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リヨン旧市街に人気オブジェが誕生!「ギニョールの大時計」の前にひとだかり

カテゴリー:文化・芸術・美術 / 旅行・ツアー・ホテル / 生活・習慣・マナー / 見所・観光・定番スポット 投稿日:2021年9月 1日

【フランス リヨン便り n°60】


こんにちは、マダムユキです。フランスのリヨンからお届けしています。


リヨン市の西側にそびえるフルヴィエールの丘、そのふもとに歴史地区として世界遺産に登録された旧市街が広がっています。
リヨンで最も観光客でにぎわう地区、地元リヨネ(リヨンの住民)も週末に散歩を楽しむほど人気の観光スポットです。


▼観光客でにぎわうサンジャン通り
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透き通る青い空が広がり、最高気温23度と夏の終わりを感じる週末。
散歩日和で久しぶりに旧市街に足を延ばし、中世からルネサンス建築の古い建物が残された風情ある町並みを楽しみながら、石畳の小路を観光客の合間をぬって歩いていると、リヨンの歴史博物館とマリオネット博物館を併設したガダーニュ博物館の前にひとだかりが見えました。


近づいてみると、ラッパの音を合図に、大時計のなかで人形が動き始め、鐘を鳴らして時刻を告げているところでした。
「おおう~」と人々の歓声がこだまし、人形の動きがとまると同時に、人々は拍手喝さいで大時計を讃えました。
そして、大時計の脇から関係者らしき男性が登場。
大時計を覆うガラスを開け、時計の中を観衆に披露してから、からくり時計の仕組みを説明し始めました。


▼大時計を見守る時計職人
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▼メカニズムを確認する時計職人
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▼からくり時計の仕組みを説明する時計職人
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からくり時計の歴史


「ギニョールの大時計」と呼ばれ、いまやリヨン旧市街の人気オブジョとなったこの巨大な時計は、1864年にリヨンの時計職人であったルイ・シャルヴェ(Louis CHARVET)が製作し、リヨン第2区のプライユリー通り8番地の彼の時計店メゾン・シャルヴェの前に置かれていたものです。


1987年、リヨンの老舗宝飾店メゾン・オジ(Maion AUGIS)がシャルヴェ時計店を買収し、大時計のオーナーとなったのですが、その後、時計部門を別の会社に譲渡し、シャルヴェの大時計も手放しました。


2005年、シャルヴェの大時計が競売にかけられることになりました。リヨン市は、リヨンの時計職人によってからくり時計の技術を駆使して製造され、通りゆく人々の目を楽しませ、時刻を知らせていた大時計の歴史的遺産の価値を鑑みて、競売への出品を中止させるよう命令を下したのです。それから、大時計をめぐって、リヨン市と所有者との間で係争が続き、2012年にようやくリヨン市が大時計を買い取ることで決着しました。
こうして、大時計は売られることなくリヨンに残り、リヨン市は機能が劣化していた大時計の修復作業に着手します。
2020年に大時計のお披露目が予定されていましたがコロナ禍で延期となりました。
そして、2021年1月20日、待望の日を迎え、リヨンの歴史遺産として、旧市街のガダーニュ博物館前に設置されました。


▼ガダーニュ博物館前に設置されたシャルヴェの大時計
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最高技術を駆使したからくり時計


からくり時計はオートマタあるいはジャックマールと呼ばれる機械人形(あるいは自動人形)の複雑な動きを制御する機構と時計の機能が融合したものです。


シャルヴェの大時計は、高さ7m、幅2.2m、重さ100kgの、正真正銘の大時計で、金箔を施した銅製の鐘が5つ、そのうち4つは、リヨンの伝統人形劇の主人公ギニョールと相方のニャフロン、そして、イタリアの即興演劇コンメディア・デッラルテのキャラクターであるアルレッキーノとプルチネッラをモチーフにした4体の人形が、15分ごとにその鐘を鳴らして時刻を告げます。そして、1時間ごとに、兵士に扮する人形が大時計最上部の円盤下のとびらから姿を現し、トランペットを吹いて時間を告げます。


