【コロナ禍は続く】パリに続いてリヨンも(ソフトだけど)3度目のロックダウン!

公開日 : 2021年03月29日
最終更新 :

【フランス リヨン便り n°49】

皆様、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。フランスのリヨン在住マダムユキです。

▼リヨンのセレスタン劇場前の広場で咲き誇る木蓮

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「コロナに負けない」と自らを叱咤激励した1年でしたが、最近になって、「コロナ疲れ」を感じるようになりました。息抜きをしたくても、羽目を外したくても、もっとシンプルにカフェのテラスに座って新聞を読みたくても、仕事帰りに1杯のビールを楽しみたくても......「できない」。飲食店は昨年末から閉鎖中だし、ウイルスに感染するリスク、感染してそれを他者にうつしてしまうリスクを考えると、「自粛しよう」と自分に言い聞かせる......。常に自制心をもって、用心して日々を送ることに少し疲れてきました。きっとそう感じているのは私だけではないのでしょう。そのような心のゆるみがウイルスの再々拡大につながっていると頭ではわかっているのですが(トホホ)......。

パリ(2021年3月20日から)に続いてリヨンの町も3月27日から3度目のロックダウンに入りました。昨年(2020年)11月に実施された2度目のロックダウンに比べてさらに制限が緩やかなのですが、「ロックダウン」(仏語でコンフィヌモンconfinement)という言葉が心に刺さり、「またか......」と肩を落としてしまいました。

▼2021年3月25日の記者会見で新型コロナウイルス感染状況の現状および新たな措置について説明する仏ヴェラン連帯・保健大臣

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3月27日現在、フランスではパリ市やリヨン市が位置するローヌ県を含め、19の県でロックダウンが実施されています。今回の新たな外出制限など、新型コロナウイルス感染予防対策として講じられている措置をまとめてみました。

【移動制限】

●6時から19時までは自宅から10km圏内であれば、時間の制約なく外出が可能です。外出証明書の携帯も不要になりました。ただし、住居を証明する書類(電気・ガス・電話の請求書といった住所が明記されたもの、身分証明書など)の携帯は義務づけられます。住居を証明する書類がない場合は外出証明書の携帯が必要です。

●自宅から10kmを超える移動には外出証明書の携帯が義務づけられます。

●県境に居住する人は30km以内であれば県境を越える移動も認められます。

●地域圏を越えた移動は原則禁止となります。移動する場合は職業上の理由を明記した外出証明書の携帯が義務づけられます。

→→→ これでは「ロックダウンと言えない」というのが世論です。マクロン仏大統領も「この内容はロックダウンではないね」と記者団に話していました。

→→→ ヴェラン連帯・保健大臣は、完全な外出禁止措置は最後の手段と説明しています。

●19時から翌朝の6時までの夜間外出は禁止されます。外出を余儀なくされる場合、外出証明書の携帯が義務づけられます。

→→→ 3月20日より夜間の外出規制の時間が18時から19時に変更になりました。規制の緩和?と疑問視されていました。カステックス仏首相はサマータイムを考慮してとのことと説明していましたが、意図していることが理解できませんでした。恐らく、帰宅時間が集中するために起きた通学通勤の混雑を緩和するためだと、勝手に解釈しています。

→→→ ヴェラン連帯・保健大臣は、夜間外出禁止は他人の家での大人数での夕食など、感染しやすい状況を防ぐためと説明しています。

【学校・教育機関】

●幼稚園、小学校、中学校は引き続き開校します。

●高校は同時出席生徒数を半分にして開校します。

●大学などの高等教育機関は引き続き、対面授業とオンライン授業(遠隔授業)を組み合わせて行われます。

→→→ 学校の閉鎖は子供の学習や保護者の生活に大きな影響を与えるため、最後の手段にするというのが政府の見解です。各教育施設で衛生面での規則を強化し、唾液検査を奨励しています。

→→→ リヨン市では、学校給食の時間帯を11時30分から13時45分の間に広げ、子供たちが食堂に集中しないようにして、可能であれば、食堂だけでなく教室でも食事ができるようにとすすめています。給食内容においても前菜、温菜(メイン)、デザートに選択肢を与えず(以前は各2種類が用意され、選べるようになっていました)、各1種類のみとしました。さらに、給仕の時間を短縮することを理由に、メイン料理に肉類を使用しないことを発表して世間を騒がせました。

【公共の場】

●11歳以上のマスク着用が義務づけられます。

●屋外でも6人を超える集会は禁止されます。

●公園は引き続き開園します

→→→ 室内に閉じこもるよりは、外にいたほうが感染率が低いということから、政府が外出を奨励するようになりました。ということで、春うらら、穏やかで気持ちのいい季節を迎え、公園の広々としたところで日光浴を楽しみましょう。太陽を全身に浴びることによって体内のビタミンDが活性化します。ビタミンD にはウイルス感染リスク抑制作用があるとの研究報告もありますよ!

