新型コロナ規制下でのフランスから日本への入国・移動・待機についての状況まとめ【2020年3月時点】

公開日 : 2020年03月23日
最終更新 :
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▲羽田空港第3ターミナル

新型コロナウイルスの世界的影響が日に日に大きくなっています。日本の厚生労働省によると、3月21日午前0時以降に、ヨーロッパ諸国、イラン、エジプトから来航する航空機、または船舶で日本に入国される際には、検疫法での隔離・停留が必要となりました。また検疫所長が指定する場所(自宅など)での14日間の待機のお願いが出されています。つまりフランスからの日本への帰国も、この範疇に入ります。

3月末のこの時期は、日本では年度の変わり目であり、駐在員の方などは日本への帰国を予定していた人も多いはずです。卒業旅行時期でもあり、たまたまヨーロッパにいるタイミングが今回の新型コロナウイルスの流行と重なってしまったという人もいるかもしれません。フランスに留学していたが新型ウイルスの影響で留学が中止になり、日本へ帰らざるをえなくなってしまったケースもあるでしょう。

じつは私も、今回の新型ウイルスが流行する前から、3月末に日本へ戻る予定を立てており、日本行きのフライトを押さえていました。状況が状況ですので対応にとても悩んだのですが、最終的には日本へ戻る決断をしました。これから日本へ戻らなければいけない人への不安を取り除くのと、無事自宅まで帰るまでの手助けになればと思い、書き記すことにしました。

(この記事は外務省の感染症危険情報が「レベル2」として発令されていた時の入国の様子です)

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▲シャルル・ド・ゴール空港第1ターミナル

日本行きのフライトに搭乗するまで

まずパリ市内からシャルル・ド・ゴール空港までの移動手段ですが、私はタクシーを使いました。現在フランスでは少なくとも15日間の外出制限が敷かれていますが、公共交通機関は間引き運転をしながらも動いています。タクシーやUberなど配車サービスも認められています(パリでの状況は「フランスが発表する新型コロナウイルス外出制限まとめ【5月10日以前】」を参照)。今回の帰国の場合、私は日本に戻るまで、なるべく不特定多数の人とすれ違うことを避けるため、パリの家から空港まではタクシーを手配しました。

この状況下ですので、空港は閑散としています。どこで手に入れているのかと思うくらい、いつもよりマスクをしている人は多いです(現在フランスでは、マスクは医療従事者などへ優先的に渡るようにコントールされています)。

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▲第1ターミナル内の免税店街

日本の住所が地方にある人にとって、今回の状況下でもっとも気になるのが「日本国内で公共交通機関を使わないように」という点です。航空会社へ問い合わせたところ、「国内での公共交通機関」には羽田空港からの国内線のフライトも含まれるそうです。つまり羽田空港で入国して、そこから各地元がある地方空港へは、国内線を乗り継いで行くことができません。

実際、私が搭乗した羽田行きのフライトでは、シャルル・ド・ゴール空港で搭乗手続きをする時点で、チェックインカウンターで入国後の国内線乗り継ぎの状況を尋ねたところ、「羽田までしか行けません」と伝えられました。

搭乗手続きを終わった後は出国審査です。それを抜けると、通常であれば免税店が多く並んでいますが、現在は水や軽食を売るキオスクのみ営業していて、他のお酒や化粧品、各ブランドの店舗はすべて閉まっています。ラウンジも閉まっています。

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▲第1ターミナルの各ラウンジは軒並み閉鎖

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▲搭乗口付近もキオスクを除いてすべて閉鎖

日本行きの機内で渡される書類

飛行機への搭乗後は、以下の2点の書面が客室乗務員の方から手渡されました。

- 質問表

- 入国される方へ検疫所よりお知らせ

「質問表」には、過去14日間にどの地域に流行地域に滞在していたかどうか、氏名や住所、航空便名、日本での連絡先などを記入し、「過去14日間以内で、発熱やせきなどの症状がある人との接触があったか」などを答えていきます。日本に居住していない人の場合、日本での滞在先と電話番号など連絡先を記入します。

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▲質問表

「入国される方へ免疫所よりお知らせ」には、どこの国と地域から入国する場合が新型コロナウイルスに対応する特別な検疫の対象になり、日本への入国後はどのように行動すべきか、が書かれています。この書類にも、日本入国後の待機場所や、滞在期間を伝えます。

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▲「入国される方へ免疫所よりお知らせ」表面

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▲「入国される方へ免疫所よりお知らせ」裏面

また便が羽田空港に到着し、飛行機から降りる直前に、さらに追加の書類が配られました。

- 申告書

「申告書」には、「私は、下記の自宅またはホテル等の待機場所において、入国した次の日から起算して14日間は同場所で待機し、以下のように行動します」と書かれ、今後の自分の行動を申告し署名します。待機場所までの移動手段も記入する欄があり「自家用車での迎え、レンタカー、その他」などを記入します。

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▲申告書

日本に入国して空港の制限区域から外へ出るまで

飛行機から降りて空港内に入ると、入国前にまず検疫のゲートを通ります。指定の地域からの入国者の場合、上記3つの書類を提出し質問に答えてから、入国審査へと進みます。

指定地域からの入国した場合、専用の検疫箇所に並ぶ必要があります。そこで検疫官が、ひとりひとり旅行者を確認していきます。指定された場所からのフライトが到着すると検疫場所には列ができ、それなりに待ちます(私の時は1時間以内くらいだったような気がします)。フランスからの入国であり、特に症状がない場合は、質問以外の特別な検査(PCR検査など)は行われません。

(注:この記事は感染症危険情報「レベル2」の時のものであり、3月23日に「レベル3」に引き上げられ、PCR検査が必須になりました「フランスが発表する新型コロナウイルス外出制限まとめ【5月10日以前】」)

検疫官による質問が終わると、これまでの渡航歴と結果により青または赤の紙が渡され、それを一般の検疫ゲートで見せることによって、検疫を通過できます。検疫を通過後は、自動化ゲートなど通常通り入国の手続きを済ませ、荷物受け取り場所へ。空港の制限区域から外へ出られます。

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▲質問を終えた後に渡された青紙

羽田空港から各国内の空港へ乗り継ぐ場合、荷物受け取り場所から出たら、本来であれば国内線乗り継ぎのチェックインカウンターへ行くのですが、今回は国内線は利用できません。そのため、出たところで家族などの迎えを待つか、レンタカーで指定の待機場所まで移動、移動ができない場合は、仕方がありませんので空港のホテルで2週間宿泊することになります。

私はレンタカーを手配して、日本の自宅まで戻ることにしましたが、ひとまず今回はここまでにして、その後のことについては、「新型コロナ規制下のフランスから日本へ入国後の移動と14日間の待機について」にまとめました。

*状況は変化する場合があるのと、私の認識が誤っている可能性があるかもしれません。併せて在フランス日本国大使館や各航空会社に最新の情報を確認することをおすすめします。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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