コロナ禍で行くイギリスの歯医者さん「予約状況や気になる料金など」

公開日 : 2021年01月27日
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イギリスにはトフィーというキャラメルがあり、私の大好物ですが粘着力がすさまじく、昨年は夫が、2021年の今年は新年早々私の銀歯が取れてしまいました。

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昨年の春に引き続き、1月27日現在でもまだロックダウン中ですが、歯科医も含め医療機関は幸いにも診療受け付け中です。

コロナ禍での予約状況

さっそく以前利用した歯科医に電話をすると、まさかの「薬局に行って仮の詰め物を買い、自分で詰めよ」との返答。それでは根本的な解決にはならないので食い下がると、ひと月以上先の日を提案されました。

そんなに待てない、と電話を切ったのですが、このときはまだこれでもよい条件だったとは知るよしもありませんでした。ほかの歯科医に問い合わせると、翌月どころか今年はコロナ禍で通常の診療は受け付けておらず、緊急対応のみだと言われてしまいました。

焦ってさらにもう1軒電話をかけた先では、保険適用外のプライベート診療なら空きを作ることができる、との前向きな回答がありました。

イギリス歯科医の料金形態

イギリスにも日本の健康保険のようなNHSという皆保険制度があり、以前は外国人の旅行者でさえも無料で診察が受けられました(現在は条件を満たした在住者のみ)。

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しかし歯科治療については、ほかの多くの海外諸国と同様、自費のことが多いです。保険の対象になる歯科医もありますが、こちらの在住者から、結局は金額に大差はないと耳にしていた(いずれにせよ、高いという意味)ので、今回「プライベート診療でなら」と言われたときにはすぐにお願いしました。大まかな治療費も尋ねてみると、£60前後で追加費用がかかる可能性もあるが、そんなには高くならない、とのことでした。

徹底したコロナ対策

プライベート治療がものを言い、予約は3日後に取れたので向かうと、住宅街の中におよそ歯医者とは見えない、かわいらしい建物が現れました。イギリスはほかのヨーロッパ諸国同様、景観を損なわないよう特に郊外では、学校や商店までもがレンガ造りなど、一見して何屋さんなのかわからないことがままあります。

今回の歯医者さんも、外観はお屋敷のようにすてきで、中は医療機関らしくどこもかしこも真っ白に塗られており、光り輝いていました。が、受け付けをしようと思っても「呼ぶので外でお待ちください」と早々に追い出されました。よく見ると、外壁に「車内から出ないでください」と注意書きがありました。

車ではなかったので生身のまま冬空の下、10分ほども待たされました。日本では一般的でないと思いますが、こちらでは「指定なし」を選ばない限り、普通の病院でも先生ごとの予約となることが多いです。いつも「指定なし」ばかりなのでこれまで気にしたことがありませんでしたが、今回は先生の名前を聞かれ、すぐに答えられずにいると後回しにされてしまったので、割り当てられた担当医の名前は今後すぐに言えるようにしておこう、と思いました。

プライベート診療か保険かで変わる先生陣

ようやく中に入れてもらうと今度はそのまますぐに、入口からもっとも近い個室に案内されました。広々とした診察室には別のスタッフとともに、背景に溶け込んでしまいそうなほど、これまた全身真っ白な先生が立っていました。

日本ではそもそも先生などがつけるマスクは標準装備ですが、こちらではもともと先生でもマスクをしていません。ウェブサイトにある診察風景の写真を見てもノーマスクなので、今回コロナ対策の一環で先生がマスクをしているのは逆に新鮮でした。

とっても気さくでていねいな応対で、予約がスムーズに取れたことも相まって、急に安心しました。その場で撮るレントゲン写真など、設備機器も見たところ最新鋭のように見え、銀歯充填のほかに検診までしてもらえ、ちょうど昨年は日本で行くことができなかったのでラッキー、とすら思いました。

最後には噛み合わせなどの確認か、アゴを外側から手で触って確かめるなど、日本で経験したことのない診療まであり、なんだか得した気分になりました。やけにサービスがいいな......と思ったら、ウェブサイトを見るとこの医院ではプライベート治療かどうかでつく先生が変わってくるようです。私が診てもらった先生はどうやら院長級の?トップクラスの先生のよう。

お会計でビックリ仰天

すっかり満足し、これからは以前行っていた歯科医ではなく、こちらに乗り換えようとまで思ったのですが、そんな高揚も会計時に吹き飛びました。

「£131.5です」

と言われ内心とてつもなく驚いたのですが、どうにもできずカードを差し出しながら、せめてもの抵抗とばかりに明細の内訳はないのかと聞きました。というのも、出されたレシートはレストランよりも簡易な、町の八百屋さんかたばこ屋さんのようなちっぽけなもので、値段がポンっとひとつ書かれたきり。とても納得できるものではなかったので、つい聞いてしまいました。

レントゲン写真のせいで、電話で聞いたときよりも大幅に上回ってしまったのか?とも思いましたが、特別に? もったいをつけて出してもらった明細を見ると、犯人は初診料でした。

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「次からはこれがないので、グッと安くなりますよ」と、クレーマー化を恐れてか、やけに歯磨き粉の試供品を大量に持たせてくれたほどでしたが、後日日本円でのカード請求額を見て2度ビックリ。昨年はブレグジッドで一時期異様に安くなっていたポンドが、今年はだいぶ回復しており、2万円近くになっていました。

保険適応で予約の場合

ちなみに、今回は緊急(歯科医からしたら、まったくそうでないようですが)だったので背に腹はかえられませんでしたが、検診など時間に余裕があるときはNHSの保険でも予約できるのか聞いたところ、

「えぇ、もちろん。時間があれば、12月の予約を9月から取るとか。今年はコロナの影響で、次の予約は来年の1月になりますがどうなされます?」

と聞かれ......もちろん、お断りしました。過去の領収書を確認したところ、以前行っていた歯科医でも初診料こそ保険適応だったので£21.6でしたが、今回のケースとは別パターンなので比較対象にはなりませんが、なんやかんやで検診、マウスピース作成でやはり£130とられていました。

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しかも、日本ですと最後の治療時や検診後には、歯石除去などのクリーニングもしてくれますが、こちらでは歯科衛生士(hygienist)との予約を別日に取らなければならず、料金も当然ながら追加となり、£51でした。

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予約もコロナ前ですら3ヵ月先まで埋まっていたような状況で、洗浄とブラッシングには追加で£13という謎のくくりもあるなど......思い出せば思い出すほど、今回行った医院はきれいで対応もよく、値段も標準なんではないか、とだんだん感覚が麻痺してきました。

いずれにせよ、一時帰国する海外在住者の「日本でのやることリスト」には、「歯医者にかけ込む」を入れている人が多いのではないでしょうか。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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