どこ行く?ヨーロッパ文化遺産の日【2021年】

公開日 : 2021年09月09日
最終更新 :
筆者 : HIROMI

Bonjour こんにちは!

毎年9月の第3土曜日、日曜日は「ヨーロッパ文化遺産の日 Les journées Européennes du patrimoine 」と呼ばれ、パリ市内にある、ほぼすべての施設を見学することができる特別な日となっています。

美術館や博物館、図書館や公園ではコンサートや特別なイベントが行われ、子供たちが参加できるアトリエも多く開かれます。

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またそれだけでなくこの日ばかりは普段は簡単に入れない場所も開かれるのです。

たとえば、各国の大使館、大学、パリ市庁舎や政府機関、フランス銀行、劇場など。

この取り組みはもともと1985年にスペインで生まれた活動で、いまやヨーロッパ全土に拡がり、フランスでは38年目を迎えます。

いまでは約3000万人の人が参加する大規模なイベントです。

子供たちが文化や歴史に実際に触れることのできる機会でもあり、各機関がそれぞれにイベントやゲーム、エクスポジションを開いて、まるで町ごとアトラクションになったような楽しみ方ができます。

パリ市内だけでもかなりの数のイベントが開かれるため、選ぶだけでもたいへんです。

有名な美術館や教会では絵画の前でコンサートが催されたりと普段味わえない雰囲気を楽しむことができます。

なかでも特別感のある、この週末だけ開放されている、普段入ることのできない建物を紹介します!

◇パリ市庁舎 Hôtel de Ville de Paris

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19世期末に建てられたネオ・ルネッサンス様式の建物です。

今年のテーマ「文化遺産と教育、生きるために学ぶ」に合わせてお花屋さん、鍵屋さん、絨毯や時計屋さんなどさまざまな職人たちのアトリエに参加することができます。

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実はパリ市は400年もの歴史があると明治時代の日本の本に記されているのだとか。シャルル・ド・ゴールの空母のミニチュアや現代アートのプログラムまで、多岐にわたるイベントとなっています。

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内部ではエクスポジションやパリ市長になったつもりになれる写真スポットなどイベントも盛りだくさん。ゲームで盛り上がる家族も多くいました。

公式ウェブサイトはこちら

・URL: https://www.paris.fr/

・住所: Place de l'Hôtel de Ville 75004 Paris

・アクセス: メトロ Hôtel de Ville駅

◇ユネスコ La Maison de l'UNESCO

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パリのユネスコ本部には世界中の芸術家の作品が25も置いてあります。すべてユネスコのために寄付されたもので、たとえばジョアン・ミロの壁画、ジャコメッティの彫像、ピカソの壁画など。

日本からは野口勇さんの日本庭園、佐藤忠良(さとう ちゅうりょう)さんの少女の像が寄付されています。

こうした貴重な作品が世界中から一堂に会している様は圧巻です。

建物はYの形をしており、アメリカ、イタリア、フランスと各国の建築家の共同制作。どこにも偏らないリベラルな考え方で、文化遺産を守り続けるユネスコの考えをしっかり学べるイベントとなっていました。

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▲パリのユネスコ本部にはジャコメッティの銅像やピカソの絵があり、まるで美術館。キュレーターを目指す学生さんが解説をしてくれます。

