不思議なパワーがみなぎる朝護孫子寺

公開日 : 2018年09月06日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)は奈良と大阪の県境の生駒山に連なる信貴山(しぎさん)にあります。

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山の上の方に本堂が建てられ、御本尊が毘沙門天(びしゃもんてん)とくれば、どことなく京都の鞍馬寺と似ている感じもいたします。

信貴山は約1400年前に仏教推進派であった蘇我馬子(そがのうまこ)に加勢した聖徳太子が、排仏派であった物部守屋(もののべのもりや)の討伐を祈願された場所で、寅の年・寅の日・寅の刻に虎を引き連れた毘沙門天が出現され、戦勝の秘法を授けられたので見事に勝利されたと伝わっています。以来、この山を「信ずべき貴ぶべき山」と名付けられ、毘沙門天の尊像を守護神として祀るようになったのが朝護孫子寺創建の由来となっています。

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もう若い世代には分からないかもしれませんが、第二次世界大戦のときの真珠湾攻撃で、日本軍の奇襲攻撃が大成功した事を知らせる電文が「トラ・トラ・トラ」だったのは有名な話。もちろんこの聖徳太子のエピソードからきていることは言うまでもありません。

当然これは日本軍の暗号で、それを傍受していたアメリカ人は意味はさっぱり分からず「虎のように攻めてきた!」と本国に連絡したという話も残されています。そして1970年に公開された『トラ・トラ・トラ!』というタイトルが付けられた戦争映画は、なんとアメリカと日本の合同で制作されています。そうはいってもアメリカ主導で制作されている映画ですので、当然ながら戦勝国側から日本をコキおろすような内容かと思いきや、かなり中立な視点で真珠湾攻撃を描いてあるので、正直驚きました。もちろん所詮は映画ですから実際の史実とは言えませんが一度は観ていただくのも有りだと思います。

話が逸れてしまいましたが、真珠湾攻撃は今から77年前の出来事です。勝利の暗号にトラ・トラ・トラを使うくらいなのですから当時の人達には1400年前の、毘沙門天の話が当たり前のように伝わっていたということです。ところが今はもう日本国民のほとんどが知らないのではないでしょうか。このまま放置したのでは日本の正しい姿はどんどん消えてしまいますので、これを読んだ方はこの話を子々孫々(おおげさ)にまで伝えて欲しいものです。

こちらのお寺は山全体がまるで何かのテーマパークのように伽藍が立ち並んでいて、とても全部を語りつくせませんが大事な所だけを解説したいと思います。

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まずは山門をくぐりますと、この巨大な虎(正式には世界一福寅)がお出迎え。

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とりあえず本堂を目指しますが、その途中にも多くの伽藍が立ち並んでいますので、一つ一つ丁寧にご挨拶をしていきます。

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ようやく本堂へ。京都の清水寺や奈良の長谷寺と同じように崖に舞台が張り出すような、いわゆる舞台造りと呼ばれる造形で、現在のものは1958年の再建です。さすがに山の上なので見晴らしが良く、この舞台からは奈良盆地が大きく見渡せます。

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ここでは本堂の扁額(へんがく)に注目して欲しいのですが、毘沙門天王と書かれた左右に居るのは何かお分かりでしょうか?そう、百足(ムカデ)なんです。

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そしてこちらにもまたムカデ(汗)。なぜ虫の中でもあまり人気が無さそうな百足がお寺の大切な本堂に使われているのでしょうか?

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お寺の説明によりますと、御本尊の毘沙門(ビシャモン)という名は本来古代インドのサンスクリット語のヴァイシュラヴァナの音訳です。直訳すると「よく聞く神の子」であり、日本に伝わった仏教では内陣の四方を守護する四天王の中で北を守護する多聞天(たもんてん)として知られていますが...本来は夜叉(やしゃ)や羅刹(らせつ)といった悪鬼たちを支配し、鉱山に眠る金銀などを発掘させ、財宝を守っているヒンドゥーの神様なのです。

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(これはイメージです)

また金山の坑道を「ムカデ穴」と呼んだり、昔からお金のことを「お足」といわれたことなどから、大勢のお客さんがお足(お金)を運ぶとされて、ムカデを使者とする毘沙門天を商売繁盛の神様として信仰されてきたそうです。運動会の競技にある二人三脚は走るのがとても難しいが、ムカデは百の足並をそろえて見事に走るということから、足の引っ張り合いをせず皆の力を合わせて事を成せば、大きな力を生むという教えを伝えているそうです。

また、日本では七福神のお一人として、金運如意、心願成就の福の神として信仰されていたりと、本当に一人で何役もこなす半端ない存在、それが毘沙門天なのです。そして朝護孫子寺は奈良の中でも屈指のパワースポットの一つだと自信をもってお伝えできるお寺です。

次回へ続きます。

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