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ストリート・アート・動物編

カテゴリー:文化・芸術・美術 投稿日:2021年3月21日

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「芸術の都市」として知られるメルボルンはストリート・アートの宝庫です。路地裏はアーティストのキャンバスに、町角はアーティストのギャラリーとして、個性豊かな作品を楽しむことができます。今回はそれらのなかから、ユニークな「動物たち」を取り上げてみました。コロナが終息してメルボルンを観光で訪れる際には路上観察しながら、ここで紹介する5匹の動物たちを探してみてください。



■FBにページを持つほどの人気者

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メルボルンで最も人通りの多いスワンストン・ストリート。そのなかほどの市庁舎の外に建つのが「ラリー・ラ・トローブ(Larry LaTrobe)」です。メルボルンで活躍するアーティスト、パメラ・アーヴィン(Pamela Irving) が自身の飼い犬をヒントに制作した中型犬サイズのブロンズ像です。オーストラリアの固有種ディンゴのようなユニークな風貌はメルボルンのアイコン的存在として人々に親しまれ、フェイスブックに公式ページを持つほどです。1992年に市庁舎隣りのシティ・スクエアに設置されましたが、95年に盗難。メディアやイベントを通じて捜索キャンペーンも行われましたが発見にはいたりませんでした。96年に多くの人々が見守るなか新しいラリーが迎えられ、その後2018年に地下鉄工事にともない現在地に移転しました。97年には2mのレプリカが大阪の御堂筋パレードで披露されたそうです。




■ドックランズのアイコン

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メルボルン東西に流れるヤラ川の河口一帯はドックランズ・ウォーターフロント・シティと呼ばれる再開発地区で、近年急速に発展してきました。高層アパートやオフィス、商業ビルが建つなか、ビクトリア港に沿って伸びるハーバー・エスプラネードで目を引くのが「カウ・アップ・ア・ツリー(Cow up a tree)」です。高さ8mのガムツリーに逆さに引っかかる4トンの巨大な牛は、ロンドン生まれのオーストラリア人アーティスト、ジョン・ケリー(John Kelly)による自身の初期の油絵作品「ドーベルズ・カウ(Dobell's cows)」シリーズがモチーフになっています。同シリーズは20世紀に活躍したオーストラリア人のアーティスト、ウイリアム・ドーベルズ(William Dobell)卿が、第二次世界大戦中に日本軍の偵察機を欺くために制作した張り子の牛と、たび重なる洪水をヒントに描いた作品です。




■町を見守る万物創世の神

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市内の高層ビルを背に、ドックランズ全体を見守るようにワランジェリ・ウェイに建つのはブンジル(Bunjil)です。7階建てビル(25m)に相当する巨大なオナガイヌワシは、万物創世の神、祖先としてアボリジニー(オーストラリアの先住民族)の神話に登場します。とくにビクトリア中央のクリン族の間では、ふたつの部分から成る祖先の一方と信じられています。02年にメルボルンで活躍するアーティスト、ブルース・アームストロング(Bruce Armstrong)により、25トンのブロンズと木で制作されました。もとはフリンダース・ストリートと ワランジェリ・ウェイの角にあり、13年にドッグランドの大規模な都市開発にともない市内中心部への移転先を探しましたが、90トンのセメントの土台を運搬することが難しくワランジェリ・ウェイ上を北側に移動するだけになりました。ブンジルは風をつかさどるカラスの旋風で空に飛ばされアルタイルの星になったとされています。




■16種の生物が描かれたモザイク

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メルボルンの観光名所、フェデレーション・スクエア(Federation Square)裏手には、市内北側を流れるヤラ川と市街に挟まれる形でバーララン・マー(Birrarung Marr)公園が広がっています。霧の川(birrarung)、岸辺(marr)を意味するアボリジニーゆかりの園内には彼らの文化や生活を表すアートが点在しています。なかでも、ひときわ目を引くのが高さ10m、ふたつの頭を持つモザイク彫像「エンジェル(Angel)」です。オーストラリアの彫刻家デボラ・ハルパーン(Deborah Halpern)によるこの作品は、88年にオーストラリアの入植100周年を記念して作られ、ビクトリア州立美術館の前に展示されていました。制作には3年の歳月を要したと言われ、鉄骨を覆う手書きのセラミックには、クロコダイルや魚、鳥、植物、天使など16種の生き物が描かれています。現在地に移ったのは、02年に公園がオープンしたあとの06年です。




■思わず童心に返りそう

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バーララン・マー公園の川岸で、メルボルンの青空に向かってすくっと立つ個性的なエンジェルの近くで、本物のウォンバットのような愛らしい形と木の温もりが和やかな気持ちにさせてくれるのが「ワリーン・ザ・ウォンバット(Warin the Wombat)」です。 食品技術研究者として働いていた作者のデス・マッキーナ(Des Mckenna)は、定年退職後に趣味で木工作品を作るようになりました。02年、長さ1.5m、幅1m、重さ25トンのリバー・レッド・ガム・ツリーの丸太を削っていく制作工程は2週間に渡ってシティ・スクエアで公開されていました。もとはラリーと共にシティ・スクエアに設置されており、子供たちが登って遊ぶ姿もありました。ワリーンという言葉は、メルボルンの辺りに住んでいた主要なふたつのアボリジニーの種族の方言だそうです。




<参考サイト>

https://www.theage.com.au/national/victoria
https://theculturetrip.com/pacific/australia
http://citycollection.melbourne.vic.gov.au
https://www.onlymelbourne.com.au
https://melbournepublicart.wordpress.com/2013/02/28/eagle-bunjil
http://users.net2000.com.au/~djmsculp/publicsculptures.html

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加藤 伸美 さん

オーストラリア・メルボルン特派員の加藤 伸美 さんが現地からオセアニア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

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名前:加藤 伸美 さん

加藤 伸美 さん

神奈川県藤沢市出身。1999年に結婚を機に来豪し、パース、シドニー、メルボルンと転居。以来ライター兼翻訳者として働きながら、実はパティシエへの野望を抱いて資格を取得。大昔に旅行記、少し昔に翻訳児童書を出版。数年前から学生時代の続きとして海外旅行を再開し、おもに現地発着ツアーへの参加を趣味としている。特技は似顔絵ケーキ作りで、オーストラリアのスイーツに造詣が深い。
Instagram: https://www.instagram.com/noboo2017/ DISQUS ID @disqus_5AFVjJFvWv

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