【商業活動】

●生活必需品を提供する小売店(食料品店、薬局など)は営業します。これに加えて、本屋・CD・レコード店、美容室、靴修理店、花屋、チョコレート店、自動車販売店、教習所、楽器修理店、不動産訪問の営業が許可されました。

→→→ フランスのイースターではチョコレートが大量に消費されます。そのためでしょうか、チョコレート店の営業許可が明記されています。そういえばフランスでは、生活必需品とは何かというのが議論され、食だけが生活の必需品ではなく文化活動も必需品だ!という声が高まっていました。フランスらしい考えです。このような動きがあって本屋や音楽店、楽器修理店の営業が許可されました。また、仕事や家庭の事情で転居を余儀なくされる場合、不動産訪問できないと困りますよね。ということで、今回の措置では不動産訪問も許可されました。ロックダウンが繰り返され、そのたびに不都合が追及されて改善していこうとすると、モード・ファッションの国フランスで衣服は必需品外のままでよいのか?などの疑問が生まれてきそうです。最終的にはすべてが必需品となりそうですね。

●屋外市場(マルシェ)は営業しています。

●ショッピングセンターといった大型店の営業は引き続き禁止されます。

→→→ リヨンでは1万平方メートル以上の面積をもつショッピングセンターや大型店舗は閉鎖しています。また、400平方メートル以上の面積を有する商店では10平方メートルあたり入店者ひとりに制限しています(400平方メートル未満では8平方メートルあたり入店者ひとり)。

▼リヨンではパールデュー駅前のショッピングセンターが閉鎖

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●カフェやレストランなどの飲食店の営業は禁止されています。テイクアウトのみ営業が19時まで許可され、配達を利用する場合は22時まで認められています。

→→→ 配達プラットフォームのウーバーイーツやDelivrooが大活躍! コロナ禍で急成長した分野です。

▼リヨン市はレストランのテイクアウト利用を推奨しています

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【職業活動】

●通勤のための自宅~職場感の移動については雇用主が作成した職務移動証明書が必要となります。

→→→ 政府は移動を抑制するために、就業日5日のうち4日はテレワークにすることを奨励しています。テレワークが困難な場合、社内の感染防止措置を強化させ、例えば、食堂での給食時間を削減するために弁当タイプにして、人と人が対面にならないように向かい側は空席にし、ソーシャルディスタンスを2m確保するようにという指示が出ています。可能であれば、食堂を利用せずに、各職場・オフィスで食事をすることも奨励しています。

【文化施設・礼拝所】

●美術館・博物館、劇場、映画館、コンサート会場は閉鎖しています。

●図書館の利用は可能です。

●宗教施設は開放しています。

→→→ なぜ美術館や博物館が閉鎖しているのか、不思議でなりません。美術館や博物館では、人と会話することもないので、ソーシャルディスタンスを守れば感染リスクは低いように思えます。素人の考えなのでしょうか。美術館で絵画鑑賞でもできれば少しは心も和むのに......。

【ワクチン接種】

●3月26日現在、1回目の接種を受けた人数はのべ750万人を超えました(全人口の11.2%、成人の14.3%)。およそ260万人が2回目の接種も受けています。75歳以上では半数以上が接種済みで、要介護高齢者施設(仏語でEHPAD)入居者の90%が少なくとも1回のワクチン接種を受けています。

●3月27日から70歳以上はワクチン接種センターのほか、かかりつけの医者、薬局でワクチン接種が可能となります。

●ワクチン製造の加速すれば、ワクチン接種も加速していきます。政府は4月中旬までに1000万人以上の接種を完了させる予定です。

→→→ 頼みの綱はワクチン接種です。現在、フランスではアストラゼネカ社製、ファイザー・バイオンテック社製、モデルナ社製の3種類のワクチン接種が行われています。4月中旬にはジョンソン&ジョンソン社製のワクチンが利用可能になるそうです。ワクチン接種の優先条件を年齢別にまとめてみました。

●0歳~17歳

 → ワクチン接種対象外

●18歳~49歳

 → 健康上問題のない人:現時点ではワクチン接種は受けられません

 → 感染リスクが高いと判断される人や感染リスクの高い基礎疾患を有する人:ファイザー・バイオンテック社製あるいはモデルナ社製のワクチン接種が可能です

●50歳~54歳

 → 健康上問題のない人:現時点ではワクチン接種は受けられません

 → 感染リスクが高いと判断される人:ファイザー・バイオンテック社製あるいはモデルナ社製のワクチン接種が可能です

 → 感染リスクが高い基礎疾患を有する人:ファイザー・バイオンテック社製あるいはモデルナ社製のワクチン接種が可能です

●55歳~69歳

 → 康上問題のない人:現時点ではワクチン接種は受けられません

 → 感染リスクが高いと判断される人:アストラゼネカ社製のワクチン接種が可能です

 → 感染リスクが高い基礎疾患を有する人:アストラゼネカ社製、ファイザー・バイオンテック社製、モデルナ社製のワクチン接種が可能です

●70歳以上

 →アストラゼネカ社製、ファイザー・バイオンテック社製、モデルナ社製のワクチン接種が可能です

私はまだ優先者に含まれていませんが、一刻も早いワクチン接種を希望しています。外出するたびに、仕事の関係で不特定の人と会うたびに、ウイルスに感染していないだろうかと懸念する状況から脱したいからです。ワクチン接種で自由と開放感を得ることができるでしょう。ワクチン開発という科学の進歩に心から感謝しています。

そんな風に考えながらブログを綴っていたら、「弱音を吐かずに、ワクチン接種できるまで、感染予防を徹底し続けよう」と、元気が出てきました。

皆様も、引き続きお身体をご自愛くださいませ。

筆者

フランス特派員

マダムユキ

リヨン在住20年以上。フランス各地の魅力を文化・芸術・建築・食を中心にお届けしたい。

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