【リヨンのイベント】朗報です!食の祭典「シラ国際外食産業見本市」が9月の開催となりました

公開日 : 2021年03月06日
最終更新 :

【フランス リヨン便り n°48】

フランスのリヨンからボンジュール。リヨン特派員のマダムユキです。

3月に入って、リヨンもすっかり春めいてきました。

思い起こせば2020年3月11日、世界保健機関(WHO)のデドロス事務局長が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)宣言をしました。あれから1年、世界の感染者数は累計で1億1500万人を超え、フランスでは2021年3月5日14時時点で、感染者385万9102人を記録しています。ここまで感染が拡大するとは、ここまでパンデミックが長引くとは、1年前には想像もしませんでした。

やっと長いトンネルの出口が見え始めてきました。1月からフランス国内でワクチン接種が開始され、今日まで339万人がワクチン接種を受けています。フランスで認可されているワクチンはファイザー(Pfizer)社製、アストラゼネカ(AstraZeneca)社製、モデルナ(Moderna)社製の3種類です。3月上旬にはジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製のワクチンが認可されるとのことですので、もうすぐですね。

先日の3月4日、カステックス首相の記者会見で、ワクチンの供給が予定通りにいけば、夏までに3000万(18歳以上の3分の2)のワクチン接種が可能になるそうです。ワクチンはウイルスから身を守る強力な手段ですから、仏政府ガンバレと心から声援を送ります。

さて、本題に入りましょう。

まだコロナ禍から抜け出せずにいますが、フランスでは今年も大きなイベント開催が予定されています。残念なことに、変異種による感染リバウンドが懸念されて延期や中止になるケースが見られ始めました。そんな状況のなかで、リヨン最大イベントのひとつ、シラ国際外食産業見本市2021(SIRHA)の開催が9月に決定しました。シラ国際外食産業見本市は「食の祭典」と呼ばれるように、2年に1度のビッグイベントです。今年の1月末に開催を予定していましたが5月末に延期され、さらに9月末に再延期することになりました。飲食店が閉鎖中のフランスで、果たして6月に食のイベントを行うことができるのだろうかと懸念の声が高まっていたところでした。

イベントが中止されず延期となったことは、美食の都として世界に名を広めるリヨンにとって朗報です。仏政府は、今夏にはフランス国民のほとんどがワクチン接種を受けられるようにアジェンダを進めています。一方、ヨーロッパ(EU)では、慎重論が根強いものの、新型コロナウイルスのワクチン接種者が域内で自由に移動できる公的な証明書(ワクチンパスポート)を発行し、ウイルスの終息がみられなくても人が自由に往来できる方法を模索しています。ということで、秋頃には状況が改善されるかもしれないという明るい希望が生まれています。シラ国際外食産業見本市は食のイベントですので、PCR検査陰性あるいはワクチン接種済みという条件が付されたとしても、マスクを外して世界の食材を試食できるという、ベストコンディションで開催したいです。

▼シラ外食産業見本市会場に掲げられたポール・ボキューズ氏(2018年01月20日逝去)のポートレート写真。ボキューズ氏は「食の都」としてリヨンの名を世界に広めた立役者です。

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シラ国際外食産業見本市とは

シラ国際外食産業見本市は、2年に1度、美食の都リヨンで開催されるビジネス関係者に限定された外食産業の展示会です。今年で20回目を迎えます。リヨン郊外にある「EUREXPO LYON」展示会場で14万平方メートルの展示面積を占有し、前回の2019年には3770社が出展、22万5000人以上の業界のプロフェッショナルが集まりました。出展社はホテル、レストラン、ケータリング、店舗用設備・機器、ディスプレイ、食品・飲料、食品加工、家庭用品、食卓用品、陶磁器、調理器具など幅広く、世界の外食産業界の新しいコンセプトやイノベーション、今後のトレンドなどが披露されます。2019年には、1083の新商品が出展され、そのうち329品は世界に先駆けての初公開です!世界各国のメディアから注目を集めているのも納得です。

■シラ国際外食産業見本市(SIRHA LYON)

・会期: 2021年09月23日~09月27日

・会場: EUREXPO LYON

前回2019年に開催されたときの様子を写真で振り返ってみましょう!

▼リヨン郊外の「EUREXPO LYON」展示会場。リヨン市内からトラムや臨時バスでアクセスできます。

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▼「EUREXPO LYON」の7ホールが展示会場として使用されます。出展面積は東京ドームのおよそ3倍の広さ!

