フランスの新型コロナウイルス外出制限の緩和措置まとめ【2020年5月11日以降】

公開日 : 2020年05月17日
最終更新 :
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4月28日フランスのフィリップ首相が、5月11日以降に予定している新型コロナウイルス(COVID-19:SARS-CoV-2)感染防止の外出制限緩和措置について、国民議会で段階的な外出制限の解除を発表しました。5月7日には、外出制限の段階的解除について、具体的な発表がありました。

- マスクの着用義務と推奨

- 一部商業施設の再開

- 制限付きでの移動制限の解禁

- 教育・文化施設の段階的再開

- 検査規模の拡大

在フランス日本国大使館の概要をもとに、以下にまとめます。なお、5月10日以前のものについては、「フランスが発表する新型コロナウイルス外出制限まとめ【5月10日時点】」をご参照ください。

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フランス全土は赤ゾーンと緑ゾーンのふたつに分けられ、各ゾーンで異なった制限緩和が行われます(詳細はフランス政府Webサイトの地図を参照)。ゾーン分けは「ウイルスの流行」「病院の受け入れ能力」「PCR検査の能力」という基準で決められています。

国境封鎖と入国について

EUとそれ以外の地域との国境に関しては、新たなことが決まるまで閉鎖。フランス国境は、国境労働者等の例外を除いて、少なくとも6月15日までは閉鎖です。5月20日以降、フランス国内に入る者は国籍問わず、別途定める感染流行地域からの入国の場合は、原則14日間の隔離を実施。現時点では、シェンゲン圏からの入国は隔離対象外です。ただし、フランス海外領土からの入国は対象となります。

マスクの着用について

以前からの政府方針が変更され、多くの状況においてマスク着用を推奨します。マスクの国内生産を5倍に拡大し、医療従事者に優先的にマスクを供給。布マスクの生産も開始しました。現在、週1億枚のマスクと、2000万枚の布マスクを生産できます。5月11日には十分な量のマスクが供給されます。

パリ市では5月11日から6月8日にかけて、薬局を通じて市から無料でマスクが配布されます。

仕事において人と人との距離が取れない場合は、マスク着用の義務付けを推奨するということに加え、商業施設では1mの距離や人数制限、マスクを推奨するなど、配慮する必要があります。タクシー含め、公共交通機関を利用する際、11歳以上はマスク着用が義務です。違反した場合は€135の罰金が科されます。

居住地から100kmを越える移動について

5月11日以降は、100km以下の移動は解禁されます。100km以上の移動であっても、居住地の県内なら許可されます。検問時に居住地を示すための住居契約、住所付請求書、小切手などを携帯する必要があります。

居住地から直線距離100km以上の移動については、以下の理由を除き禁止。外出のための証明書は新しくなり、内務省ウェブサイトから紙媒体または電子媒体でダウンロード可能。違反者は€135の罰金が科されます。

1. 100km以上移動する際の証明書

- PDF版

- TXT版

2. 運輸・商業で100km以上移動する際の証明書

- PDF版

- TXT版

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▲100km以上移動する際の各証明書

【1. 100km以上移動する際の証明書の記入方法】

Nom :(アルファベットで姓を記入)

Prénom(s) :(アルファベットで名を記入)

Date et lieu de naissance:(生年月日を「日/月/年」の順で記入 例:17/03/2020)

Adresse du lieu de la résidence:現住所

Je me rends le (移動日の日付:5月12日なら「17/05」)/ 2020 (s'il s'agit d'un déplacement professionnel récurrent, cocher ici ) dans la commune de : (住んでいる市町村:パリなら「Paris」) N° du département : (県の番号:パリなら「75」) pour l'un des motifs suivants : (cocher la case correspondante)

次の理由に関連した移動であることを証明する(該当するケースを1ヵ所だけチェック:日本語訳は原文順)

- 居住地・職業上の活動が行われる場所間の移動、延期できない通勤利用

- 居住地・教育施設間の移動であり、就学者または就学者の付き添い者によるもの、試験を受けるために必要な移動

- 診察、相談、専門的ケアのための移動であり、遠隔実施や自宅付近で確保されないもの

- 家族のためのやむを得ない移動、脆弱な人々のサポート、保育のためのもの

- 警察当局または司法当局によって課された義務による移動で、国家警察、憲兵隊、その他公共機関または専門家に出頭、訪問等をする義務から生じる移動

- 行政裁判所または司法当局からの召喚状に起因する移動

- 行政当局の要請により、指定された条件の下で公共目的のミッションに参加することを唯一の目的とする移動

Fait à Paris:この書面を署名した場所(Parisなど) le:日付(2020年5月12日10:30なら「12/05/2020」)

