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フランスのリヨンで、市民の憩いの場「テット・ドール公園」を歩く

カテゴリー:お知らせ / 文化・芸術・美術 / 旅行・ツアー・ホテル / 自然・風景 / 見所・観光・定番スポット 投稿日:2020年6月 2日

【フランス リヨン便り n°24】
「かならず朝陽はのぼる......」、明るい兆しが見えてきました。


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2020年5月28日、フランス政府が週明けの6月2日以降に適用される外出規制緩和の第2段階を発表しました。
フィリップ首相は記者会見で、「ウイルスは,程度は異なるが引き続き全土で流行している。感染拡大速度は抑制できており,当初の目標よりも良い状況にある」と述べ、6月2日から飲食店(カフェ、レストラン、バー)の営業再開を認めました。さらに、美術館・博物館、歴史的建造物、公園、海岸(ビーチ)も再開します。


フランス国内移動において、自宅から100km以内という制限が廃止され、自由に移動することができます。
欧州内の移動については欧州レベルでの決定次第となりますが、フランスとしては、6月15日以降に域内の制限解除に賛成とのことです。
欧州外との国境については、6月15日以降を見越して、欧州レベルで調整中です。


他方で、引き続き、ウイルス流行の警戒が必要で、特にオレンジーゾーンに指定されたパリを含むイル=ド=フランス地域圏、海外領土のギアナおよびマイヨットは、特別な注意が必要な地域として他地域よりも慎重な対応が求められています。例えば、飲食店は室内の営業は不可でテラスのみが許されます。観光宿泊施設も6月22日以降の再開となります。
パリの一部では、週明けを待つことができず、テラスで営業を再開してしまったカフェなどが摘発されましたが、明日から一斉に再オープンします。どれだけの人がこの日を待ち望んでいたことでしょうか。


6月22日から新たに第3段階に移行しますが、フランスのみならず世界各国において、ウイルスの流行を制御し、日常生活の落ち着きと、社会に活気が戻ることを願うばかりです。


2020年05月31日14時現在で、フランスの感染者数は延べ15万1753人、入院患者数延べ10万1657人(前日比72人増、実質入院患者数1万4322人)、退院者数延べ6万8355人、重篤者数は1319人、死亡者数2万8802人が確認されています。
フランスの基本再生産数(各感染者が伝染する人数)R-0は0.77と指標となる1を下回っています。
世界全体では、南米ブラジルの感染拡大が勢いを増しており、2019年12月31日以降の感染者数は600万人を超え延べ602万8135人(ヨーロッパ全体では139万8425人)、死亡者数は36万8944人(ヨーロッパ全体では16万4766人)です。


リヨンでは公園が開放されています。
先日、久しぶりにリヨン市民の憩いの場であるテット・ドール公園(Parc de la Tête d'Or)を散歩しました。


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■フランスの公園
「公園」とはその名のごとく、公衆のための庭園で、公衆の遊楽や憩いのために公共機関が管理する一定の公開区域をさします。自然保護などを目的とした国立公園や、市街地に設けられた住民の保健や休養、教化に資することを目的とした都市公園など、種類はさまざまです。
フランスでは国が管理する国立公園(Parcs Nationaux)がフランス本土で8公園、海外県・海外領土に3公園の計11公園あります。また、地方が管理する地方自然公園(Parcs naturels régionaux)としてフランス全土で54公園が指定されています。さらに県市町村単位でみれば、地方公共団体等の公共施設が管理する都市公園や庭園(Parcs et jardins publics)は数え上げられないほど存在しています。パリだけでも400以上の公園や庭園があり、なかでもチュイルリー公園(Jardin des Tuileries)やルクセンブルク公園(Jardin du Luxembourg)、モンソー公園(Parc Monceau)、ヴァンセンヌの森(Bois de Vincennes)やブーローニュの森(Bois de Boulogne)などが有名です。


都市計画で重要な存在となる公園ですが、フランスは公園を管理する国・地方・県の各団体や協会が集まり、フランス公園庭園委員会(Comité des Parcs et Jardins de France)を設立し、1500以上の公園における、知名度、質や価値の向上ならびに、公園を通じた地域活性化を図っています。その一環として、2004年にフランス文化省とフランス公園庭園委員会が「フランスの名園(Jardin remarquable)」と称されるラベルを創設し、現在433公園が「フランスの名園」に認定されています。ラベル保有期間は認定後5年間で「公園の構成」「公園の周辺地域への融合と質」「公園の特徴」「植物に対する関心度」「歴史的背景」「メンテナンスの質」などの基準によって選ばれます。
リヨンではテット・ドール公園が「名園」ラベルを取得しています。