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▼会場内の様子、エントランス付近はガラス張りで明るい雰囲気です。

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▼日本ブース「ジャパンパビリオン」。世界的な和食ブームで日本食材はシェフに大人気! 日本ブースは新しい食材を求めて来場者で混み合っていました。

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▼メゾン・デュキュルティ(Maison DUCULTY)のブースにお邪魔しました。5世代にわたって引き継がれてきた家族経営のシャルキュトリで、なかでもドライソーセージは先代のノウハウを継承しつつ、現代人の味覚にマッチした繊細な味わいが大人気です! リヨン店では店内でワインと一緒に楽しむことができます(現時点では店内での飲食が禁止されています)。

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▼シラー100%のワインとおいしくいただきました。脂身はしつこくなく優しい味わいで口全体にうまみが広がり、本当にほっぺが落ちそうなほどベリーグッド!

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▼パリと東京で大人気のパン屋さん(メゾン・ランドゥメンヌ - Maison Landemaine)を経営する石川芳美さんと再会して感動! 超多忙な石川さんがパリからわざわざリヨンまで足を運ぶ理由は? なんとグルテンフリーのパン作りを紹介していました。しかも、石川さん(凄腕のパン職人)が得意とするハード系です。ハード系のグルテンフリーパンが実現可能とは......。レシピは石川さんの考案ときいてまたまたビックリ。それにしても、いつお会いしても爽やかな笑顔と気品ある美しさを保ち、多忙でも心の余裕が感じられる、本当にすてきな方です(羨ましい~)。

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▼食品以外の展示も見逃せません。お気に入りが店舗用設備部門。こんなレトロなバーで一杯できる日が早く戻ってくるといいなあ。

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▼パッケージ部門の見学も楽しいです。おしゃれでかわいいいグッズが揃っていました。

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シラ国際外食産業見本市では、会期中に24種のイベントが開催されます。なかでも、世界トップクラスのシェフが集結して腕を競う国際料理コンクール「ボキューズ・ドール」や菓子職人の登竜門「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」は当見本市のメインイベントです。

クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー

クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(Coupe du Monde de la Pâtisserie)は、1989年にパティシエ(菓子職人)のガブリエル・パイヤッソン(Gabriel Paillasson)氏とチョコレートメーカーのヴァローナ(VALRHONA)によって設立されました。世界各国の予選を勝ち抜いた20ヵ国以上のパティシエたちがリヨンでその腕を競い合います。審査項目はチョコレート細工、飴細工、氷彫刻の3部門で、各国の代表選手3名の総合得点で順位が争われる、チームプレーによるコンクールです。2019年は大会創設30周年を記念して、デザート各種はビーガンスイーツというスペシャルテーマが課されました。2日間にわたり10時間の過酷な戦いを終えて、日本チームが銀を獲得しました! あらためて、おめでとうございます。優勝(金賞)はマレーシアチームでした!

ところで、2021年の今回大会からクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーの審査委員長をスイーツ界の巨匠ピエール・エルメ(Pierre Hermé)氏が務めます。今年の展開が楽しみです。

■クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー

・開催期間: 2021年9月24日~25日

▼クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーの開催会場

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▼日本チームが表彰台に向かう場面に立ち会うことができました!

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▼マレーシアチームが優勝しました!

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ボキューズ・ドール

1987年来、創設者のポール・ボキューズ(Paul Bocuse)の名を冠するボキューズ・ドール(Bocuse d'Or)は、世界最高峰の料理コンクールとして注目を浴びているシラ国際外食産業見本市のメインイベントです。各国の国内予選、それに続く各大陸予選(ヨーロッパ、アメリカ、アジア・パシフィック、アフリカ)を勝ち抜いた24ヵ国の代表シェフがフランス本選(ファイナル)に出場することができます。いわば料理界のオリンピックともいわれています。

