ハーレム初級編(中) 〜散策ルートは東西南北、とにかく歩く

公開日 : 2006年06月13日
最終更新 :
ハーレムの教会.jpg

135丁目からスタートしてしばらくするとハーレム高級住宅街にはいるが、そこからちょっと足を伸ばしただけで、一転して低所得者向けのアパートが立ち並ぶ「ゲットー(=スラム街)」と呼ばれるエリアに変る。貧しくても慎ましやかに暮らす人々がいる反面、貧しさゆえに犯罪が起こりやすい地域でもあることは否めない。またヨーロッパ建築を髣髴させるような瀟洒な建物が、メンテナンスの入らないまま、廃墟のようにたたずむ様には、ハーレムにあって場違いな雰囲気を覚える。

D女史によれば、ハーレムはもともと中産階級の白人が住む街として開発されてきた。しかし、20世紀初頭から徐々に白人のハーレム離れがすすみ、変わって黒人が占めるようになる。それから半世紀後、ベトナム戦争の勃発。このとき大勢の若者が召集されたがハーレムの住人も例外ではない。ようやく開放され、戦地からハーレムに戻ってきてみると仕事がない。当てもないその日暮らしからいつしか無気力になり、当時はドラッグに走る若者も少なくなかったようだ。こういった若者の無収入状態から、当然家賃収入が得られない不動産管理業者がビルを放置し、その結果が今現在の荒廃ぶりである。マンハッタンの家賃が高騰している現在、いづれはメンテナンスが入り、どんどん開発が進むと思われるハーレムだが、できるだけ歴史を伝える建物を温存してほしいものである。

138丁目のシティーカレッジは公立大学としては全米で最も古いものだそうだ。 ハーレム生まれ、ジャマイカ系両親を持つパウエル元国務長官もこの大学の卒業者とのこと。米国の政治に関わる立場にあっては黒人寄りの発言はできないものの、役職から離れると、やはり彼も黒人としての誇りをもったスピーチに変る様は聞くだけで興味深い。

カレッジを過ぎると、D女史ツアーは一気に目抜き通りを目指して前進する。(次回へ続く)

(写真は、Mt. Zion Lutheran Church、ハーレム内には実に200以上の教会があるらしいがその外観は様々。ヒップホップワールド、ハーレムに来て中世ヨーロッパを味わってみるのも悪くない。)

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