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■テット・ドール公園の歴史
リヨン市の北に位置するテット・ドール公園は1857年に一般公開されました。ニューヨークのセントラルパークの開園と同じ年にあたります。


歴史を紐解けば1530年、テット・ドール公園のある場所はランベール一家(Famille LAMBERT)の私有地でした。古文書では、当時にしてすでに土地の名称に「テット・ドール(Tête d'Or)」という表記がみられます。テット・ドールとは「金の頭」という意味で、「金でできたキリストの頭像」が戦利品として持ち帰った十字軍によって、あるいは端麗王フィリップ4世に迫害されたユダヤ人によって、この地に埋められたという伝説に由来します。この伝説を証明すべく「キリストの金の頭」探しが何度か行われましたが、現在まで、金の宝は発掘されていません。


1812年、リヨンに都市公園を設立しようというプロジェクトが生まれました。その場所として、ローヌ川とセーヌ川に挟まれたプレスキルと呼ばれる中州、プレスキルの北に広がるクロワ・ルースの丘、あるいは、リヨン発祥の地であるフルヴィエールの丘が候補地として挙がりましたが、広いスペースが必要であることから、現在の公園位置、リヨンの北、ローヌ川左岸に決まりました。


1856年になってようやく公園計画が動き始めます。凄腕の市長(県知事も兼務していました)として知られるクロード=マリウス・ヴァイス(Claude-Marius VAÏSSE、1799年-1864年)が、土地所有者であったリヨン市民病院(Hospices Civils de Lyon)から土地を買収(125万フラン、およそ2300万円)し、スイス出身の庭園設計家ビューラー兄弟(Denis et Eugène BUHLER)とエンジニアのギュスターヴ・ボネ(Gustave BONNET、1810年-1875年)に公園の設計を委ね、翌年の1857年、公園内の工事は一部が未完でしたが一般公開にいたるという、驚きの速さで造園が進みました。


公園は、ローヌ川沿いに伸びるシャルル・ドゴール河岸通り(Quai Charles de Gaulle)、東西に走るベルジュ大通り(Boulevard des Belges)、南北に走るスターリングラード通り(Boulevard de Stalingrad)に囲まれた三角形を呈し、全面積117ヘクタールに、7ヵ所の入園口、16ヘクタールの池、植物園、動物園、温室植物園、バラ園などが配されたヨーロッパでも規模の大きな都市公園となっています。


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■中央入園門
18世紀様式の金箔で装飾された壮麗な鉄製の門は、「ローヌの子供たちの門(Porte des Enfants du Rhône)」と称され、1900年から1901年にかけてつくられました。シャルル・メイソン(Charles MEYSSON、1869年-1847年)とエンリ・ウィルフリッド・ドゥヴィル(Henry Wilfrid DEVILLE、1871年-1939年)の共同作品です。1857年のオープニング当初、公園に囲いはなく、どこからも自由に出入りができていましたが、19世紀後半、公園内の治安維持のために、公園を囲む壁がつくられ、ところどころに門が配されました。開園時間外は門が閉められ、入退園ができなくなります。閉園時間が近づくと、公園パトロールカーがスピーカーで閉園を伝えています。


中央門の手前に大きな記念碑が置かれています。普仏戦争(1870年-1871年)で犠牲になった子供たちにオマージュを捧げるモニュメント「祖国を守るローヌの子供たちへ(Aux enfants du Rhône défenseurs de la Patrie)」です。


公園前のメリーゴーランドが子供たちの遊び心をゆさぶります。


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■イギリス式庭園
テット・ドール公園は、左右対称で平面幾何学のフランス式庭園に対して、自然の景観美を追求した自然風景式庭園(イギリス式庭園)様式で設計されています。樹木は不規則でアシンメトリーに配置され、自然風景を求めた「自然な」美しさがあります。公園内には8800本以上の樹木があり、およそ37%が針葉樹、60%が広葉樹、3%が希少種です。フランスを代表するプラタナスの木、レバノンスギ、ユリノキ(チューリップツリー)、イチョウ、ラクウショウ、セコイアデンドロン(ヒノキ科の最も巨大な樹木のひとつ)などが鑑賞できます。公園内をかわいいリスが走り回っていますので、シャッターチャンスをお見逃しなく!


