イギリス「ケント州でもっともかわいい村のひとつ」チディングストーン

公開日 : 2020年11月25日
最終更新 :

ケント州にあるガストロ・パブ「The Castle Inn」(関連記事)は、歴史的建築物の保護を目的に設立された英機関、ナショナル・トラスト(National Trust)管理の村、チディングストーン(Chiddingstone)内にあり、周辺にはヒーバー城やチディングストーン城もあります。

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イギリス(イングランド)は2020年11月現在、2度目のロックダウン中ですので、同年9月に訪れたチディングストーンの見どころを紹介します。この日は早めの夕飯を「The Castle Inn」で済ませたあと、食後の運動を兼ねて周辺を散策してきました。

自然に囲まれたチディングストーン城

バッキンガム宮殿やエリザベス女王の週末別荘地であるウインザー城など、一大観光地の王宮も格式が高くてよいですが、チディングストーン城のような一地方の郊外型宮殿は静かでまた違った魅力があります。時間帯にもよりますが、観光客も少なく城の周りに広がる自然を愛でながらゆったりとした時間を過ごせます。

400年の歴史を持つこの城は、1955年に城主となったバウアー(Bower)氏の絵画や骨董品コレクションの保管場所としても重要な意味をもち、意外にも「a fascinating collection of Japanese, Egyptian...」と紹介文にもあるように、日本との関係も深い城でした。

城内は新型コロナの影響か、2020年の今年は10月26日まで、日曜と月曜に限って開放されていました。11月現在、チディングストーン中心街に通ずる城外の遊歩道や湖周辺の地は毎日開いています。

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城内に入場するにはその場で購入するチケットが必要ですが、そのほかの場所については城内駐車場前に置かれている「善意の箱」に£2を入れる寄付制となっています。これは城外の自然を管理、維持するために使われます。

城内開放時間中は軽食がとれるティールームも開いていますが、「城外でのピクニックもぜひお楽しみください」と呼びかけるほどなので、いつでも気兼ねなく訪れることができます。この「城外はご自由に」というスタイルはほかの城でも見かけたことがあるので、イギリスではスタンダードな形なのかもしれません。

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このチディングストーンは「ケント州でもっともかわいい村のひとつ」と町の案内板に書いてあるとおり、城外にある湖には丸いハスの葉っぱが無数に浮かび、そこにかかる橋までもメルヘンチックで、すでにとてもかわいらしいです。城一帯は結婚式などで貸し切ることもでき、一般開放が進んでいます。

■Chiddingstone Castle・住所: Chiddingstone, Edenbridge, Kent TN8 7AH・アクセス: 電車Tunbridge Wells駅よりバス利用・城外開放日時: 毎日7:00〜18:30・URL: https://www.chiddingstonecastle.org.uk/

5分で周れるチューダー様式の中心街

チディングストーン城外敷地を通り抜けると、町の中心部が現れます。ゲート横にはパブの「The Castle Inn」があり、その隣に郵便局や雑貨店、喫茶店が並びます。

チディングストーンはイングランドの15世紀末頃から17世紀初頭までの建築様式である「チューダー様式」を深く継承する好例の村です。建物の半分と屋根は赤レンガ、そのほかは白壁に黒い木枠をはめ込んだデザインはとても「ケント(州)らしい」典型的なスタイルだそうです。

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向かいには聖マリア・チディングストーン教会がそびえ、「中心街」はこれだけです。町の案内板によると、これらを含む村一帯は1939年にナショナル・トラストが買い上げ、以降は村全体の保存に努めています。村の家屋は基本的に16〜17世紀のものですが現在郵便局になっている建物にいたっては、1453年に建てられました。村の7割以上の建物は200年以上の歴史をもち、建材によってはさらに古いものまであるそうです。

町名のチディング石(ストーン)が設置されている小径

中心街のすぐ先には小学校と公民館まであり、村として立派に組成されています。脇には「Chiding Stone」とChiddingstoneをチディングとストーンに分解した標識があったので小径をたどってみると......

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行き止まりにこんなに大きな丸い石が積んでありました!

チディングストーンという町名は、周辺一帯で太古から形成されたこのChiding Stone(チディング石)の名前に由来しているそうです。

小径の横は大きく原っぱとしてひらけており、夕暮れが美しい景色でした。

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町自体はほんの5分でまわれる小ささですが、こうして町の案内板を読みながら歴史を紐解き、広大な自然の景色を眺めたりドングリや落ち葉を踏みしめながら歩いたりと、タップリ時間をかけて楽しむことができました。

生活に根付いたイギリスの伝統的な建築様式を見て知ることができるので、コロナ禍が落ち着いた頃に、近くにある別のヒーバー城(Heaver Castle)とセットで訪れるのも一案かと思います。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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