フランス渡航に木下グループの陰性証明は使えるのか?実際に試してみた【2022年1月26日時点】

公開日 : 2022年01月28日
最終更新 :
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2021年12月より日本からのフランス入国には、出発前48時間以内の陰性証明(PCR検査または抗原検査)と到着時の検査実施を認める宣誓書の携行が求められています。あわせてPassenger Locator Form(搭乗者の住所や緊急連絡先などを書く書類)への記載も求められます(過去記事「フランス入国はワクチン接種者でも48時間以内の陰性証明を義務付け【2021年12月4日〜】」)。

病気ではなく、旅行を理由として日本でPCRまたは抗原検査を受ける場合、その価格が高い(数万円)ということが、コロナ禍になってからずっと海外渡航者の懸念事項となってきました。その中で、低価格での検査を実現していたのが木下グループでした(1900〜2300円)。

木下グループの検査は、「国内用」として実施されており、最近は検査結果に一部英語併記がされるようになってきましたが、以前は日本語のみでした。そのため今まで、海外渡航用には認められてないとされてきました。SNSなどでも、木下グループの陰性証明を搭乗手続きの際に提示したものの、認められなかったという声が散見できます。

果たして海外渡航に使えるのか。フランス渡航の場合について現状をまとめました。

木下グループの検査は海外渡航用ではない

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まず前提から話します。木下グループの検査は、海外渡航時に提示が求められる陰性証明ではありません。同グループで検査を行う際には「誓約書・同意書」の記入が必須です。その誓約内容に「本検査で発行される陰性証明書は海外渡航時に提示が求められる陰性証明書ではないこと」という項目があり、それへの同意が求められます。

したがって、木下グループの陰性証明を使って、仮に空港のチェックインカウンターで正規の陰性証明として認められなかったり、海外入国時に証明として受け付けられなかったとしても、木下グループは責任を負いません。

前提は上記ですが、実際の運用はどうなっているのでしょうか。フランス渡航の場合、「渡航用に使える可能性もあるが、どちらとも言えない」というのが現状です。まず、日本からフランスへ行く場合の入国制限をおさらいしてみましょう。

【ワクチン接種済みの場合】

1. 渡航にあたっての特別な理: 必要なし

2. 搭乗にあたっての検査: 欧州圏外からの渡航者は48時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明

3. 到着にあたっての検査: 到着した者に対する無作為なPCR検査または抗原検査の実施

4. 到着後の隔離: なし

【ワクチン未接種の場合】

1. 渡航にあたっての特別な理由: 必要なし

2. 搭乗にあたっての検査: 欧州圏外からの渡航者は48時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明。欧州圏内からの渡航者の場合は24時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明。

3. 到着にあたっての検査: 到着した者に対する無作為なPCR検査または抗原検査の実施

4. 到着後の隔離: なし

上記を読むとわかるのですが、陰性証明がチェックされるのは、ワクチン接種済でも未接種でも「2」の「搭乗にあたっての検査」の部分。つまり陰性証明の確認は出発地のチェックインカウンターであって、フランス入国時に確認は行われていないようです。フランス入国時には、「3」の「到着した者に対する無作為なPCR検査または抗原検査の実施」が実施されています。

では「2」の時点で、木下グループの検査結果は、陰性証明として航空会社は認めてくれるのでしょうか?

ANAにおける木下グループ検査結果への見解

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今回私は、羽田空港からパリ・シャルル・ド・ゴール空港までのフライトにANAを使いました。そこで事前に、ANAのカスタマーセンターに、木下グループの陰性証明はフランス渡航に使えるのか電話で問い合わせてみました。オペレーターの方は過去の事例を調べてていねいに答えてくれたのですが、結果は「どちらとも言えない」という返答でした。

オペレーターによると、まず「過去のファイルの中に、フランス渡航についての事例が見つからなかった」とのことでした。そして、ケースとして残っているのがアメリカの場合で、「アメリカは入国の際に陰性証明のチェックがあり、また同証明には氏名のほかにパスポート番号も記載されていないといけないため、その記載がない木下グループの陰性証明では条件に当てはまらず、チェックインカウンターで証明として認められなかった場合があった」そうです。

ただし、「フランスの場合は、陰性証明について具体的なフォーマット指定はなく、単に『48時間以内のPCR検査または抗原検査』とだけ発表されているため、アメリカと同様の理由でチェックインカウンターで断ることはないかもしれない。ただ、木下グループは海外渡航用としては検査を実施しておらず、すべての項目で英語併記がされているわけではない。そのため搭乗手続きの際に受け付けないこともあるかもしれず、同グループの検査結果を海外渡航用に使うのは、お客さまの判断で行ってほしい」とのことでした。

「使えるかどうかのルールは一律ではなく、チェックインカウンターの担当者によって判断が変わる可能性があるのか?」という私の問いかけ対して、オペレーターは初めは言葉を濁していましたが、「その可能性はあります」との返答でした。

実際に木下グループの陰性証明を提示してみた

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実際に搭乗手続きの際に試してみないとわかりませんので、乗れない場合は別日にフライトを変更する覚悟で、木下グループの陰性証明を持ってフライト当日にチェックインカウンターへ行ってみました。今回私が事前(フライト前日)に検査したのは羽田空港第2ターミナル店。そこで「抗原定量検査(クイック)」1900円を受けました。そしてフライト当日のチェックインも、木下グループの陰性証明という点は特に指摘されず、問題なく終わりました。

1点だけ、陰性証明ではない部分で認識の誤りが起きていた部分がありました(私の知人が渡仏したときにも起きたそうです)。記述したように「欧州圏外からの渡航者は48時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明。欧州圏内からの渡航者の場合は24時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明」というルールがありますが、それを地上スタッフが「欧州域外からでも24時間」と認識している場合があります。

私の陰性証明は、出発から24時間30分前のもので24時間を越えていたため、その点を指摘されました。ただ、「欧州域外の場合は48時間以内」ですので、そのように地上スタッフに伝えれば、もう一度情報を照合してくれて、問題なく発券してくれました。コロナ下におけるルールは常に変わるため、全世界の制限を把握しなければいけない地上スタッフの人は本当にたいへんだと思います。私はフランスのルールを追うのだけでも精一杯なのに......。

以上のように、私は木下グループの陰性証明でANA羽田・パリ便に乗れましたが、すべて同じようにいくかどうかは現時点ではまだ不確かなところが多いです。ANAの電話オペレーターの人と同じ答えになってしまいますが、確実に搭乗手続きを済ませたい人は、費用はかかっても「海外渡航用」として陰性証明を出している施設での検査をおすすめします。

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なお、パリ到着時のシャルル・ド・ゴール空港では、陰性証明のチェックはありませんでした。私の到着時は入国審査の待ち人数はゼロで、案内係含め空港スタッフは皆、椅子に座って時間を持て余しているほど暇でしたが、無作為検査も求められませんでした。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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