春のロックダウンから学んだ「イギリス2度目の学校閉鎖と家庭学習」

公開日 : 2021年01月12日
最終更新 :

先週2021年1月7日には、日本でも東京など1都3県を対象に緊急事態宣言が再発令されましたが、一斉休校は回避されたとのこと。ひるがえってイギリスでは昨年2020年の春、3月より実施されたのに引き続き、今年も今月2021年1月より新型コロナによる2度目の小学校など教育機関の一斉休校が決まりました。

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それにともない子供の家庭学習(remote learning/home schooling)も、学校によってはすでに先週より復活してしまいました。わが家でも昨日11日よりついに始まり、予定では2月いっぱいという話とは裏腹に、メディアでは盛んに「3月」という言葉が飛び交い、相変わらず先が見えません。

以下に昨年(関連記事)との違いや今後の取り組み方など、家庭学習再開初日を迎えて見えてきた現状を、私個人の思いとともに紹介します。

家庭での本格的な授業の導入

親など保護者の負担もさることながら、再度の休校で過大な負荷がかかったのは学校の事務職員や先生方教員ではないでしょうか。今回は、昨年度と比べて明らかな違いがいくつかあります。

すでに昨年より導入していた学校もあると聞きますが、少なくともわが子が通う小学校では、今年は前回になかった「授業の完全オンライン化」が進みました。昨年はあくまでも一時的な措置、という意味合いが強かったせいか学校再開に向けての補習という形で、授業のライブ配信はありませんでした。

先生とのリアルタイムでの対面型オンライン・ミーティングは個別の予約制か、最後のほうに始まったクラス全体の「集まり」が不定期にあった程度でした。授業は録画されたもののみで、生徒は自由な時間に見て作業することができました。

全体でのミーティングも、あくまでも懇親を目的にしたもので、ある日から突然始めるなど、学校、保護者、もとをたどればイギリス政府自体が常に手探りの状態にありました。

それが今年は、個人的な思いですが、始めから長期化を見据えて「腹をくくった」雰囲気を感じ、ある意味進むべき道が明確でスッキリとわかりやすいです。

おびただしい教材の数

それは今回配られた教材の量を見ても明白で、以前はそのほとんどがプリントされたバラバラの紙片であったものが、今回は教科書のような、校内でそれまで実際に使ってきた冊子状のテキストもかなり含まれていました。

教科も昨年は生徒の負担を減らすためにも、はじめは全教科だったものが途中から国語と算数に絞って実施されましたが、今年は「学校から家庭への丸移し」が主旨のようで、主要教科以外に地理歴史、理科、体育や音楽、美術といった教科もすべて家庭で行われます。唯一見合わせられた教科は、スペイン語のみです。

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体育用のコーンとテニスボール、リコーダーにスケッチブックまで、文字通り「山のような」配布物を目の当たりにして、方針が明確でわかりやすいとはいえ、先の見えない状況にますます暗たんたる気持ちになりました。

無理なく続けるための対処法

今回は政府が「家庭学習の実施時間は1日3時間が目安」と具体的な数値を設定した点と、すべての家庭でオンライン授業を滞りなく遂行できるよう、必要な家庭にはパソコンやタブレットなどの機器を自治体などから支給する(参照:"Get help with technology during coronavirus (COVID-19)" Gov.UK)点も、前回とは異なります。

この「3時間ルール」はあくまでも目安なので、実際の時間は各学校に委ねられているはずですが、こうした政府による明確な指示は学校側としても事前対策を練りやすく、前回と比べて保護者ともに淡々と、落ち着いて行動ができている気がします。

昨年はイギリス中、誰にとっても前例のない事象ばかりで政府の方針も二転三転するため、学校としても都度ルールを改変しなければならず、家庭学習に関わるすべての人々が混乱してパニックに陥っていたと感じました。

今回はまだ始まったばかりで様子見ではありますが、心なしか先生たちの声や口調、文調に昨年度にはあまり見られなかった、確かな自信と余裕が見受けられました。もちろん、その裏には再開直前まで繰り広げられたであろう、校内あるいはオンラインでの各種会議や教材、初めて行うオンライン授業への入念な下準備など、学校、先生方の多大なる働きがあったかと推測されます。

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こういった一連の動きが学校への安心感と信頼につながったのか、前回大わらわでパニック状態だった保護者たちも今回は軒並み静かです。

私自身も前回に教訓を得て、今回は課題の提出時間を気にし過ぎず(学校からは毎日16時までの提出を推奨されていますが......)、少なくとも自分の食事とトイレの時間だけは好きなときに確保しよう、となるべくリラックスした状態を心がけようと考えています。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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