フランスが発表する新型コロナウイルス外出制限まとめ【2020年5月10日時点】

公開日 : 2020年05月10日
最終更新 :
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新型コロナウイルス(COVID-19:SARS-CoV-2)による新型肺炎について、現時点で出されている外出制限の現状を、フランス当局の公式発表などを元にまとめました。

新たな発表があり次第、順次内容を更新していきますので、以前の内容と異なる場合があります。5月11日以降の外出制限緩和措置については「フランスの新型コロナウイルス外出制限の緩和措置まとめ【2020年5月11日以降】」をご覧ください。

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▲閑散とするリヴォリ通り

フランスの新型コロナウイルスの現状

フランスでの新型コロナウイルスの現状は以下です(2020年5月9日現在)。

感染者:13万8854人

入院:9万5829人

ICU(集中治療室):2812人

退院者:5万6038人

死者:2万6310人

外出制限と必要書類

フランスでは、3月17日の正午から外出制限が敷かれており、5月11日から順次、制限解除措置が行われていく予定です。

外出制限が敷かれている期間中は、外出・移動はいくつかの理由(下記参照)に限られ、「特例外出証明書(Attestation de Déplacement Dérogatoire)」を携帯している場合のみ許可されています。仕事が理由の外出は、あわせて「出勤証明書(Justificatif de déplacement professionnel)」も必須です。

違反した場合には€135、15日以内の再犯には€1500が科せられます。また1ヵ月に4回違反すると€3700に加えて最大で6ヵ月の禁固が科せられる可能性があります。期間中は10万人の警察と国家憲兵隊が動員され、フランス全土に固定式と移動式の検問移が設けられています。

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▲左が紙の特例外出証明書、右が紙の出勤証明書

特例外出証明書は下記の政府および内務省のウェブサイトからダウンロードできます(以下3つのファイルは形式が違うだけで書面の内容は同じです)。

プリンターがない場合は、すべてを手書きでも代用できますが、4月6日より電子版(内務省のウェブサイト)の運用も開始されています。必要事項を入力して送信(「Générer mon attestation」をクリック)すると、QRコード付きPDFファイルで電子版証明書を作成できます。検問の際には、その電子証明書についているQRコードをスマホやタブレットなどで提示することで、紙の証明書と同じ効力になります。証明書は外出ごとに新しいものが必要です。

【特例外出証明書の記入方法】

Mme / M. :(アルファベットで氏名を記入)

Né(e) le:(生年月日を「日/月/年」の順で記入 例:17/03/2020)

À:生まれた場所(Tokyoなど)

Demeurant:現住所

次の理由に関連した移動であることを証明する(該当するケースを1カ所チェック:日本語訳は原文順)

- テレワークができない必要不可欠な仕事または延期できない仕事のための、自宅と職場間の移動(別途書類が必要)

- 仕事のために必要な買い物または必要不可欠な買い物を許可された施設において行うための移動

- 遠隔からは行えず延期できない診療・治療、長期的疾患患者の診察・治療

- 家族のやむを得ない理由、または脆弱な人、子供の世話をするための移動

- 集団的スポーツ以外で他人との接近を伴わない個人的な運動や散歩(複数人で行う場合には同居人同士のみに限定)、ペットのために必要なもので、1日1時間以内、自宅から1km以内で行う短時間の移動(注:パリ市は4月8日より10:00~19:00の時間帯について、個人的な運動目的での外出を禁止します)

- 司法・行政による召集

- 行政当局の要請を受けて行う公益活動への参加

Fait à Paris:この書面を署名した場所(Parisなど)

Le: 外出日と出発時間(2020年3月17日10:30なら「20/03/2020 à 10h30」)

Signature:自分の署名(アルファベットでも漢字でも署名であれば可)

*1:買い物における「許可された施設」とはフランス政府のウェブサイトを参照。

*2:職務や診察・治療の移動手段として自転車は使えますが、趣味やスポーツとしての自転車は使えません。

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▲パリ市内を見回る警察官

出勤証明書は下記の政府および内務省のウェブサイトからダウンロードできます(以下3つのファイルは形式が違うだけで書面の内容は同じです)。

【出勤証明書の記入方法】

Nom prénom de l'employeur:雇用者名を氏名の順に記入

Fonctions:職

Nom:氏

Prénom:名

Date de naissance:生年月日(1900年1月2日生まれなら「01/02/1900」)

Adresse du domicile:自宅住所

Nature de l'activité professionnelle:職務内容

Lieux d'exercice de l'activité professionnelle:職場

Moyen de déplacement:移動手段(地下鉄、バスなど)

Durée de validité:所要時間

Nom et cachet l'employeur:雇用者名と社印

Fait à:署名した場所(Parisなど)

Le:署名日(2020年3月17日なら「17/03/2020」)

