薬師寺・玄奘三蔵院伽藍
薬師寺の境内はとにかく広く、大講堂を北へ抜けて道をはさんだ北側には、1991年に造営された玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)というエリアが広がっています。
西遊記でおなじみの三蔵法師のモデルでもある玄奘(げんじょう)は、7世紀に活躍された中国の僧侶です。仏教の本場インドで17年も学ばれ、帰国してからは経典をサンスクリット語から漢字に翻訳することに専念されました。
玄奘三蔵の最も究めたかった事は、「瑜伽唯識(ゆがゆいしき)」という教えで、その教えの流れを継承している宗派こそが、法相宗(ほっそうしゅう)です。そしてその法相宗の大本山がここ薬師寺と奈良の興福寺になります。
瑜伽唯識というのは分かりやすく言えば、世の中にあるモノは、すべて心が認識することによって存在しているという考え方です。たとえば目の前に信号機があっても、よそ見をしていて信号機に気づかなければ、その信号機は存在していないのも同然である。つまりそこにあることを認識した人にはじめて存在することになるという少々哲学的な考え方です。本来はこれを体得するために瑜伽(=ヨーガ)を実践する必要があったようですが、日本では理論を学ばれています。
不東(ふとう)の扁額は、「西のインドに到達しなければ決して東の唐へは帰るまい」という玄奘の強い決意を示したものです。
玄奘塔には、玄奘三蔵の木造が安置され、中国で見つかった遺骨の一部も祀られています。
そして塔の北側の大唐西域壁画殿には故・平山郁夫(ひらやまいくお)画伯による、玄奘三蔵が唐から天竺まで旅をされたシルクロードをたどる、壮大なスケールで描かれた大唐西域壁画が展示されており一見の価値がありますので、ぜひともご覧いただきたいと思います。
ただしこれら玄奘三蔵院伽藍につきましては1月1日~1月15日、3月1日~6月30日、8月13日~8月15日、9月16日~11月30日と公開の期間が決まっています。行事などで変更があるかもしれませんので、あらかじめ薬師寺のホームページなどで確認されることをおすすめ致します。
そしてもう一つ重要な場所が東院堂です。金堂や塔が建つ白鳳伽藍の中でやや隠れた存在の東院堂は、奈良時代に左大臣として活躍された長屋王(ながやおう)の妻である吉備内親王(きびないしんのう)が、母親である元明(げんめい)天皇の冥福を祈って建立されました。オリジナルは平安時代に焼失してしまいましたので、現存しているのは鎌倉時代後期の1285年に再建されたものです。
こちらにも金堂の薬師三尊像と同じく白鳳仏を代表する国宝・聖観世音菩薩(写真はイメージです)が祀られており、その美しいお姿をいつでも拝めますのでどうぞお見逃しのないように。
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