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■池
中央入園門を抜けると目の前に、ローヌ川から水を引く16ヘクタールの池が広がっています。池には「ガンジーの島(île Gandhi)」「大島(Grande Île)」「追憶の島(île du Souvenir)、旧白鳥の島(île des cygnes)」が浮かんでいますが、後者はリヨンを代表する建築家トニー・ガルニエ(Tony GARNIER、1869年-1948年)の設計によるものです。水辺にたわむれる鴨や白鳥を眺めるだけでも、都会の喧騒を忘れて、心落ち着くひとときを過ごすことができます。


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■バラ園
1805年にジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネ(Joséphine de Beauharnais)が所有していたバラがリヨンに寄付され、バラ園の基礎をなしています。
公園の3ヵ所にわたってバラ園があります。ひとつは1980年に造園されたもので、1600平方メートルの広さに570種類のバラが植えられています。もうひとつは1964年に造園され、5ヘクタールの広さに320種類、6万本のバラの木が植えられています。3つめはバラの研究や品評会用に新種のバラが植えられています。テット・ドール公園のアイコン的な存在である見事なバラ園に、バラ愛好家たちが世界中から鑑賞に訪れています。
バラに詳しくなくても、カラフルで芳香豊かなバラに囲まれて、優雅なひとときをお過ごしいただけます。


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■動物園
動物園は当初から造園計画に組み込まれていました、1858年の開園時は、動物園というよりは教育目的の農園でしたが、徐々に拡大され、1874年以降、世界各地から動物たちがやってきました。現在、6へクタールの広さに130種類の動物が生息しています。
新型コロナウイルスの流行で現在も一部が閉鎖されていますが、キリンの親子が訪問客に愛らしい姿を披露していました。子供にも大人にも人気の場所です。


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■温室植物園
1880年に建築家テオドール・ドメンジェ(Théodore DOMENGET、1821年-1894年)のもとで建てられた鉄筋の温室は19世紀を代表する建造物です。
一番大きな温室では熱帯植物、小さな温室ではランやシダ、マダガスカルやアマゾンの熱帯植物や食中植物などが鑑賞できます。大小の温室をあわせて6500平方メートルの広さに世界各地6000種類が植えられており、フランス有数の温室植物園です。


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■公園内の記念碑
公園内には彫像などのモニュメントがところどころに配置され、自然との調和を楽しめます。
例えば、「平和と正義のためのアンサンブル(Ensemble pour la Paix et la Justice)」と題した銅製の彫刻は、彫刻家グザビエ・ド・ラ・フレシネット(Xavier de la FRAISSINETTE)の作品で、1996年にリヨンで開催されたG7を記念して公園内に設置されました。また、2019年11月に、リヨンと横浜市の姉妹都市提携60周年記念を祝い、バラに囲まれて桜の苗木が植樹されています。


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■散歩のおまけ
テット・ドール公園のベルジュ大通り側には、豪奢な邸宅が建ち並んでいます。なかにはドイツ領事館の建物もあります。公園を散歩しながら、「宝くじにあたったら......」と夢見ながら豪邸を眺めているのは私だけでしょうか。


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【テット・ドール公園(PARC DE LA TETE D'OR)】
・住所: Place Général Leclerc 69006 Lyon France
・開園時間: 4月15日~10月14日 6:30〜22:30、10月15日〜4月14日 6:30〜20:30
・入場料: 無料
・URL: https://www.loisirs-parcdelatetedor.com/
・アクセス: 地下鉄A線「Foch」駅下車、徒歩13分

 

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マダムユキさん

フランス・リヨン特派員のマダムユキさんが現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

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マダムユキさん

リヨン在住20年。リヨン第二大学で美術史専攻。中世からルネサンス期の美術品・絵画・建築を得意とする。ワインとビールが生活の友。フランス現地手配会社を経営する。フランス リヨンの文化・芸術・建築を中心に、リヨン情報をお届けしたい。ツアー情報などのお問い合わせはこちら
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