石器時代から19世紀のイコン画まで、広い建物内に非常に見ごたえのある充実した展示がなされていました。

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興味深かったのはこちらもプレヴェンと同じく、地域に特化した展示となっていて紀元前6世紀から7世紀まで続いた古代都市オデソス(Одесос)の出土品が特に目を引きました。美術品の中には美術史の初めの方に登場する、赤絵式・黒絵式と呼ばれるギリシャ式の陶芸の絵付けがこの地でも出土されていて、私にとって遠い異国の地で発祥した技法が、すごく身近に感じられました。また紀元後から4世紀の間の葬儀と埋葬の習慣に関する展示もかなり重要なこととして取り上げられており、大理石の墓石やテラコッタの人形が並び、人骨が金の装飾品で飾られ、ガラスケースの中に納められていました。

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なお廊下にはこの博物館が展示物を貸し出した、国外各地の展覧会のポスターが貼られており、ドイツ語に混じって日本語のポスターもありました。この人骨や装飾品を初め、数々の出土品が運ばれて、かつて日本でも展示されたことがわかりました。ポスターに主催された会場名や日にち、展示物の品々の写真から確認できます。

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日本とは違った歴史の歩み方が非常に面白いです。出土品を見ながらその時代の日本の技術や、使われていた道具はどうだったか比較して楽しめます。さすがオデソスは世界でも進歩したほうではないかとか、プレヴェンでも見たように土器から始まった技術も、青銅、鉄、ガラスと進化していき、年代が下り再び土器に戻る流れもありました。

ギリシャ、ローマ時代の2000枚を超える金、銀、青銅、銅の硬貨や、数多くの装飾品は、現代でも身につけたいくらい凝った作りで、ネックレスやブレスレッドにピアスなどの展示物の豊富さに驚かされ、東南ヨーロッパで最大と呼ばれる博物館として収蔵品の数々に納得でした。

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私が気に入ったものはオデソス時代の古代の航路図の壁画です。鮮やかに冒険心をそそられる巨大な壁画には、この黒海に面したオデソスから地中海まで各地方をつなぐ航路や船が描かれ迫力満点でした。鉄道がなかった当時、黒海や地中海周辺は貿易に重要な地域だったことが伺えます。さらに世界でも文明の発展した地域であったことも、この地図内の賑わった描かれ方から想像できます。

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館内に入って左が古代~中世の歴史展示物に対し、右側は6室分を利用した、14世紀~19世紀のものを集めたイコン画の150作品が紹介されていました。すでに黒ずんでいる絵画も細部まで鮮明に見える保存状態の良い絵画もあります。個人的にお気に入りは、廊下の壁面に展示されていた、お乳を飲んでいる赤ん坊のキリストと、周りで多くの女性が沐浴や着替えの準備をしている場面をデフォルメして描かれた絵でした。

廊下はたくさん採光を取り入れられる設計で、太陽光が建物内に降り注ぐ様子が明るくてきれいでした。中庭に出ると考古学に浸りながらくつろぐことができます。地下のトイレに行ってみましたが、入り口にはHとDと書かれ、フランス語のhomme(オム、男性)と damme(ダム、女性)の頭文字で一瞬どちらかわからず、トイレから出てきた女性を見てどちらか判断し中に入りました。トイレ内は各個室にトイレットペーパーは備え付けてなく、個室の前に取り付けられた大型ロールから紙を巻き取って各自使用できます。広い空間に大きなトイレットペーパーが一つ存在している様子に少し衝撃でした。

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この博物館を訪れて驚いたことは、まずチケット売り場で受付の人に学生かと聞かれ、違うと答えると、なぜか二人で行ったのに学生一枚分でいいと、入館料を安くしてあげるように言ってきましたが、大人料金二枚を払うつもりで来たのできちんと定められたように払いました。一緒に来たブルガリア人が言うには地元の人は滅多に来なくて、博物館に来るのは外国人ばかりだから、おまけしたかったのではないかと解釈していました。

館内は確かに静まり、入館者は数えるほどしか見かけませんでしたが、監視の方達が日差しのあたる心地良い廊下のテーブルと椅子に腰掛け、ペットボトルで何か飲みながらクロスワードパズルを解いていたのにも衝撃でした。お客さんがいる間は椅子にも座ってはいけないという、日本のある美術館の監視の話を聞いたことがあり、それに比べるとまったく様子が違いますが、この働き方も楽しそうで何よりかもしれません。

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ヴァルナ考古学博物館(Варненски археологически музей)

開館時間:(夏季)5月~10月:10時~17時  

     (冬季)11月~4月:10時~17時  

休館日:(夏季)5月~10月:無休

    (冬季)11月~4月:日曜、月曜

入館料:大人10レヴァ(約705円)

    学生、年金生活者2レヴァ(約141円)

案内料:ブルガリア語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語

    30レヴァ(約2115円)

住所:bul. Maria Luiza 41, Varna 9000, Bulgaria

HP : http://www.amvarna.com (ブルガリア語、英語)

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