2019年1月の大会に日本代表として参加したのは、「メゾン・ド・タカ芦屋」のエグゼクティブシェフの高山英紀氏です。「日本人だから表現できるフランス料理」を目指したいと語る高山シェフは、日本の国旗を背負い、過酷なレースに挑戦しました。18歳からフランス料理界に入り、ブルゴーニュ地方の「ル・シャルルマーニュ」、「ラムロワーズ」、「レジス エ ジャック・マルコン」にて修行。2015年、「ボキューズ・ドール世界大会」で第5位に入賞を果たした高山シェフが、4年後の2019年に再び、5時間30分の過酷なコンクール「ボキューズ・ドール」に戻ってきました。痩身で爽やかな笑顔が印象的な高山シェフの孤高の戦いがリヨンで展開されたのです。5時間30分を戦い抜き、戦場を後ろに、現生のあらゆる雑念が取り除かれ、神がかったオーラを放つ美しい高山シェフの姿がコンクール会場の大画面に映されたとき、どれだけ多くの人に感動と希望を与えたことでしょう。スカンジナビア諸国が第1位から第4位を占めた当大会で第7位という結果をどのようにとらえるかは人それそれかもしれませんが、高山シェフの終わりなき戦いは、まだ幕を閉じていないと感じた瞬間でした。

■ボキューズ・ドール(BOCUSE D'OR)

・開催期間: 2021年9月26日~9月27日

▼開催会場の大画面に映し出される故ボキューズ氏

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▼開催会場の様子

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▼開催会場の大画面で紹介される高山シェフ

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▼大会開始の合図とともに握手をかわす高山シェフとコーチのステファン・ビュロン(Stéphane Buron)氏(クールシュヴェルにあるミシュランガイド2つ星レストラン「LE CHABICHOU」の料理長)

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▼料理のプレゼンテーションや味だけではありません。キッチン審査といわれ、厨房の衛生面、仕事の段取り、食材の取り扱い(無駄がないかなど)も評価されます。一挙手一投足、常にチェックされるストレスとの戦いでもあります。

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▼会場大画面に映し出される高山シェフ

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▼会場大画面に高山シェフが紹介されて大歓声を上げる日本チーム応援団

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▼高山シェフの作品をメディアに紹介するテットドワシェフ

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▼もう少し近くで見たいとお願いしたら、お皿を近づけてくれました。テットドワシェフは彼のレストラン同様に、いつもサービス精神に溢れた方です。

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▼本大会に出場する24ヵ国24名から構成された審査員たち

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▼優勝候補ナンバーワンのデンマークチームの作品を紹介するテットドワシェフ

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▼会場大画面に映るデンマークチームの作品を試食する審査員

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▼会場大画面に作品が紹介されて大歓声を上げるデンマークチーム応援団

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▼大会での戦いはシェフだけではない。ベストシーンをキャッチしようとメディアも一生懸命です。

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▼高山シェフの軌跡を追うドキュメンタリー撮影で来仏した神戸サンテレビのカメラマンさん。重い機材を持ち歩き、体力勝負の戦いが続きます。

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▼メディアが厨房エリアの入場を許可される時間帯があります。優勝候補チームの前は人だかりが絶えません。

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▼人気シェフに接近できる絶好のチャンス! 左から、ジョゼフ・ヴィオラ(Joseph Viola)氏、クリスティアン・テットドワ(Christian Têtedoie)氏、マテュー・ヴィアネ(Mathieu Viannay)氏。リヨン伝統料理の継承者です(感激~)。

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▼左から、ジャン=ポール・ピニョル(Jean-Paul Pignol)氏、クリスティアン・テットドワ(Christian Têtedoie)氏、レジス・マルコン(Régis Marcon)氏。すごい顔ぶれです(感動~)。

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▼左から、クリストフ・ルール(Christophe Roure)氏、ミシェル・ロシュディ(Michel Rochedy)氏、ピエール・オルシ(Pierre Orsi)氏、ギィ・ラソゼ(Guy Lassausaie)氏。これまたすごい顔ぶれです(興奮~)。

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▼会場大画面に結果発表

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▼大会後、取材を受ける高山シェフ。創造性と芸術性に富んだシェフの作品とその歩み(チャレンジ精神と実行力)は人々の心に奥深く刻まれました。

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▼会場大画面に映し出されるボキューズ・ドール大会の会長ジェローム・ボキューズ(Jerome Bocuse)氏、故ポール・ボキューズ氏の長男でボキューズ王国の継承者。2020年、父ポール・ボキューズ氏のレストラン「Auberge du önt de Collonges」が54年間維持してきたミュシュランガイドの3つ星をひとつ失いました。3つ目の星の再度の獲得に向けて、ジェローム・ボキューズ氏の今後の舵取りが注目されます。

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最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。

皆様、引き続きお体をご自愛くださいませ。

筆者

フランス特派員

マダムユキ

リヨン在住20年以上。フランス各地の魅力を文化・芸術・建築・食を中心にお届けしたい。

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