フランスの食文化〜ベジタリアン論争〜

公開日 : 2021年04月04日
最終更新 :
筆者 : HIROMI

Bonjour こんにちは!

2021年5月2日まで延長されたロックダウン、レストラン再開までまだまだ時間がかかりそうです。

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▲夏時間になり、すっかり春の陽気のパリ

今日はパリで浸透しつつある食文化について紹介します。

世界のあちこちで見られるように、近年、パリでもベジタリアンが増えています。

それに合わせてヴィーガンカフェ、ベジタリアンカフェ、またはベジタリアンメニューの選択肢が普及しています。ロックダウンしてからはベジタリアンメニューの宅配の選択肢も増えています。

パリは多民族都市でもあります。

ヒンドゥー教徒は牛を、イスラム教徒は豚を口にすることはできません。ハラル食(お祈りされたお肉)しか許されない人もいます。

宗教上の理由もあって、多国籍のメンバーで集まる際、ベジタリアンメニューの選択肢があると気兼ねなく過ごせるため助かります。

多様性への理解が求められる現代に、ベジタリアンの考えはパリだけでなくヨーロッパ全土で増えてきています。

特にイギリスはより盛んで、パリよりもずっと選択肢が多いそうです。

そして一概にベジタリアンといっても実は色々存在しています。ざっくり分けるとこの4種類。

①Vegan ベーガン

動物性タンパク質を一切摂取しない

肉も魚も卵もチーズも口にしません。ベジタリアンのなかでも最も制限があります。

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メニューに細かな記載があるレストランが増えているのはこのため。

バターにチーズに生クリーム。

乳製品天国のフランスにおいて、ベーガンなんてとても難しいのでは?と疑問に思っていたところ、やはりこういう人も多くいます。

②Végétarien

ベジェタリエン

チーズや卵は摂取するけれど、魚やお肉については食べません。スープや出汁に使われている場合は大丈夫かは人によります。

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▲フランスには300種類以上のチーズがあるとも言われています。

やはりチーズ大国フランスですべての乳製品を避けるのは難しいようです。

③Pescetsrien/Pesco-vegetarien

ペスセタリエン、ペスコベジタリエン

魚や卵、チーズは食べるけれどお肉は食べない主義。

あまり知られていないかもしれませんね。フランスではおおむねどこのレストランでも主菜(plat)を肉か魚か選べるためあまり生活に支障はないようです。

④Flexitarien フレキシタリエン

特に禁忌食材があるわけではありませんが、健康などの理由でお肉の量をできるだけセーブしたいと考えている人。英語Flexible と vegetarian からきています。

フレキシタリエンの考え方をする人は、とても増えています。

肉を食べない、食べすぎない選択肢を取る理由は、人によってさまざま。

世界の環境問題、飢餓問題、動物愛護、個人的な理由などなど。

一世代前のフランス料理はいまよりももっとこってりしていました。お肉を食べる頻度や量も多く、心臓病や高血圧への懸念から、健康のためにお肉を控える人が増えているのです。

私の友人でも大袈裟でなく、8割の人が何かしら自分の食べるものに気を使っています。

こういった菜食文化は特別なカフェやレストランだけでなく、普段から見つけることができます。

普通のスーパーにもたくさんのベーガン、ベジタリアン用の食品が並んでいます。

牛乳ではなく豆乳、アーモンドミルク、ライスミルク、オーツミルクやカシューナッツミルクなど、ミルクも選択肢が豊富。

料理用のクリームもあります。

食材専門店にはさらに選択肢があります。

こちらはベーガンチーズ。

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フランスには300種類はあると言われるチーズ。ベーガン用も料理や食べ方を選べるようになっています。

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ロックフォール風、チェダー風、ゴーダ風、シェーブル風など。

ほかには、ベーガン用フォアグラ。

クリスマスにはフランス人の70%近くがフォアグラを食すと言われています。ベーガン用フォアグラとしてきのこや大豆から作られた製品もあり、ベジタリアンたちには人気があります。

代替肉の種類も多く、スーパーではお肉を売るコーナーに一緒に並んでいます。

100%植物原料でありながら、味もいいものが多いです。

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穀物のミルクも、大豆、ナッツ、米、オーツ麦などたくさんの種類があります。

こうした人たちにも和食はとても人気! そば、トウフ、ミソ(ミゾと発音する人もいます)は理にかなった食事なのです。

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仏教の精進料理は動物性の食材は禁忌とされており、ベーガンの考え方と合致する点もありますね。

和食が人気な理由にはこうした背景もあるのかもしれません。

また、フランス料理はどの食事でも、ひとつのおかずをみんなで分け合う食べ方をしないのも受け入れやすい理由かもしれません。

レストランでは各々が自分の食べるものを注文し、ひと口交換はあっても大皿から取り分けることはありません。皿を交換することもありません。

自分が食べるものを自分で選び、注文するのです。

ですから、友人と出かけても特に困ることはないのです。

ベジタリアン論争についてはやはり煙たがる人がいるのも事実です。

ですが、自分の意見をきちんと説明すれば、子供であっても意志を尊重される文化ですので、それがベジタリアンでなくても受け入れられやすいのは確かでしょう。

人と違っても自分の選択を尊重される社会において、みんなが同じものを食べる必要はないのです。

パリに来た際には一度、メニュー表を見てみてください。必ずたくさんのオプションが存在します。

それは多様な考え方を尊重する文化の表れでもあるのです。

それではまた、à bientôt!

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筆者

フランス特派員

HIROMI

2018年より在仏。フランスにて妊娠、出産を経て現在子育て中。

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