外出できないメルボルン⑦ これは何でしょう?
さて、これは何でしょう? オーストラリア名物・エミューの卵? 海外旅行へ行くと町のスーパーへ必ず行くという人も多いはず。筆者も旅行へ行くと、その国の文化が垣間見える気がして必ず立ち寄ります。この卵もオーストラリアのそんな食文化のひとつです。
1日の新規感染者数が21人(2020年9月23日現在)まで減り、来週からは制限措置緩和の第2段階に進めそうなメルボルン。もう少しだけ外出は控えて、買い物ついでにスーパーで見つけてきた不思議なモノを紹介します。
■20年にして初の買い物
オーストラリアに暮らしてもう20年になりますが、この「パヴロヴァ・マジック」を買ったのはほんの数年前のことです。普段はゼリーミックスや缶詰フルーツと同じ棚の下の方にあり目立たないのですが、クリスマスの時期になると、ほかのインスタントのデザートと一緒に目立つ場所に移動します。入れ物がおもしろいので長い間気にはなっていたのですが、卵型なのでインスタントのカスタードだと思い込んでいたのと、オーストラリアのインスタントのデザートは激甘でおいしくないのでずっとスルーしていました。なのに数年前に買ったのは、自分で作る「パヴロヴァ」がなかなかうまく焼けずいたときに、オーストラリア人の友達が教えてくれたからです。カスタードの粉がそのまま卵型のプラスチック容器に入っている(こちらではかなりありがち)とばかり思っていたものの、容器を開けるとアルミ包装の中袋と詳細な手順がきちんと入っていたので少し驚きました。
■オーストラリアかニュージーランドか?
ところでパヴロヴァは、砂糖を加えたメレンゲ(卵の白身を硬く泡立てたもの)を低温のオーブンで焼き、表面はカリッとなかはふんわりした食感のクリスマスの定番デザートです。オーストラリアのクリスマスは真夏なので、サマーフルーツに彩られた白いメレンゲが見た目にもとても華やかです。オーストラリア発のこのデザートは、20世紀前半に活躍したロシア人の世界的バレリーナ、アンナ・パヴロヴァが由来とされ、彼女がオーストラリア公演で身につけた衣装の色とその美しい容姿にヒントを得て考案されたものだといわれています。ただこのとき、パヴロヴァはお隣りのニュージーランドでも公演を行っており、ニュージーランドのホテルのシェフが考案したとの説もあるほか、ニュージーランドでは「メレンゲ・ケーキ」としてすでに存在していた、オーストラリアでは「フルーツ詰めメレンゲ」というデザートのレジピがすでに出版されていたなど、その起源については両国間でいまだに決着がついていないそうです。
■容器がそのまま計量カップに
パヴロヴァを手作りするとなると大量の卵白と砂糖が必要ですが、パヴロヴァ・マジックを使えば、必要な材料は水と砂糖だけです。しかもうれしいことに、容器がそのまま計量カップとして使えるので量る必要もありません。大きめのボウルに容器の器の部分で測った水とパヴロヴァ・マジックを入れ、電動ミキサーで泡立てるだけ。途中で入れる砂糖は、容器の蓋を使って計量します。手作りよりも簡単でしっかりしたメレンゲができます。あとはオーブンに入れて低温でゆっくりと焼いたら、表面を乾燥させるために一晩オーブン内に放置します。手作りだと、かなり気をつけていないと焼いている段階で薄茶色の焦げ目がついてしまいますが、このインスタントミックスは温度さえ守っていれば、真っ白なメレンゲが焼き上がります。ポイントは一晩オーブン内に放置して、表面をしっかり乾燥させることです。
■お土産にも喜ばれそう
仕上げはホイップクリームを乗せて、季節のフルーツで飾るだけ。パッケージの全量を使うと巨大なパヴロヴァができてしまうので、半分だけ使ったり、小さなパヴロヴァをいくつか作ったりするのもかわいいです。フルーツで飾るだけでなく、小さく絞ってアイスクリームの飾りにしたりレモンパイのトッピングにしたりもできます。日本では見かけないので、料理好きの友達へのお土産に喜ばれると思いますよ。
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