トヨタ鞍ヶ池記念館―トヨタ自動車の物づくりに対する熱い思いを感じ取って下さい!

公開日 : 2020年03月02日
最終更新 :
筆者 : hossie

こんにちは。「地球の歩き方」名古屋・愛知特派員ブログ担当のhossieです。

今回は愛知県豊田市にある「トヨタ鞍ヶ池記念館」をご紹介いたします。

「トヨタ鞍ヶ池記念館」は、鞍ケ池公園に隣接して建つトヨタ自動車の記念館で、トヨタ自動車が創業35年で成し遂げた累計生産台数1000万台達成を記念して、1974(昭和49)年に建設されました。

館内の常設展示「トヨタ創業展示室」では、紡織機から自動車へと発展していったトヨタのルーツが紹介されています。

トヨタ自動車に関連する文化・展示施設としては、愛知県内には「トヨタ鞍ヶ池記念館」のほか、トヨタ会館・トヨタ博物館・豊田産業技術記念館があります。

この中で「トヨタ鞍ヶ池記念館」は、市街地や最寄駅からやや距離があることもあって、ほかの施設よりメディアなどで紹介されるケースが少ないように感じますが、実はこの「トヨタ鞍ヶ池記念館」は、トヨタ自動車の創業期の情熱とエネルギーを感じ取ることができる、たいへんすばらしい展示館なのです。

日本の経済を支える自動車産業の代表でもあるトヨタ自動車のルーツが分かる「トヨタ鞍ヶ池記念館」に、ぜひ多くの方に訪れていただきたいと思います。

●駐車場から入口に向かう途中で撮影。トヨタ鞍ヶ池記念館の設計は、建築家の槇文彦氏によるもので、緑に囲まれた環境のなか、幾何学的で美しい姿を見せています。

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●入ってすぐにある豊田喜一郎氏の画像とコメント。「ただ自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で、日本に自動車工業をつくらねばならない。」

この言葉に喜一郎氏の車作りに対する熱い思いが込められています。

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●ドラマ『LEADERS』にも登場した自動車部の人々。展示館では、彼らの大いなる夢と情熱の日々を映像やジオラマ、写真パネルなどで紹介しています。

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●トヨダAA型乗用車。1935年の試作車「A1型」を改良して、1936年に完成させた初の量産乗用車。初期の車は「トヨタ」ではなく、「トヨダ」として販売されていました。

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●ジオラマで紹介されているのは、緑色のG1型トラックの故障修理活動です。ここにもトヨタの顧客本位の姿勢が表れています。

一緒に写っているのはスタッフが乗ってきた車ですが、何とクライスラーとフォードでした。創業者の喜一郎からすれば屈辱的ではあるものの、トラブルの可能性が否定できないトヨタの車ではなく、確実に対応ができるよう、当時一番信頼感のある米車で修理の現場に駆けつけていたのです。

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●トヨペットクラウン(RS型)で1955(昭和30)年に発売されましたが、これ以降日本にも国産乗用車時代がはじまりました。

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●敷地内にある豊田喜一郎氏の別荘(旧豊田喜一郎邸)です。昭和区にあったものを移築しました。

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●旧豊田喜一郎邸のアップ画像です。設計者は、当時の名古屋建築界の第一人者といわれた鈴木禎次氏。

3階建てのように見える半地下部分とガラス張りの大きな温室が特徴的です。当時は温室がほかに3棟建てられていて、通称"南山農園"とも呼ばれていました。

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●トヨタ再出発の日を記念した桜の植樹。

2010年2月24日に豊田章男社長は、社長就任直後に起こった大規模リコール問題で米議会下院の公聴会に召喚され、スピーチを行いました。

トヨタはこの時の品質問題を忘れないために、社内的に2月24日を「トヨタ再出発の日」と定め、章男社長自らがここで桜の植樹を行いました。この1本の桜には、たいへん熱い思いが込められています。

桜の木を囲むように、3種類の花が植えられていますが、ひとつ目は「こでまり」で、豊田佐吉のふるさとである静岡県湖西市の花で、〈品格〉を表しています。ふたつ目は「野バラ」。〈逆境から這い上がる〉という意味があります。そして3つ目が「あざみ」。〈安心〉を表します。これらは、章男社長が、トヨタを支えてくれたお客様や仲間のことを想い、選んだものです。

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よもやま話になりますが、米公聴会での証言を終えた豊田章男社長は、現地子会社に立ち寄り、集まった2000人余りの従業員に公聴会での状況を報告しました。

その際、社員達から批判されるのを覚悟していたそうですが、逆に社員から励ましの温かい声を掛けられ、涙ながらに語るシーンがありました(TVでも報道されましたので、ご記憶の方もいらっしゃるかも......)。

この様子を聞いた多くの古参社員や幹部社員が、涙をこぼす章男氏の姿に胸を熱くしたといいます。

社長になった当時の章男氏に対する社内外の風当たりは強く、「創業家出身という理由で、実績を出していないのにトップになった」と揶揄されたりもしましたが、章男社長のスピーチは、トヨタ社員の心を大きく揺さぶりました。

「トヨタには優秀な社員はいくらでもいるが、豊田本家の血統は章男氏しかいない」という幹部の言葉にもそれが表れています。先日もトヨタ自動車の幹部の方とお話をした際、「創業家でなければできない経営もある」という言葉に、妙に納得してしまいました。

豊田喜一郎氏からはじまったトヨタ自動車。その創業の精神は今も脈々と受け継がれています

「トヨタ鞍ヶ池記念館」は、トヨタ自動車の創業時の熱い思いを展示している施設です。ぜひ多くの皆さんにその思いを感じ取っていただけたらと思います。

館内にはアートサロンも併設されています。年に3回企画展を開催しており、毎回のテーマによって作品を厳選、洗練されたアートを存分に楽しめると好評です。

末筆ながら、館内をご案内・ご説明いただいた館長の千葉武様に、この場を借りて御礼申し上げます。

【記事中の画像については、「トヨタ鞍ヶ池記念館」ご担当者様の了承を得て掲載しております。】

※国内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大している状況を受け、2020年3月2日(月)~3月16日(月)の間、トヨタ鞍ケ池記念館は臨時休館となりました。

■トヨタ鞍ヶ池記念館

・住所: 愛知県豊田市池田町南250番地

・電話: (0565)88-8811

・開館時間: 9:30~17:00

・入館料: 無料

・アクセス:

(公共交通機関)豊田市駅より名鉄バスで25分 「鞍ヶ池公園前」下車(徒歩3分)

(自動車)名古屋駅より車で1時間

(名古屋高速、東名、伊勢湾岸自動車道、東海環状自動車道経由)東海環状自動車道

鞍ヶ池スマートI.C.より車で3分

豊田勘八I.C.より車で7分

豊田松平I.C.より車で13分

・駐車場: 無料駐車場有(乗用車22台、大型バス6台)

※団体で来館される方は、事前にお電話にてご予約ください。

筆者

東京特派員

hossie

世田谷区在住のhossieです。皆様に楽しんでいただける記事を書いていきたいと思います。

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