▼時計に刻まれたメゾン・シャルヴェ・リヨン・1852年(創業)
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▼ギニョールとコンメディア・デッラルテの競演
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▼オートマタの美しい機構
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▼メカニズムとアートの競演
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リヨンの時計職人ルイ・シャルヴェが人形の複雑な動きを制御する機能を製作したのは156年も前のこと。その修復作業を担当したのが、リヨン旧市街で時計店を営む、通称「サン・ポールの時計職人」フィリップ・キャリーさんです。


(余談)そういえば、ベルトラン・タヴェルニ監督、フィリップ・ノワレ主演でリヨンを舞台にした『サン・ポールの時計職人』(1973年)という映画がありましたね。


ギニョール大時計の復活


ギニョールのからくり時計は、リヨンの時計職人の手によって生まれ、リヨンの時計職人の手によって生まれ変わりました。


人形劇ギニョールはイタリアの指人形からインスパイアされ、リヨン出身のローラン・ムルゲによってつくられた指人形劇で、主人公のギニョールは当時のリヨンの主たる産業だった絹織物の職工、その相方は酔っ払いのニャフロン。ユーモアにあふれて社会を風刺し、過酷な労働条件下で働いていた当時の織物職人たちに心の安らぎを与えた人形劇はリヨンを代表する無形文化財です。


大時計の復活は、リヨンの伝統人形劇への愛着、からくり時計を製造したリヨンの時計メーカー、メゾン・シャルヴェへのオマージュとなりました。
このようなもろもろの思いが競売にかけられそうになった大時計に託されており、修復を担当したキャリーさんは「からくり時計の仕組みをより多くの人に伝えたい」という思いで、観光客でにぎわう週末、時間が許す限り、大時計が時刻を告げる瞬間を観光客やリヨンの住民と共有しています。


ガラス越しから大時計の写真を撮っていると、キャリーさんがやってきて、「ガラスに反映してうまく撮れないでしょう」といって、ガラスの覆いを開けて、中を見せてくれました。


「空気に触れてメカニズムが痛むとまずいですから、急ぎますね」と言って慌ててシャッターを切る私に、「そんなに急がなくてもい大丈夫ですよ。時計は生きています。こうして観られていることがうれしくて、元気に機能するんです」


キャリーさんに「大時計と一緒にあなたの写真を撮らせてください」とお願いしてみたら、笑顔で大時計の前でポーズをとってくださいました。


「頻繁にお手入れされていらっしゃるのですか」という質問に、「人間と一緒です。時計が自分でできることと、手を差し伸べてあげなければならないことがあります」といって、温かいまなざしを時計に向けました。その目がとても印象的でした。


マダムユキより


▼大時計の前でポーズをとる「サン・ポールの時計職人」キャリーさん
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▼キャリーさんの時計店「L'HORLOGER DE SAINT-PAUL(サン・ポールの時計職人)」
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▶シャルヴェ大時計(Horloge Charvet)
・通称: ギニョールの大時計(Horloge aux Guignols)
・所在地: 1 place du Petit Collège 69005 Lyon France



▶キャリーさんの時計店(Horloger de Saint Paul)
・所在地: 20 rue Juiverie 69005 Lyon France
・電話: +33 4 78 28 89 29
・営業時間: 10:00~13:00、14:00~19:00
・定休日: 日曜日
※営業時間はご訪問前にご確認ください





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マダムユキさん

リヨン在住20年。リヨン第二大学で美術史専攻。中世からルネサンス期の美術品・絵画・建築を得意とする。ワインとビールが生活の友。フランス現地手配会社を経営する。フランス リヨンの文化・芸術・建築を中心に、リヨン情報をお届けしたい。ツアー情報などのお問い合わせはこちら
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