日本入国後隔離の様子、検疫所が確保する宿泊施設と自主待機場所【新型コロナ渡航その3】

公開日 : 2021年04月17日
最終更新 :
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前回および前々回から引き続き、フランスから日本へ入国する際の様子をお伝えしています。

新型コロナウイルスの水際対策のため、フランスから日本へ入国する際の検疫が強化されています。そのため、以前より度々パリ特派員ブログでレポートしている状況から、大幅にシステムが変わっています。

2021年4月10~11日時点における、実際の入国体験を3回(フランス出国準備と検査証明/フランス出国と日本入国まで/検疫所指定の隔離ホテルと個別の待機場所まで)に分けて紹介します。

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検疫所が確保する宿泊施設と自主待機場所について

飛行機が無事日本に到着し、検疫も終わり入国したら、いよいよ14日間の隔離が待っています。

現在フランスは「新型コロナウイルス変異株流行国・地域」に指定されています。そのためフランスから日本に到着した人は、検疫所長の指定する場所での待機が求められます。そして、入国後3日目(入国日は含まれず)にあらためて検査を行い、陰性と判断された場合は検疫所が確保する宿泊施設を退所できます。

退所後は、検疫所が確保した宿泊施設からバスで到着空港へ戻り、そこから各自が公共交通機関の利用を避けて移動のうえ、入国後14日間の残りの期間を自宅や個別に確保した宿泊施設で待機することが求められます。つまり、順調に進めば「検疫所が確保する宿泊施設で3日間」「各自が手配する待機場所で11日間」の計14日間です。

「検疫所が確保する宿泊施設」は宿泊費および朝昼夕の3食が公費で賄われます。各自での手配は必要なく、また施設の希望・選択はできません。検疫所により割り振られます。「各自が手配する待機場所」については自己負担です。こちらは各自で手配が必要です。

羽田着アパホテルでの3日間隔離の様子(私の体験)

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▲宿泊施設で提供される食事例

今回の帰国において、私には検疫所が確保する宿泊施設として「アパホテル&リゾート両国駅タワー」が割り当てられました。日本入国後は、外部との接触がないようにグループで移動し送迎バスへ。そして羽田空港から1時間以内くらいの所要時間で、同ホテルに到着しました。14時過ぎに飛行機が羽田空港に到着し降機、すべての手続きを終えてホテルにバスが到着したのが21時半頃でしたので、約7時間かかりました。

バスがホテルに到着すると、密を避けるため数人ずつバスから降り、チェックインの手続きをします。チェックインの際には、体温計と部屋のカードキー、隔離期間中の注意事項が書かれたパンフレットが渡され、施設内でのスケジュールや禁止事項などの説明があります。その後、その日の夕食であるお弁当を渡され、部屋へ移動。長い1日が終わりました。

3日間の隔離期間中は、自分の部屋から一切出ることが禁じられています。ホテルの供用部分(廊下やロビーなど)も立ち入り禁止です。アパホテル&リゾート両国駅タワーの部屋の広さは、シングルまたはダブルでともに11平方メートル。そこに140cm幅のベッド、机、ユニットバスが入っていますので、室内で動けるスペースはかなり限られます。

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▲今回私が宿泊した部屋

スーツケースはベッド下に収納できるようになっていますが(今回、私はスーツケース2つと手荷物で帰国しました)、広げっぱなしにしておくと部屋の中のスペースはほぼなくなります。高層建築のためか部屋の窓は開きません。

私は部屋で過ごすことに、それほどストレスを感じない性格ですが、今回(私が宿泊したアパホテル&リゾート両国駅タワーの場合)は「部屋のスペース的に動くことができない」ことに、かなり負担を感じました。11平方メートルの部屋で3食同じような味付け・容量のものを食べ、3日間を動かず過ごす必要があるため、それを踏まえ入所者は個々に対策を考えておくといいと思いました。また3日間の健康管理については食事のウエイトが大部分を占めることになりますので、その状況を含めて、同ホテルの場合は食事内容がもう少し考慮されるといいとも感じました。

部屋の様子と3日間の食事については、「地球の歩き方パリ特派員」のTwitterアカウントに全食を載せましたので、そちらもご参照ください。

フランスから日本へ一時帰国するための事前PCR検査を受けてきました。日仏往復の実際の様子については毎回レポートしていますが、以前とまた状況も変わったため、ここで紹介しつつ詳しくは後ほど『地球の歩き方』特派員ブログにまとめたいと思います。写真はパリ市内、検査場所近くのモンソー公園。 pic.twitter.com/S6JL8Mk3ip— 守隨亨延 地球の歩き方フランス・パリ特派員 (@arukikataparis) April 8, 2021