Signature:自分の署名(アルファベットでも漢字でも署名であれば可)

パリ市内の公共交通機関の利用について

パリ交通公団(RATP)は、現状3〜5割になっている運行を7割程度まで回復するなど、市内交通は元に戻していきます。利用者が増え過ぎる場合は、駅を閉める場合もあります。イル・ド・フランス地域圏では、ピーク時(6:30〜9:00および16:00〜19:00)は、仕事とやむを得ない理由(以下の証明書記入欄を参照)以外の、公共交通機関の利用は許可されていません(11歳以上)。証明書はイル・ド・フランス地域圏のウェブサイト(以下)からダウンロード可能です。

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▲ピーク時公共交通機関利用証明書

【1. ピーク時公共交通機関利用証明書の記入方法】

Mme / M. :(アルファベットで氏名を記入)

Né(e) le:(生年月日を「日/月/年」の順で記入 例:17/03/2020)

À:生まれた場所(Tokyoなど)

Demeurant:現住所

次の理由に関連した移動であることを証明する(該当するケースを1ヵ所だけチェック:日本語訳は原文順)

- 居住地・職業上の活動が行われる場所間の移動、延期できない通勤利用(会社員については別途証明書あり)

- 居住地・教育施設間の移動であり、就学者または就学者の付き添い者によるもの、試験を受けるために必要な移動

- 診察、相談、専門的ケアのための移動であり、遠隔実施や自宅付近で確保されないもの

- 家族のためのやむを得ない移動、脆弱な人々のサポート、保育のためのもの

- 警察当局または司法当局によって課された義務による移動で、国家警察、憲兵隊、その他公共機関または専門家に出頭、訪問等をする義務から生じる移動

- 行政裁判所または司法当局からの召喚状に起因する移動

- 行政当局の要請により、指定された条件の下で公共目的のミッションに参加することを唯一の目的とする移動

Fait à Paris:この書面を署名した場所(Parisなど)

Le:外出日と出発時間(2020年3月17日10:30なら「20/03/2020 à 10h30」)

Signature:自分の署名(アルファベットでも漢字でも署名であれば可)

パリ市内および近郊の交通情報については「5月11日外出制限緩和にともなうパリ公共交通機関の運行状況【閉鎖駅あり】」にまとめています。TGVやIntercitésなど地域圏間の移動(SNCF)についても本数を増やしますが、事前予約は必須で、収容能力の50%までしか乗車できません。

文化、スポーツ、宗教について

図書館や地方の小規模な美術館は5月11日以降再開できます。大規模美術館や博物館、映画館、コンサートホール、パーティールームは引き続き閉鎖です。大型フェスティバルやスポーツイベントなどは9月まで開催されません。サッカーの2019-2020シーズンも再開しません。

安全が確認されれば公園なども解放されるが、現状では10人以上の集団利用はできません。コンタクトスポーツ、集団スポーツも引き続き不可です。ビーチは6月1日まで閉鎖が続きます。

宗教施設は5月11日以降に再開されますが、宗教行事は6月2日まで禁止です。お墓参りは5月11日以降、可能になります。市役所の結婚式は5月11日以降も再開はしません。

商業施設の再開について

カフェやレストラン、バー、ディスコ、大型ショッピングモール(4万平方メートル以上)以外の商業施設は、5月11日以降は再開できます。4万平方メートル以上の大型商業施設についても、地域圏知事の同意があれば再開(パリのあるイル・ド・フランス地域圏は除く)。市場も5月11日以降再開可能ですが、地方自治体の判断で閉めることが可能です。緑ゾーンにおいては、6月上旬からレストランやカフェが再開する可能性があります。

学校の再開について

5月11日以降、保育園、幼稚園、小学校は再開は可能ですが登校は自由です。幼・小・中学校のクラス人数は15人以下。保育園は10人以下。医療従事者の子供が優先されます。

小学校については、5月11日以降、100万人の生徒が学校に戻ります。これはフランス国内5万500校のうちの80~85%に当たります。5月18日以降は、緑のゾーンの中学校が再開します。高校については、緑のゾーンについては6月上旬から開校の可能性があります。

新型コロナウイルスの検査について

フランス全土においてPCR検査の能力は十分であり、すべての検査は保険で100%カバーされます。ドライブスルー形式や家での検査も可能となる予定です。

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更新記録:2020/5/8、10、11

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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