20年ぶりに縄文がパリへ 国宝・重文がずらりそろう「縄文-日本における美の誕生」展【ジャポニスム2018】

公開日 : 2018年10月31日
最終更新 :
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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation 重要文化財「遮光器土偶」青森県木造亀ヶ岡出土 東京国立博物館蔵

パリを中心に今フランスは日仏友好160年のプロジェクト「ジャポニスム 2018:響きあう魂」に関連した、さまざまな企画が真っ盛りです。そのジャポニスムにおいて、パリで数多くの催しを行なっているのがパリ日本文化会館です。2018年10月17日から2018年12月8日までは「縄文-日本における美の誕生」展が開かれています。

今回の催しは、今年夏に東京国立博物館で開催され話題となった「縄文‐一万年の美の鼓動」展をパリ向けに再構成したもの。火焔型土器、遮光器土偶など、国宝や重要文化財に指定される日本各地での出土品がならび、その独特の美を堪能できる展覧会です。

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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation

まず会場へ入ると出迎えてくれるのが火焔型土器。その様式はあまりにも有名で「縄文時代」や「縄文土器」を知らない人でも、どこか写真などで見たことはあるのではないでしょうか。

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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation 国宝「火焔型土器」新潟県笹山遺跡出土 新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管)

その後に会場中央に鎮座するのが遮光器土偶。こちらも火焔型土器と同じく大変有名。日本人が持つ「土偶」の典型的なイメージになっていると思います。

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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation 重要文化財「遮光器土偶」青森県木造亀ヶ岡出土 東京国立博物館蔵

もちろん土偶は遮光器土偶だけではありません。中空土偶、仮面の女神、縄文の女神、縄文のビーナスと呼ばれる国宝が次々と会場内に続きます。

これら土器や土偶を見ていると、何千年も昔に作られたものであるにもかかわらず、今でも作り手の生々しい熱を感じます。その造形美だけでなく、土偶の体に描かれた模様は当時の入れ墨だったのだろうかとか、当時の人々の生活様式などに思いが巡り、一つの作品からなかなか次の作品へと移れません。

私が訪れた時は、フランス人の年配者を中心に来場者がおり、興味深そうにそれぞれの土器や土偶に見入っていました。

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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation 国宝「火焔型土器」新潟県笹山遺跡出土 新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管)

今回の展覧会では、作品展示だけではなく、関連イベントもパリ日本文化会館で企画されています。11月14日と同16日には、縄文時代を題材としたドキュメンタリー映画「縄文にハマる人々」が上映されます。「縄文時代の土器の文様に込められた意味とは」「土偶が象徴するものとは」といった実証的に答えを出すことが難しいこれらの問いを、考古学や民俗学の専門家、文化人やアーティストから市井の人々まで、現代日本人がどのように縄文文化をとらえているかを描いた作品です。

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日本では、東京国立博物館で開催された「縄文‐一万年の美の鼓動」展をきっかけとした縄文ブームの追い風で、ロングランするほどの人気ぶりだったそうです。

■縄文にハマる人々(監督:山岡信貴)

上映日時:

11月14日18時00分~

11月16日18時00分~

会場:パリ日本文化会館 小ホール(地上階)

参加費:無料(予約制)

日本語、英語字幕付き

1998年にも、パリでは国際交流基金がパリ日本文化会館で開催した「縄文展(JŌMON: l'art du Japon des origines)」という展覧会がありました。20年越しでのパリにおける縄文文化の披露は、再び多くのフランス人を魅了していくはずです。

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© Hiroyuki Sawada Photo: The Japan Foundation

【データ】

住所:101 bis Quai Branly 75015 Paris

開催期間:2018年10月17日〜12月8日(12〜18時)

最寄り駅:地下鉄6号線Bir Hakeim/RER C線Champ de Mars - Tour Eiffel

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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