買い物や運動できる距離を地図上で調べるには以下のウェブサイトが便利です。

【外出時の便利サイト】

Ça reste ouvert」営業中店舗の検索

Carte Sortie Confinement」運動時の自宅から1km範囲の検索

なお在フランス日本国大使館によると、今回の新型コロナウイルスと外出制限に関連した、偽警察官や偽防疫官による犯罪が起きています。フランスにおける罰金徴収方法は、その場で現金を支払う方式はなく、今回の外出制限に限らず以下の4種類のみです。

- クレジットカードによるネット支払い

- 違反金支払切手による支払い(指定されたタバコ店で入手可能)

- 小切手による支払い(税務署であるTrésor Public宛に郵送)

- 税務署事務所窓口での支払い

以上は在フランス日本国大使館のウェブサイトを参照しています。

店舗や観光地の閉鎖状況

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▲閉鎖されたチュイルリー公園

エッフェル塔やルーブル美術館、ベルサイユ宮殿、ディズニーランド・リゾート・パリなどパリおよび近郊スポットは、軒並み閉鎖されています。ギャラリー・ラファイエット、プランタン、ル・ボン・マルシェ、BHVなど百貨店も閉店。ただし、ル・ボン・マルシェの食品館ラ・グランド・エピスリー・ド・パリは営業しています。

外出制限下のパリの様子については、パリ特派員ブログの記事「フランスは外出制限を実施中:ルーブルなどパリの観光地は静まり返る」で詳しく触れています。

■新型コロナウイルス感染防止対策で閉鎖された施設

2020年3月14日のアレテ(省令)により、以下の施設の閉鎖が通達されました。

- 視聴覚・会議・集会・ショー・多目的室(L)

- ショッピングセンター(M)

- 飲食店(N)

- ダンスホール、ゲーム室(P)

- 図書館、文書館(S)

- 展示ホール(T)

- 屋内スポーツ施設(X)

- 美術館、博物館(Y)

ホテルのレストランやバーは、ルームサービスを除き「カテゴリーN」に該当します。カテゴリーNは、持ち帰りと配達が許可されています。

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▲トロカデロ広場で違反者を見張る警察車両

■公園やセーヌ川の遊歩道など

3月16日にパリ市は、16日をもってパリ市の公園を閉鎖しました。3月20日15時から、セーヌ川右岸・左岸の道、川沿いの道、アンヴァリッドの広場芝地、シャン・ド・マルス公園への立ち入りは、外出制限が完全に解除されるまで禁止です。

フランス国内の交通状況

■パリ市内の交通状況

パリ市内および近郊の地下鉄(メトロ)、RER(イル・ド・フランス地域圏急行鉄道網)、バス、トラムは、どれも大幅に減便して運行されています。運行情報はRATPのウェブサイトSNCFのウェブサイトで常に更新されています。おおむね通常の3割程度の運行しかありません。一部地下鉄駅も閉鎖されています。

■パリ市内と空港間の交通手段

ロワシーバス(パリ市内〜シャルル・ド・ゴール空港)、オルリーバス(パリ市内〜オルリー空港)、オルリーヴァル(RER B線アントニー駅〜オルリー空港)は、政府の新たな決定があるまで運休。ル・ビュス・ディレクトは3月28日から大幅に減便中です。3月30日からはシャルル・ド・ゴール空港ターミナル2Eと2Fのみ停車します。時刻表は以下の各方面リンクを参照してください。

■フランス国内の都市間鉄道

大幅に減便しています。詳細はSNCFの運行情報のページをご参照ください。2020年4月30日までのTGV INOUI、OUIGO、Intercités、TERの切符は、すべて無料で予約の変更または返金ができます。変更・返金方法はSNCFのウェブサイトをご覧ください。

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▲乗客がいない地下鉄サン・ミッシェル駅

■フランスと国外をつなぐ鉄道

イギリス(ユーロスター)、ベルギー(タリス)、スイス(TGVリリア)方面は減便され各方面1~4本程度。ドイツ(TGV/ICE)、スペイン(TGV/AVE)、イタリア(TGV)方面の列車は、新たな決定があるまで運行が停止されています。

フランス・日本間のフライトおよび出入国情報

EU圏内国境をまたぐ移動が、3月17日12時から少なくとも6月15日までは閉じられています。パリ空港公団のウェブサイトによると、封鎖が解かれない限り、外国からの旅行者がEU圏内へ入国することはできません。ただし以下の場合は除きます。

【EU圏外の国で入国できる人】

- イギリス国民、アイルランド国民、ノルウェー国民、スイス国民、リヒテンシュタイン国民、フランス海外県に住むフランス国民

- フランスの滞在許可証またはEUの滞在許可証を所持している外国人

- 物流関係従事者

- 新型コロナウイルスに対応するための医療従事者

在フランス日本国大使館によると、フランスからの出国は通常通り行うことができます。自宅から空港までは、上記の特例外出証明書を携帯してください。空港までの外出理由(チェックを入れる項目)については、人により変わると思いますので、迷った場合は在フランス日本国大使館にお問い合わせください。

