フォトジェニックなビーチ・ボックス

公開日 : 2021年05月10日
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■メルボルン市内から電車

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ビーチ・ベイジング・ボックス/ビーチ・ボックスは、日本で例えれば「個人所有の海の家」です。2m四方程度の小さな木造の小屋が、鮮やかな色に塗られているのが特徴です。メルボルンの流れるヤラ川の河口にあたるポート・フィリップ・ベイ(Port Phillip Bay)内には、1860棟のビーチ・ボックスやボートシェッド(Boatshed、ボート小屋)があるそうです。なかでも有名なのがブライトンとモーニントン(Mornington)半島ですが、とくにブライトンはメルボルン市内から電車で30分弱と近いため、海水浴や写真の撮影スポットとして年間を通じて人気です。

■海岸沿いをドライブしても

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ブライトンへは、市内からはフリンダース駅からサンドリンハム(Sandringham)線に乗り、ブライトンにあるミドル・ブライトン(Middle Brighton)駅で下車します。ブライトンは美しいビーチと有名校、高級住宅地で知られる海沿いのサバーブで、チャーチ(Church)・ストリートを始めとする商店街には、高級ブティックやグルメ食材店、おしゃれなカフェやレストランが並んでいます。駅を出て15分ほど西へ向かって歩くと白砂の美しいビーチが広がっており、ビーチ・ボックスが並ぶのはデンディー・ビーチ(Dendy Beach)一帯です。公共の交通機関なら、観光地として有名なSt.Kilda(セントキルダ)から路線バスでも行けます。レンタカーならセントキルダ~エルウッド(Elwood)~ブライトンとビーチ沿いの33号線を南下するドライブがおすすめです。

■個人の「着替え場所」として

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デンディー・ビーチに並ぶビーチ・ボックスは現在96棟。その歴史は古く、1860年代まで遡ります。当時は通りを水着姿で歩くこともビーチで着替えることも禁止されていたため、「着替え場所」として個人でビーチに小屋を建てたのが始まりと言われています。第一次大戦後、ビーチに点在する小屋が荒れ放題になっていたことから、1932年に一ヵ所にまとめて補修・管理することになり、集められたのがデンディー・ビーチでした。その後、ポート・フィリップ・ベイ湾岸に点在するビーチ・ボックスの撤去や解体は進みましたが、ブライトンにはブライトン・ベイジング・ボックス(Brighton Bathing Box Association)という団体が設立され、地元の人たちと協力してビーチ・ボックスの保護と管理をしていくことになりました。

■地元在住者のステイタス

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ビーチ・ボックスの外壁の色や模様はさまざまですが、建物のサイズは2m×2.4m、高さ2m、横板張りの壁にトタン屋根の木造建築と100年以上前の規格が守られており、電気、ガス、水道はなく、居住、賃貸も許可されていません。所有できるのは地元居住の地方税納税者のみなので(残念ながら外国に住んでいる人は買えません)、地元居住者の家族や親族間で引き継がれていくことが多く、不動産物件として市場に出ることはほとんどないようです。それでも、年に数棟売りに出される価格は30万ドル前後と言われ、2018年のオークションでは33万7000ドル(約2900万円、2021年5月10日現在)の史上最高値がつき話題になりました。

フォトジェニックなビーチ・ボックスは、ブライトン在住者のステイタスでもあるのです。

〈参考サイト〉

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