映画のロケ地を訪ねる南イタリアの旅

公開日 : 2012年10月19日
最終更新 :

イタリアに行きたい理由として、「本場のおいしいイタリア料理を食べたい」「世界遺産を訪ねて歩きたい」「イタリアブランド店でお得にショッピングしたい」「勉強しているイタリア語を試してみたい」「本場のオペラやサッカーを生で観てみたい」などがあると思います。また、「映画のロケ地を訪ねてみたい」という方も多いかもしれません。

 そんなわけで、今回は私が独断と偏見で選ぶ好きなイタリア映画(南イタリアに限定)と、そのロケ地を紹介したいと思います。イタリア語を勉強するために観るようになり、いつの間にかすっかりイタリア映画のファンになってしまいました。(全然詳しくはないですが...)

 小さな頃から患っていた心臓病が原因で、この作品を取り終えた12時間後に亡くなった名優Massimo Troisiの命懸けの演技が光る映画「郵便屋さん」は、ナポリにあるプロチダ島とシチリアのエオリア諸島とで撮影されています。スナックバーや郵便局とされた場所はプロチダ島にあり、今もそのまま残っています。ナポリから半日観光で行ける距離ですが、私はまだ訪れたことがありません。海がきれいで、夏になるとたくさんのイタリア人が避暑に訪れる小さな島。ロケ地もさながら、哀愁的な数々の名シーンが心に残ります。

 ナポリの中央歴史地区の生活がよくわかる作品。下町の人々の生活がありのままに描写されています。貧困の中に自尊心と人情味が見え隠れし、笑って泣ける映画です。ナポリを歩くと、まさに映画のシーンのままの変わらない風景を目にすることができます。このビデオはジェズ広場からサンタキアラの教会に入り、マヨルカ焼きのキヨストロで思い出を回想する、とても美しい場面です。見学料8ユーロでキヨストロを見学できます。

 なんともイタリア的なストーリー。女にだらしなくて、責任を負いきれない男(マストロヤンニ)と、執念深くて愛情表現も怒りの表現もストレートな女(ソフィアローレン)のコメディ。ナポリの中心地にあるジェズヌオーヴォ教会で結婚式を挙げた設定で、ジェズ広場を通り、広場に面した立派な家に帰って行くシーンが見られます。ナポリ国立音楽院から徒歩3分の場所にあります。

 これでもか!というくらい大女優を使いまくっている豪華な舞台が、よけいにイタリアのダメ男グイドをちっぽけに見せているのに、何故か女たちはこのダメ男に母性本能を感じて魅了されまくっている...ずるいぞグイド。このソフィアローレンの貫禄にはあっぱれです。それぞれタイプの違う女たちですが、どれも美しくて強い。ダンスシーンは本当に華やかで艶やかで楽しめます。ローマのチネチッタやコロッセオも映りますが、スランプに陥ったグイドが南イタリアに逃亡するシーンでちらっと映る海岸をドライブする場所。確定はできないけれどポジターノかアマルフィに向かう道でしょうか。bella vista spaというリゾートホテルはローマのAnzioという場所にあるil paradiso sul mare(海の上の楽園)のようです。実際ホテルとしては使われていません。

 カステッラバーテ(castellabate)というナポリからバスで一時間程の田舎街を舞台に、ミラノから転勤でやってきた郵便局員が、文化の違いに戸惑いながらも友情を築いていくコメディ。方言が分からなくて通訳してもらったり、朝ごはんに「紅茶をお願い」と言うと「お腹痛いのかー」と言われたり、仕事をせずサッカーをする職員を教育したり、昼休みが長かったり...。決して大袈裟でなく、イタリアの現実問題を皮肉たっぷりかつ面白く訴えています。この画像は、郵便物を届けるたびに「コーヒー飲んでってよ」と家に上がらされるシーンです。これじゃ南に郵便届かないはずだ...

 この町には結婚式の仕事で歌いに行ったことがありますが、のどかな小高い場所にある町でした。

 私が説明するまでもない名作の最終シーン。劇場はパレルモのマッシモ歌劇場。ショックで一気に総白髪になっていくようなアルパチーノの迫真的演技がマスカーニのオペラの間奏曲と相まって、忘れ難い場面。その後のコルレオーネ氏の旧家はシチリアのFiumefreddo(冷たい川)という町のCastello degli Schiavi(スキアーヴィさん邸宅)がロケ地となっているようです。犬が名演技を見せていました。このお宅、見学可能です。

参考:http://www.imdb.it/title/tt0068646/locations

 ナポリの聖人ともなっている、実存した医者ジュゼッペ・モスカーティをもとにしたストーリーをテレビ映画にして2007年に公開されました。DVD化をいまかいまかと待ち望んでいるのですが...。

貧困のナポリの人民たちを救おうとモスカーティ氏が立ちあがり、まだ身分差別の厳しい時代に命は平等であるべきだ、と奮闘します。この最終シーンを観ると、ナポリは古い街並みやしきたりが完全なまでに残っていて、映画撮影には本当に適しているなと感心します。(もう少し発展してほしいのが本音でもありますが)

その他南イタリアをロケ地とした映画では、大好きなニューシネマパラダイス

 ロケ地となったシチリアのCefalù(チェファルー)(パレルモから電車で30分程)に去年の夏に行きましたが、遠浅の海がとてもきれいで、足元でたくさん魚が泳いでいました。小さな町には教会広場に大きなヤシの木が立っていて、町の人の憩いの場となっているようでした。観光地となっても古き良きイタリアの面影を残していて、映画のロケ地としての期待を裏切らない美しい町です。ちなみに、新年のカウントダウンをして、0時と同時に南イタリアでは家具が窓から降ってきます。「古きを捨てよ」という意味ですが、決して道を歩いてはいけません。

 このおじさん、「イルポスティーノ」の詩人役でも出ていましたね。「こんな小さな町でくすぶっていないで、都会に出ろ」という言葉にあるように、やはり南イタリアの貧困と、政府の目の行き届かないまま政治や文化が閉ざされてしまうように、現在も問題となっています。しかし映画製作となると、南イタリアのシーンが郷愁を誘い、ヒューマニズム溢れる絵となるのも事実。

私はやっぱり南イタリアの映画が好きです。

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