日本の外務省は、フランスに対して感染症危険情報「レベル3:渡航は止めてください」を出しています。日本の厚生労働省は、指定の流行地域から来航する航空機等で入国するすべての人に、健康状態に異状のない人も含めて、検疫所長の指定する場所(自宅など)で14日間の待機を要請しています。

フランスから日本へ入国する場合、PCR検査の受診が必須です。検査結果が出るまでには最長2日間程度の待機が必要です。それまでは検疫所長が指定する場所で待機し、検査結果が陽性の場合は指定の医療機関に入院となります。陰性の場合も保健所による健康フォローアップが必要です。

空港などからの移動も含め電車、バス、タクシー、国内線フライトなど公共交通機関は使用できません。家族に迎えに来てもらうか、レンタカーなどの手配が必要です。入国した空港から国内線に乗り継いで各地方空港に行くことも公共交通機関の利用になります。

【フランス→日本入国時の注意】

- 入国時のPCR検査は必須で、検査結果が出るまで指定の場所で待機

- 入国前に自身で入国後14日間の滞在先(自宅やホテル)を確保していること

- 空港からその滞在先まで移動する手段(公共交通機関以外)を確保していること

- これらが要請されることを前提として、入国後の旅程に支障がないこと

日本の外務省の関連ページもご参照ください(査証の制限について入国・入域後の行動制限について)。

フランスから日本に入国するまでの様子は、以下のパリ特派員ブログの記事にまとめています。

- シャルル・ド・ゴール空港から羽田空港への入国まで

- 入国後に国内線を使わず帰宅するまで

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▲羽田空港第3ターミナルに駐機中のANA機

日本からフランスへ入国またはフランスでの乗り継ぎには、2020年4月6日18時より国際移動適用除外証明書が必要です。同証明書は以下の4種類あります。

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▲国際移動適用除外証明書の本土用英語版(左)とフランス語版(右)

【国際移動適用除外証明書の記入方法(フランス本土用:英語)】

Ms/M.:氏名

Born on:生年月日(1900年1月2日生まれなら「01/02/1900」)

Nationality:国籍

Residing:住所

私の旅行の動機は次のとおりです。

Third country nationals:(第3国の国民、つまり日本人も含む:理由を1ヵ所チェック)

- フランスまたはEUの滞在許可証を所持し、フランス、EU、イギリス、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、アンドラ、モナコ、スイス、サンマリノ、バチカン市国をおもな居住地としている個人

- 自身の国のパスポートを所持し母国へ戻る、フランス領土に入らず出国エリアで乗り換えをする個人

- 新型コロナウイルス対策に従事する医療関係者

- 物流関係者

- 旅客や貨物フライトの乗務員

- 外交官やフランスに本部のある国際機関に勤める職員

- 国境を越えて働く労働者

Ressortissants de l'Union européenne et assimilés:(EU市民、日本人の場合は該当するケースが少ないため同項目は割愛)

Fait à:署名した場所(Tokyoなど)

Le:署名日(2020年4月6日なら「06/04/2020」)

在日フランス大使館のウェブサイトも、あわせてご覧ください。

新型コロナウイルスへの対応策

フランス当局は、健康を保ち感染を防ぐために次のことをフランス国民に推奨しています。

- 1日2回の体温測定

- 咳や呼吸困難などの呼吸器官の症状観察

- こまめな手洗い、またはアルコール消毒を行う

- 妊婦、慢性疾患、高齢者など体の弱い人との接触を避ける

- 体の弱い人がいる施設(病院、産院、老人ホーム)に通うことを避ける

- 大きな集会、レストラン、映画館など不要不急の外出は避ける

感染兆候(発熱や発熱の感覚、咳、呼吸困難)がある場合は、以下の措置を取ってください。

- SAMU(医療救急組織:電話番号「15」番)へ連絡し症状と渡航歴を報告

- 周囲との接触を避ける

- 感染拡大を防ぐため、かかりつけ医や救急病院へは行かない

- 出歩かない

新型コロナウイルスについて質問がある時は「15」番ではなく、通話料無料の電話番号「0 800 130 000」(24時間・年中無休)に相談してください。

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▲外出制限で誰もいなくなったサクレクール聖堂前

下記の予防策が効果的です。

- こまめな手洗い

- 咳やくしゃみはひじやティッシュで覆う

- 握手や接触ある挨拶は避ける

- ティッシュは使い捨てる

- マスクを着用する

フランスの新型コロナウイルスについての内容は、フランス政府のウェブサイトもご覧ください。

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疑問点がある場合、各人によって状況は異なりますので在フランス日本国大使館に問い合わせることを、おすすめします。今後も何かあれば追記します。

更新記録:

2020/02/27、29、03/01、2、4、5、7、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、26、27、28、29、30、31、4/3、5、6、7、8、9、13、20、23、29、5/1、6、9、10

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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