贅を尽くした邸宅が魅力、英「ウィンポール・エステート」

公開日 : 2022年07月04日
最終更新 :

日本は梅雨も明け、いよいよ本格的な暑さが到来したようですが、こちらイギリスではようやく安定して"暖かく"なり、気持ちのよい季節になってきました。行楽日和に恵まれるこの頃、イギリスで特に好まれるのは、広い原っぱで銘々のお弁当やおやつ、ドリンクを持ち込んでのんびり過ごすピクニック。

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そう、持参するのが正解でした......。イングランド東部、ケンブリッジからほど近い場所にある、ナショナル・トラスト(関連記事)運営管理の「ウィンポール・エステート(Wimpole Estate)」は、冬の間に訪れたほかの同運営施設では見かけなかった人混みであふれ返っていました。

昼どきは要注意

満車状態に近い駐車場から察したとおり、入場後すぐに向かった唯一のレストランには長蛇の列がすでにありました。間の悪いことに、到着したのはランチ時間真っただなか。

コロナ禍の影響が尾を引いており、同施設では遊び場のプレイグランドが閉鎖していたり、飲食エリアでも人手不足と衛生上の観点から提供メニューが絞られており、そちこちに理解と協力を求める貼り紙がされていました。

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来て早々、列に並ぶこと50分!売り切れにならないかヒヤヒヤしていましたが、やっとの思いでサンドイッチと飲み物を手にした頃には、子供向けのセットメニューを入れる特製の箱が尽きており、無地の単なる紙袋が並べられ、かつ、大人がそれを頼むしかないほど在庫が減っていた様子でした。

これからもっとにぎわうであろう、本格的な夏に向けてこのような施設を昼どきに訪れる際は、食べものを自宅から持参か、道中のスーパーなどであらかじめ調達しておく方が賢いかもしれません。

贅を尽くした邸宅

混み合っているとはいえ、こういった商業エリアを抜けさえすれば、広大な庭園が広がっています。ピクニックをする場所はいくらでもあり、持参したランチを芝生で"賢く"食べている家族連れなどを横目に、まずは同施設の目玉建築である「ウィンポール・ホール」に向かいます。

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こういった邸宅は通常、代々子孫に引き継がれていくことが多いですが、こちらのホール(屋敷)の場合、住み手がコロコロと頻繁に変わりました。それは歴代の居住者たちにはこだわり屋が多く、改装改築に財産を注ぎ込み、首が回らなくなる人が続出したからだそうです。

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© National Trust

その分贅を尽くした出来栄えとなり、各部屋ともやたら豪華です。元祖ははじめの所有者(1640〜70年)である、政治家のトーマス・チッチェリーによりデザインされました。その後は改修が繰り返され、現在の形に落ち着きましたが、基本的には18世紀のインテリア様式が多く、天井のペイントが見事なチャペルはバロック調です。

玄関、応接間、寝室、朝食部屋など、この手の屋敷によくあるケバい感じもなく、どの部屋も落ち着いた上品な仕上がりで、垢抜けています。

特筆すべきはダイニングルームで、長テーブルに白ナプキン、高い燭台、銀食器やグラスがセットされ、天井にはシャンデリアが下がっています。まるで映画に出てくる舞台装置のようで、思わずウットリしてしまいます。

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© National Trust

このように壮大な施設を維持するには、たいへんな労力が必要でしょうが、日頃どのようにしてメンテナンスをしているのか、その方法や便利グッズなどが紹介された、管理スタジオがありました。日々の細かい作業や修復が現状の維持や、劣化を遅らせることにつながりますが、第1には目視による確認、パトロールが重要だとパネルには書かれていました。

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© National Trust

階下には執事や下男、家政婦といった使用人たちが働く部屋があり、台所の食器や調理器具、薬類が並ぶ棚やミシンなどが当時のままに保存されています。

ご当地アイスをお忘れなく!

再び庭園に戻りますが、こんなにも天気がよいと、ついつい食べたくなるのがアイスクリームです。ケンブリッジ在住の知人に教えてもらいましたが、こちらのカフェ(2022年7月現在、あいにく閉鎖中)で売られているものは、特においしいのだとか。

ほかの施設でも見かけたので、ケンブリッジ名物といった方がよさそうですが、イギリスのド定番、塩キャラメル味は濃厚で、聞いたとおりのおいしさでした。

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ランチ時に入ったレストランの壁に書かれていましたが、ウィンポールではスコーンに使うバターやりんごジュースも地元産で、自然にやさしい農法で製造されています。

幾人もの華麗なる所有者たちによって完成された豪華な邸宅と、自然の恵を受けて製品化されたご当地食品を目当てに、ぜひ足を運んでみてください。

◼️ウィンポール・エステート(Wimpole Estate)・住所: Arrington, Royston, Cambridgeshire, SG8 0BW・アクセス: 電車Cambridge駅からThe 75番のバスにてArringtonまたはOrwell停留所下車・開場時間:  庭園(毎日)9:30〜16:30、ホール 12:00〜15:30、レストラン 10:00〜16:30・入場料(庭園とパークランド) 大人£9、子供£4.5、家族割£22.5・URL:  https://www.nationaltrust.org.uk/wimpole-estate

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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