法隆寺は国宝のオンパレード

公開日 : 2018年02月22日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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さて、いよいよ受付で参拝券を購入しましょう!大人お一人1500円です。

一つのお寺で1500円は高く思えるかも知れませんが、西院伽藍、大宝蔵院伽藍、唐院伽藍という三ヶ所を回りますし、それぞれの歴史的価値とクオリティの高さを考えれば高いどころかむしろ安いくらいかもしれません。

3ヶ所それぞれの改札でパンチを入れてもらう方式なので、この拝観券最後まで絶対に無くさないようにしてください。

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最初の改札を通り抜けると目の前に現れる西院伽藍の全貌!金堂も五重塔も711年頃の再建とはいえまぎれもなく世界最古の木造建築として国宝・世界遺産・ギネスブックの三本立てです。

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まずは本堂である金堂(こんどう)から参拝をいたしましょう。こちらの内陣には、真ん中に御本尊の釈迦如来像、右手に薬師如来像、左手に阿弥陀如来像とがそれぞれ左右に脇侍(わきじ)を従えられた三尊形式でお祀りされています。

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薬師如来は聖徳太子の父である用明天皇が亡くなられた後に造られた旨が光背に記されており、釈迦如来像は聖徳太子の菩提を弔うという事が書かれています。造像の時期は若干さがあるようですが、ともに飛鳥時代の仏像の特徴がよく出ており、やや面長な顔に杏仁形(アーモンドのような形)の眼、そしてアルカイックスマイルと呼ばれる微笑みを浮かべています。ただ、阿弥陀三尊につきましては盗難に遭ってしまったそうで、鎌倉時代に仏師康勝によって原形が作られ、鋳造された像が置かれています。

そしてそれらの間に吉祥天像と毘沙門天像が立ち、内陣の東西南北を守るように四隅に配置されていますのが、日本最古といわれる四天王像です。奈良時代の躍動感のある四天王像とは違い、邪鬼の上にただ静かに立っているだけのスタイルですが、静かさゆえの凄みのようなものを感じさせてくれます。

少し薄暗いですが、金網越しに目を凝らすと天井からは極彩色の天蓋が吊るされ周囲の壁面には阿弥陀浄土や薬師浄土の世界がこれまた鮮やかな色で描かれています。

しかしこれらの壁画は、昭和24年に金堂を修復していた時に誤って発生した火災のために一部を残して焼失してしまい、現在は創建当時の壁画を再現したものをはめ込んで復元されたものです。

金堂の内部には、まだ凄いところがありますが、後はぜひご自分の目で確かめてください。

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金堂を出ますと、そびえ立つ五重塔が真正面に現れます。法隆寺の五重塔は興福寺ほど巨大ではありませんが初層から徐々に屋根の幅が小さくなりますので、横から見ますと末広がりな二等辺三角形をしており、とても安定感があって美しいです。

そして初層内部がまた凄いことになっておりまして、東側には文殊(もんじゅ)菩薩と維摩居士(ゆいまこじ)の問答対決、北側には釈迦の臨終を現した涅槃(ねはん)像、西側には舎利分骨像、南側には弥勒浄土像がそれぞれ塑像によって造られています。

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特に北側の涅槃像の周りの人達の悲しみようは、まるで嗚咽が聞こえてきそうなほど凄まじい泣きっぷりで、とてもリアルな造形をしていますので、お見逃しなく。

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回廊を渡って大講堂へ行きます。大講堂は990年に再建されたものですので西院伽藍の中においてはやや新しいものの、堂々の国宝建造物です。堂内では建物と同年代頃に造られた薬師三尊像と四天王がお出迎えして下さいます。

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回廊の柱も胴太なエンタシスが採用されていますし、格子も透けて見える向こうの景色に動きが出るように、あえて均等割りになっていません。これもすべて国宝。

法隆寺ではこのように何でもない細部にまで心を配っているところがありますので、見逃さないようにして頂きたいと思います。

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