なお、ユネスコ内部のお土産物屋さんは普段から入ることができます。

図書館は登録することで利用可能です。

・住所: 7, place de Fontenoy 75007

・アクセス: メトロ Ségur-UNESCO駅 Cambronne駅 École Militaire駅

◇フランス銀行 Banque de France

18世紀の貴族、トゥールーズ卿の館だったため、建物全体がお城のよう。

特にきらびやかな黄金の間は必見です。

ユーロのお札を印刷する機械も見ることができます。

偽札の見破り講座も行われています。

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実はフランスであまり高額のお札を見る機会はありません。

いちばん高額の€500札はお店では断られることも多いのです。

厳重に警備を施された巨大な金の延べ棒も展示してあります。

・アクセス: 1 rue Radziwill 75001 Paris

メトロ Palais Royal Musée du Louvre駅徒歩4分

◇ソルボンヌ(パリ第3、4大学)La Sorbonne

フランスでは日本と違い、大学は開かれた施設ではありません。

普段は学生以外は入ることはできません。年に一度、この週末だけ訪問が許されており、人気のスポットです。

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実はパリにソルボンヌ大学という名前の大学は存在しません。市内の区と同じく、大学も数字がついているだけ。9を除く1~13まで存在していて、複合大学が多いためまったく違うわけではないのですが、それぞれにカラーがあります。

文学が盛んな4はよりクラシカル、3は文学にとどまらず演劇や現代も研究するため、ヌーベル、新しい・ソルボンヌと呼ばれています。

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▲学部別の卒業式のユニフォーム。左から文学、科学、医学。grand métier と呼ばれる学部しか着用は許されずほかの学部にはありません。

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パリ大学はすべて公立大学で、フランス国民であれば誰でも年間€200ほどの学費で学ぶことができるのです(ユーロ圏外からの留学生の学費が10倍に値上がりされることが検討中です)。

大学グッズを扱うショップは大学の外にあります。ただ、フランスでは大学グッズを身につけた学生を見ることはあまりありません。

・住所: 15-21 Rue de l'École de Médecine, 75006 Paris

・アクセス: メトロ Cluny - La Sorbonne駅

◇大学グッズブティック

・場所: 10 rue de la Sorbonne

・営業時間: 月曜~金曜 10:00~13:00、14:00~18:00

◇パレ・ロワイヤルとコメディ・フランセーズ Palais Royal et Comédie Française

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パレ・ロワイヤルの庭園はいつも大人気で、市民の憩いの場となっていますね。

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パリ市の象徴ともいえる緑のベンチはここだけ詩や名言が入れられており、普段からフランスのエスプリに触れられる場所でもあります。

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▲ポル・ビュリー Pol Buryによる作品「球 Les Spherades」

この庭園をぐるっと囲む、この建物もやはりもとは貴族の館でした。過去には詩人、コクトーも住んでいたことがあります。

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現在は文化庁、国務院、劇場として使われており、年に一度、ヨーロッパ文化遺産の日にだけ一般開放されます。

■文化庁 La Ministère de la Culture

もともと、フランスは文化を守ることが自国の発展につながるという考えがあり、17世紀ルイ14世の時代にアカデミー・フランセーズが創設されました。その考えを引き継いで、シャルルドゴール将軍により第五共和制、1959年に文化庁が設立されました。

美術 Beaux-arts 、演劇、オペラ、文学、映画などフランスの文化に関するすべてを司り、推進する機関となっています。

■国務院 Conseil d'Etat

ルイ14世時代から政府の行政上の諮問機関であり、法案作成などを受け持つとともに最高行政裁判所の機能がある、重要な場所です。国務院長でもある副大統領のオフィスも見ることができます。

■コメディ・フランセーズ Comédie française

リシュリュー卿が自身の館にオペラを建設、その劇場が現在も使われている歴史ある劇場です。1763年、1781年火事に遭い、200年以上何度もリノベーションを施し、2013年1月に現在の形になりました。

・住所: 2 Galerie de Montpensier, 75001 Paris

・アクセス: メトロ Palais Royal Musée du Louvre駅

そのほか、パリ市内のすべての美術館や教会内でも予約不用の多くの催しが開かれます!

子供用のアトリエは施設によっては予約が必要ですので、各公式ウェブサイトをチェックしてみてください。

9月第3週にいらっしゃる際はぜひヨーロッパ文化遺産の日の参加もご検討ください。

それではまた à bientôt!

◆ヨーロッパ文化遺産の日

・公式サイトはこちら:https://journeesdupatrimoine.culture.gouv.fr/

筆者

フランス特派員

HIROMI

2018年より在仏。フランスにて妊娠、出産を経て現在子育て中。

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