英人気サーカス団Zipposの全国ツアー「ボン・ボヤージュ」を見に行こう!

公開日 : 2022年06月13日
最終更新 :

ある日子供に突然「サーカスの学校に行きたい」と言われ困っていたところ、ちょうどタイミングよく近場に「Zippos(ジッポーズ)」というサーカス団が来ているという情報をキャッチしました。

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そういえば、これまでも車で遠出をすると、通り道にときおりテント小屋のようなものが設置されているところがあることを思い出しました。けれどいつもは通り過ぎるばかり、入ったことがなかったのでよい機会だと思い、友人家族と連れ立って観に行くことにしました。

待望の全国ツアー「ボン・ボヤージュ」

実は私、近場にあるということでスペシャル感がなく、よくある地域祭りに毛の生えた程度でたいしたものではないだろう、と高を括っていました。

ところが、ほぼ屋外だと思い込んでいた会場はずいぶんと立派なテント小屋で、中は暗く中央にある"サーカス・リング"を囲むように設置された座席はシアターのよう。

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なんか、本格的......と、俄然やる気が沸き起こってきました。学校のママさんが「とてもよかった!」と大絶賛していただけあり、前評判は上々、売れ行きも好調なようで観覧席はほぼ埋まっています。

そのぶん、密閉された空間と客席同士の近さなどから、これはコロナ禍においてだいぶ苦戦を強いられただろうな、と容易に推測できました。どのくらい自粛期間があったのかは知りませんが、2022年の今年は3月、イースター期間中に行われたロンドン興行を皮切りに、復活を象徴するかのような「ボン・ボヤージュ(よい旅を!)」という題目で10月の30日まで全国ツアーが始まりました。

ジッポーズ・サーカスは、イングランド観光委員会の「Visit England」より、英政府によるコロナ対策の基準を満たしている'We're Good to Go'という証明を受けています。

実際の具体策はウェブサイトに書かれていますが、入場から出口までを一方通行にしたり、空気入れ替え設備の導入、カード払いの推奨などをしていました。特に、場内の売り子が持つポップコーンやドリンクにまで非接触型決済のマークがついていたのには、時代の変化を感じ驚きました。

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また、不必要な接触を避けるためにも、サーカスの出演者(パフォーマー)との写真撮影は現在、避けられています。以降、テント内の写真はジッポーズ・サーカスのウェブサイト上にあった、プレス用の公式写真をお借りしています。

つかみはバッチリ、老舗サーカス団の実力

映画に出てきそうな抑揚のある声で司会者がショーの開幕を告げると、ピエロのウィミーと相方のパウロがターっと走って出てきました。

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Photographer credit: Piet-Hein Out

子供の多い観客は、それだけで大喜び! ふたりはそれぞれ「Cheer Cheer」「Clap Clap」というボードを持っており、「Cheer」を掲げたら観客は「Cheer Cheer(ガンバレガンバレ)」と応援し、「Clap」が上がったら拍手をするという、単純なやり方を教えてくれました。

こういった全員が楽しめるよう、観客巻き込み型の進め方はさすが、エンタメのプロだなと初っ端から感心しきり。その後も"地域祭り程度"という失礼な先入観は、どんどん払拭されていきました。

それもそのはず、ジッポーズ・サーカスは創業者のバートンさんが1980年代から始め、いまではイギリス人にとってすっかりおなじみの、"ベスト・サーカス(Britain's Best Circus)"に選ばれるほど歴史あるサーカス団でした。

世界中から集ったパフォーマーによる、迫力のショー

まず始めの演目はなんだろう、と思っていたら銀色のロケットがグルグルと天井を旋回し始めました。そのうち、中から人が! それも、ひとりではありません、ふたりも現れました。逆さ吊りになった男性がさらに女性の足を持つのですが、最後は女性が首に巻きつけられたベルト1本のみで周遊するなど、人間離れした技がさっそく披露され度肝を抜きました。

次にソロで出てきた女性は、天井から垂らされた2本の帯を自分の身体に巻きつけて天井付近まで登ったかと思えばそのままクルクルっと下まで巻き落ちてきたり、上空で開脚をするなど、落下しないかとハラハラしましたが、ロマンティックな曲調と相まってとてもきれいでした。

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Photographer credit: Piet-Hein Out

彼女の名前はジジ、モンゴル出身だそうですが、ジッポーズにはほかにも始めに出てきたパウロはブラジル人、その後登場するジャグラーのトニーはチェコから、空中曲芸のコンビはアイルランド、残る出演者もそれぞれキューバやケニアなど、世界各地から選りすぐりのパフォーマーが結集しており、どれも非常にレベルが高いです。

命がけの目玉スタントショー「死の球」

なかでもトリを務める「死の球(Globe of Death)」という、少々物騒な演目はブラジル人グループによるスタントショーです。開幕当初から舞台脇にあった巨大な球状の金網が中央に運ばれてき、いったいなにが始まるのかと思いきや、そこにバイクに乗ったパフォーマーが、まるで普通に運転するかのように入っていきました。

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Photographer credit: Piet-Hein Out

いくら"巨大"といっても、バイクが走るには狭い場所。それも、通常そんな形態で走ることなどありません。そこに、ひとりだけでなくふたり、3人......途中丸腰の女性パフォーマーが中央に立ち、球の上半分と下半分で最終的には計4人のライダーがグルグルと駆けめぐります。

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Photographer credit: Piet-Hein Out

ショー本番ではたいていのことが成功し、パフォーマーたちは平気で難易度の高いことをしてるように見えますが、当然ながらそれは常に危険と隣り合わせ。このバイク・スタントでも、かつて球の上半分で旋回していたライダーのひとりがめまいを起こし、ほかの出演者を巻き込んで落下するという事故があったようです。

ジッポーズ・サーカス創業者で、自身も道化師だったバートンさんも、若い頃に火を飲むファイヤーショーで失敗し、1年間集中治療室で過ごすという経験をしました。それでも「観客を前にするとアドレナリンが放出されて、どんな技でも学ぼうという気になる。このショーを成功に導くために、自分はどう動けばいいのか、それを学ぶのがサーカス・パフォーマーさ」と、バートンさんはとある取材のインタビューで述べています(参照:Baird, Nicola. "MARTIN BURTON: CIRCUS FOUNDER" Islington Faces April 2013.)。

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Photographer credit: Piet-Hein Out

見応えタップリで、イギリスを代表する大人気サーカス団、ジッポーズの全国ツアー「ボン・ボヤージュ」の今後のスケジュールは以下のウェブサイトに載っています。イギリス滞在予定のある方は、息を呑むこのスリリングなショーを、いちど観に行かれてはどうでしょうか。"ファミリー向け、子供向け"と侮れない、すばらしいショーが見られます。

◼️Zippos Circus(ジッポーズ・サーカス)・開催期間: 2022年10月30日まで・チケット料金: 大人£17〜£29、子供(2才〜14才)£13〜£23・URL: http://zippos.co.uk/

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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