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パリで「日本映画の100年」スタート 無声映画『雄呂血』上映で弁士・坂本頼光さんらに拍手喝采【ジャポニスム2018】

カテゴリー:お題 / イベント・行事・お祭り / エンターテイメント・音楽・ショー / 文化・芸術・美術 / 見所・観光・定番スポット 投稿日:2018年10月 1日

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2018年9月から2019年3月まで、「ジャポニスム2018」公式企画として「日本映画の100年」というイベントが開かれます。名前の通り、日本映画の100年の歴史を119本の映画で紹介するという企画で、1920年代の作品から2018年の最新作まで、119本が日仏の専門家により選ばれています。


「ジャポニスム2018」公式サイトによると、第一部(2018年9月~10月)「日本映画の萌芽」では、フランス映画文化の中心拠点、シネマテーク・フランセーズにて1920年代~1940年代の映画27本を上映。日本映画の発芽期から黄金期が始まる時代の作品群にあたります。そのオープニングイベントとして、9月26日に1927年に公開された阪東妻三郎主演の無声チャンバラ映画『雄呂血(おろち)』が、活動弁士・坂本頼光さんと楽団カラード・モノトーン・トリオを伴って上映されました。

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(左からロジェさん、坂本さん、カラード・モノトーン・トリオ、安藤さん)


上映が始まる前、報道関係者向けに今回の上映される119本を選んだ専門家の囲み取材が行われました。


専門家の一人、シネマテーク・フランセーズ・プログラミングディレクターのジャン・フランソワ・ロジェさんは「フランス人がまったく見たことのない新しい発見の機会を与えると共に、何か懐かしい気持ちにさせるようなセレクションにした」と今回の内容を答えました。早稲田大学名誉教授・東京国際映画祭プログラミングアドバイザーの安藤紘平さんは「日本人がどういうものか、日本の文化というものがどういうものかということを、この機会に知ってもらいたい。映画を見るとその国が分かると言うが、日本というものが外から考えているようなものとは違い、こういうことこそ日本人なんだということを知ってほしい」とリストの趣旨を説明しました。


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(左から安藤さん、ロジェさん、アルデュイニさん)


パリ日本文化会館映画部門プログラミングディレクターのファブリス・アルデュイニさんは、オープニング作品に『雄呂血』を選んだ理由について、「当時、地震や戦争、空襲などいろいろな被害があり、残っている映画は少ない。その中で『雄呂血』は大切な存在。最初から最後まで保管されたケースだ。当時の日本はモダンになる時期で、もしかしてハリウッドより多くの映画を撮っていたかもしれないし、フランスより活発だった」と答えました。


そして「当時は政治的な面でも意味がある時代で、『雄呂血』は一見エンターテインメントのように見えるが、その裏では近代化とは何かを問いかけている映画。明治時代という近代化の、政治的にも文化的にも外交的にもとても活発になる時代において、『雄呂血』以外にもたくさんの映画があったが、残念ながら無くなってしまった。この映画は当時の雰囲気をよく表している」と述べました。


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その後、20時から『雄呂血』が上映されました。無声映画にもかかわらず、まるで最初から音がついているような滑らかさ。フランスの観客はスクリーンに映画に釘付けになっていました。活弁士の坂本頼光さん、生演奏の音楽をする楽団カラード・モノトーン・トリオ、『雄呂血』の映像がきれいに調和し、まさに舞台芸術です。


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途中、昔のようにフィルムが途切れ中断してしまったアクシデント(のように見せかけた? )箇所では、坂本さんのとっさのアドリブも入りました。ただしアドリブが日本語だったため、その素晴らしさがいまいちフランス人の観客に伝わらなかったのが、個人的に少し残念でした(一方で、字幕などを付ければアドリブではないですし、この加減が難しいですよね......)。


とにかく終演後は拍手が鳴り止まず、現地の観客は大いに賞賛。日本の絵画や伝統芸能、演劇以上に、こういったまずフランスでは見られないものを見られたことが、「ジャポニスム2018」の真髄だと思わせてくれたイベントでした。


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ジャーナリスト。日本メディアに海外事情を寄稿。日・仏・英の比較文化が専門。ロンドンにて公共政策学修士を修めた後、日本で雑誌記者として活動する。2009年よりパリ在住。取材経験はカンヌ国際映画祭、パリ同時多発テロ事件、ブリュッセル連続テロ事件、ニーステロ事件、仏大統領選など。欧州を中心に約60カ国800都市に渡航経験あり。仏外務省が発給する記者証所持。元ANNパリ支局勤務。フランス/パリの旬の話題を中心に更新していきます。お仕事などのお問い合わせはこちら、またはメールにて。
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