3日間のスケジュールは以下のような流れで進みます。

【0日目】

21:30頃 チェックイン

【1日目】

7:30 朝食配給

8:00 検温し専用サイトから報告

12:00 昼食配給

18:00 夕食配給

これとは別にアプリでの位置情報確認が午前と午後にランダムであり、厚生労働省「健康状態確認のお願い」メールの返信も必要。

【2日目】

7:30 朝食配給

8:00 検温し専用サイトから報告

12:00 昼食配給

13:00 退所バスの希望日時を連絡(後述)

18:00 夕食配給

これとは別にアプリでの位置情報確認が午前と午後にランダムであり、厚生労働省「健康状態確認のお願い」メールの返信も必要。

【3日目】

7:00 PCR検査

8:00 朝食配給

8:00 検温し専用サイトから報告

12:00 昼食配給

17:00 PCR検査結果と退所の通知

18:30 バスで羽田空港第3ターミナルに戻りそこで解散

これとは別にアプリでの位置情報確認が午前と午後にランダムであり、厚生労働省「健康状態確認のお願い」メールの返信も必要。

検疫所が確保する宿泊施設入所の注意事項(私の施設の場合)

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▲アパホテル&リゾート両国駅タワーの部屋に備え付けられていたアメニティセット

WiFiは無料(50Mbps前後)、テレビあり(VOD無料)、また部屋の電話から外線通話は不可です。ミニバータイプの小型冷蔵庫あり(簡易的な冷凍装置付き)。トイレなどは自室のもののみ使用可能です。スティック状のインスタント緑茶とコーヒー(粉末クリームと砂糖含む)あり。ペットの同伴不可です。飲酒・喫煙は禁止。

家族などからの差し入れやデリバリー、ネットショッピングは可能(21:00~翌9:00の宿泊施設着は不可)ですが、各室へは到着日翌日の午前中に届けられます。Uber Eatsなども頼めますが、同様に到着日翌日の午前に各部屋に渡されます。そのため常温で保存がきかない食品(例:すし、サンドイッチ、牛丼、カツ丼、コンビニ弁当、おにぎりなど)は取り寄せられません。荷物が各部屋に届けられる際には、職員立ち合いのもとで、アルコール飲料および危険物がないか中身の確認があります。

食事は一律で、時間になると部屋の外のドアノブに袋に入れられてさげられています。館内放送が流れたあとに、マスクを着用のうえ、部屋のドアを開けて食事を回収します。食事には毎回アレルギー表示のメモが添えられています。またアレルギーの有無は、空港到着時の検疫でその旨を聞かれていました。

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▲宿泊施設で配給された食事

宅配便の宿泊施設からの発送はできません。ホテル内での外貨両替は対応していません。コインランドリーはあり。有料(1回500円/洗剤自動投入、乾燥30分100円)で利用時間は10:00~17:00。コインランドリーの使用は人数制限があるため、内線で事前に利用を伝えて使います。タオルやお茶などの備品が足らない場合も、内線で伝えると補充されます。

ゴミは、配食時に配られるゴミ袋に入れて廊下に出しておくと、職員が回収します。

退所バスの運行日時について

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▲退所日に行ったPCR検査のキット

検疫所が確保した宿泊施設での滞在3日目の検査で陰性と判定された場合、フライトの到着空港である羽田空港第3ターミナルへ送迎が行われます。送迎は全員が乗車し無料。宿泊施設での解散はできません。

退所日の退所バスは、検査日(3日目)の16:00頃を予定していますが、検査に時間がかかった場合は遅れることもあります。検査結果に要する時間がかかる場合は、翌日10:00頃の便に振り替えられることもあります。

検査日の16:00のバスではなく、最初から翌日10:00のバスを選ぶことも可能です。その際は、1泊余分に検疫所が確保した宿泊施設で泊まります(費用は公費)。

羽田空港第3ターミナルから自主待機場所への移動方法

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▲羽田空港第3ターミナル到着ロビー

空港から各自が確保した待機場所(11日間)へは、公共交通機関を使わず移動することが求められます。公共交通機関を使わない移動とは、家族などの車による出迎え、ハイヤーの手配、検疫所が用意した巡回バス(海外からの待機帰国者専用:無料)などです。空港にアクセスしている列車、バス、モノレール、飛行機、タクシーは使えません。

私の待機場所は、検疫所が用意した巡回バスが通るルートにありますので、そのバスを使いました。同バスは空港周辺を定期的に2ルートで回っています。時刻表と乗車に際しての注意は、東京検疫所のウェブサイトをご覧ください。

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▲検疫所が用意したバスの時刻表(東京検疫所のウェブサイトより)

自主待機中も、専用アプリによる位置情報の確認は、ランダムに行われます。時間が決められているわけではありません。アプリのビデオ通話による連絡含め、私自身もどのような判断で実施しているかはわからないため、時間などは詳細にお伝えすることができません。決められた通りに自主待機している分には、特に負担になるような通知と内容ではありません。

*同記事は2021年4月10~11日に移動した時点のものであり、出入国のシステムは今後も変更が予想されます。日本行きの準備には、日仏関係当局のサイトをあわせてご参照することを強くおすすめします。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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