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ヴェールに包まれたキリスト

カテゴリー:見所・観光・定番スポット 投稿日:2012年11月11日

 人生において私が一番驚いた彫刻がナポリにあります。それは小さいけれどとても神秘的な礼拝堂の中にあります。ローマでベルニーニやカノーヴァの作品を見て、すっかり彫刻の美に魅了されていたのですが、このGiuseppe Sanmartino作「ヴェールに包まれたキリスト」を見た瞬間は、言葉を失うどころか息をすることすら忘れる程圧倒されました。中は写真撮影禁止なので画像はHPのMuseo Cappella Sansevero から拝借しました。
 礼拝堂は見落としそうな路地にありますが、チケット売り場が改装されたことと、大体観光客が前にいるので、そう難しくなく辿り着けます。このブログでお馴染みのナポリ中央歴史地区にあるサンドメニコ広場の右路地を少し登ったところの右側にあります。広場から徒歩2分程。Via Francesco De Sanctis, 19/21(フランチェスコ デ サンクティス通り)
cristovelato.jpg
 薄いベールの下に見える冷たいキリストの、その身体の筋までが、まるで本物のようにリアルに表れされていて、ベールの柔らかさと、固く細い身体と、その重みを支えるクッションと、するどいトゲが、礼拝堂の不思議な空気の中で深く印象に残ります。死を思わせる冷たく硬い大理石の明るい色みが血管のようにも見え、それと同時に生きているような錯覚も覚えます。1753年の作品だと言われていますが、その圧倒的な技術は崇高的で、強く感銘を覚えました。大理石を見ているとはとても思えない、内奥から溢れだす生と死の悲しさ、残酷さ、そして美しさ。
 かのカノーヴァが、この技術を学ぶために何度もここに足を運びこの彫刻を見学したけれど、技術習得には及ばなかったと本人が言ったほどです。カノーヴァの、愛に溢れた、大理石に体温が宿ったかのようにすら見える彫刻作品は大好きですが、この「サンセヴェーロ」には、何か鬼気迫るものがあります。
cristovelato(1).jpg cristovelato02.jpg cristovelato03.jpg


 イタリアに来る前に高樹のぶ子さん著「ナポリ魔の嵐」という小説を読んでいたので、この礼拝堂がよりミステリアスに思えました。サン・セヴェーロ礼拝堂は、1749年にサンセヴェーロ公であったラインモンド・ディ・サングロが、その一族の礼拝堂に装飾を施して再建したものですが、ライモンド氏は科学者であり文学者であり、錬金術師でもあり、さらにオカルト現象にも興味を持っており、密かにここで人体解剖を行っていました。なんとその人体模型もこの礼拝堂地下で見ることができます。
 この礼拝堂では、他にもAntonio Corradini作のヴェールに包まれた謙虚(1752年)また、トレビの泉の彫像制作にも関与したFrancesco Queirolo作の暴かれた欺瞞(1753-53年)なども見ることができます。その、絡みつく太い縄の彫刻には感嘆。img_1006655_28080509_10.jpg
 小さな礼拝堂ですが、本当に一見の価値ありです。毎週火曜日がお休み。日曜と祝日は13:10まで。その他は10:00から17:40まで開いています。その他、特別なお休みの日はここ で確認してください。
 チケット:大人7ユーロ アルテカード保持者5ユーロ 10歳~25歳まで5ユーロ 10歳以下無料

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