コロナ禍・予想外の日本"長期"滞在①

公開日 : 2021年01月03日
最終更新 :
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■非常事態宣言の発出当日の帰国

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2021年1月現在、日本・メルボルン間の直行便は成田発メルボルン行きの片道のみ週1便が2020年12月に再開しただけで、シドニーまたは第3国経由の限られた便が運行する不便な状態が続いています。また、オーストラリア入国には、オーストラリア国籍と永住権保持者、トランジットを含むすべての人に「オーストラリア渡航申告書」への事前登録が義務化されています。そんななか、日本に一時帰国していた知人のBさんは9ヵ月ぶりにシドニー経由でメルボルンに戻ってきました。Bさんがメルボルンを出発したのは、モリソン豪首相がコロナウイルスに対し政府が本格的に取り組むと決意表明をした直後で、ビクトリア州が非常事態前言を発出したまさに当日でした。「オーストラリアの国境が閉鎖されるとか、人の移動に関する何らかの制限が始まるかもしれないとのニュースを気にしながらのオーストラリア出国でした」と語るBさん。空港も機内も通常の帰国時とはまったく変わりはなく、自身のみがマスク着用や手洗いなどでコロナ対策をしての往路だったそうです。

■非常事態宣言の発出当日の帰国

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今回の一時帰国は大学院2年生の息子さんの様子をみるためのものだったので、1ヵ月後の帰国便もすでに予約済みでした。日本に着いてからは息子さんの住む神奈川県の実家での滞在となりました。「それからのオーストラリアの状況は数日単位で目まぐるしく変わっていきました」というBさんは、メルボルン領事館から送られてくるオーストラリア/ビクトリア州政府発表のメールをおもな情報源としていました。まず3月20日にオーストラリア国籍・永住権保持者以外への入国が禁止が発表されたあと、ワーキングホリデーを含む旅行者のような一時滞在者への早期帰国の呼びかけ、日豪間直行便の運休......などが決定していきました。日本帰国1週間後には予約していたQ社から復路便キャンセルのメールが届き、続いてQ社が5月末まで運休するとの政府発表もされたことから、メルボルンへは6月以降でないと戻れないことが決定的になりました。ところが、5月に入ってすぐに、Q社の7月末までの運休延長が発表されました。

■予約便は次々とキャンセルに

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メルボルンへの復路はもともとシドニー経由の便でしたが、オーストラリア入国時(この場合はシドニー)に2週間のホテル隔離が始まった(シドニーで隔離用ホテル滞在費用が発生する)こと、NSW州・VIC州間の州境の制限が強化された(シドニーまで帰れてもそこから先は不確定)こと、8月にメルボルン空港が国際線の乗り入れを再開した様子だった(到着後に自宅隔離の可能性もある)こともあり、第3国経由でのメルボルン着便を予約することにしました。そして、9月に香港経由のC社を予約しましたがキャンセルとなり、以後1ヵ月ごとに予約したフィジー経由(9月)、ベトナム経由(10月)、シンガポール経由(11月)のフライトが次々にキャンセルになってしまいました。「かなりショッキングな気持ちでしたね。だいたい1ヵ月前に届くメールは悪いメールということがわかってきたので、出発予定の1ヵ月前になるとメールが来ないとことを祈るような気持ちになりました」(Bさん)。幸いにも日本の自宅が滞在先だったうえ、仕事はオンラインで対応することできましたが、日本へ旅行や仕事で行ったきり戻って来られなくなった人たちは滞在費の捻出で帰国便の予算がなくなってしまったとの話も聞いたそうです。

■片道総額100万円の復路

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12月にVIC州が国際便を受け入れるのを機に、最後の望みを託して12月16日のシンガポール経由のS社を予約をしました。が、国際便受け入れ再開をしたメルボルン空港の乗客数が上限を超えてしまったためにまたもやキャンセルとなり、結局、その2日後発のシドニー直行便を予約することにしました。通常は往復で10万前後~20万円代の航空運賃が、片道約60万円のビジネスクラス以外は残っていなかったそうです。加えて、シドニーでの2週間のホテル隔離滞在費約30万円とシドニーからメルボルンへの国内線運賃ですが、Bさんはオーストラリアでの仕事は有給休暇を最大限に使っていたので、どうしても年内には帰らなければなりません。そして12月18日にようやく日本の羽田空港を出発できることとなりました。「空港行きの電車、空港ターミナル、出発ゲートもふだんの1割程度の人しかいませんでした。出国ゲートを通ってからの店舗街もほとんど閉まっていました」とBさんは写真を送ってくれました。搭乗時に熱を測るようなことはなかったものの、恐らくは要所要所にサーモカメラが設置されていたのではないかといいます。機内のマスク着用は強制で、ビジネスクラスに限っては1割程度の乗客しかいませんでした。「こんな思いをさせられて、ただ腹立たしかったですね」と、飛行機が離陸した瞬間の気持ちを話すBさんは、日本での思わぬ長期滞在で、8年間も離れて暮らしてきた大学院生の息子さんとの親子の絆を再確認したそうです。そして俯瞰で見られた日豪両国政府のコロナ対応について「主要産業の違いによる経済復興、国民に対する給付金のような対策など、いろんな違いがわかりました。オーストラリアの方が国民には手厚いかな」。

シドニー到着からメルボルン帰宅までの様子は、次回紹介します。

〈写真はBさん提供〉

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