お願いは一言で!葛城一言主神社

公開日 : 2018年08月30日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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奈良はとても古い歴史を持っている場所だということは、皆さんの頭の中にもしっかりとイメージされていることと思います。とはいっても、そのイメージは東大寺や興福寺、春日大社や薬師寺、唐招提寺といった世界遺産レベルの寺社の文化財や、その周辺の街並みが古めかしいから何となくそんなイメージを刷り込まれているだけではないでしょうか...。

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じっさいに鬼レベルの国宝から、そこそこのクラスまで古い建物がたくさんありますし、それほど歴史に興味がない観光客の中には、全部一緒くたに古いものと思われている方々も多いかもしれません。しかし日本の歴史はとても長いわけですが、過去から現代までは一本のレールで繋がっていますから、ゆっくりと紐解いていけばどんどんと面白くなってきます。

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そして、今でも過去の歴史がそのまま伝承されているような場所がたくさん残されていますので、多少の交通の便は悪くとも、どんどんと過去へと遡っていくことができる素晴らしい場所なのです。

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さて、この写真は奈良県と大阪府の境にある金剛山(こんごうさん)と葛城山(かつらぎさん)

向かって左の金剛山の方がちょっと背が高くとがった感じで、葛城山は優しい感じの山。この山の東麓は、大和王朝以前の天皇家を支えた、鴨氏や葛城(かつらぎ)氏が本拠としていたことは「高鴨神社」の記事で書いた通りです。

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今回はこの麓にある、これまた強烈なパワーのある葛城一言主(ひとことぬし)神社を紹介。

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こちらの御祭神は、その名も一言主大神(ヒトコトヌシノオオカミ)です。ここもまたしっかりとした由緒を持つ神社の一つで、歴史に登場するのは西暦にして450年頃のこととなります。

古事記によりますと、第二十一代・雄略(ゆうりゃく)天皇4年の夏、天皇は百官を引き連れ、葛城山で狩りを楽しんでおられました。家臣は皆、青摺りの衣を着て赤い紐のタスキという、一目で高貴のお供とわかる格好で登っていました。

その途中、 隣りの山の尾根づたいをまったく同じ装いをした百人が登っているのをご覧になった天皇は

「この大和の国に 私のほかに大王はいないはず!この一行を治める長は 誰か?」とお尋ねになり、家臣に問わせました。

すると向こうの尾根の人々は、言葉も態度も まるで天皇とそっくりに オウム返しで答えてきたのです。

それを聞いて激怒した天皇は、 家来に矢をつがえさせました。すると彼らもまた同じように矢をつがえて構えてくる。

そこで天皇は相手方に向かって「そちらの名は何と申すか?互いに名乗ってから矢を射かけよう」と仰られました。

すると今度は「私の名は 悪しき事にも一言・善き事にも一言言い放つ神 葛城の一言主(ひとことぬし)の大神であるぞ」と返事が返ってきたのです。

これを聞いた天皇は大いに恐縮され、深く拝礼して

「これはこれは わが

大神。 恐れ多いことでございます。たいへんなご無礼をお許しください。私は人間の身のゆえ、あなたが大神と見抜けませんでした。失礼したお詫びに、 大刀・弓矢百官の着ている衣類をすべて献上しますので、どうかお許しください」と仰せになりました。

それを聞いた一言主大神は 天皇の純粋な拝礼を喜ばれ、その贈りものを受け取りお許しになり、帰り道には 葛城山の蜂で行列をつくり 天皇の身の安全を確保してくださったというエピソードが書かれています。

このように古事記にあるストーリーは何ともいえないほのぼのするエピソードですが、日本書紀ではまた少々内容が違っています。古事記と日本書紀の中に書かれている神話は、同じ話のはずなのに何故か描き方がぜんぜん違っていたりして、非常に意味深いものですので、ぜひ一度読み比べて頂きたいと思います。

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一言主神社は、その名の通り 一言の願いであれば何でも聞き届けてくださる神社とされており全国にある一言主神社の総本社となっている。そのパワーはこの御神木の樹齢1200年と伝わる乳だれの銀杏を見ていただければ一目瞭然でしょう。

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お願い事は一言だけしか受け付けてくれませんが、リピートは有りということなので願い事が多い人は、ぜひ何度も通って頂ければと思います。(階段けっこうキツイですが...)

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