イギリス発祥「本場でボーイスカウト活動」

公開日 : 2020年08月14日
最終更新 :

いまどきの子は習いごとをかけもちし、塾も含めると1週間に7つも予定がある、という大忙しの子もいるそうで感心します。かくいうわたし自身も、幼少時からいろいろやらせてもらってはいたのですが、どれも身にならず......。ということで、自分の子に関してはやりたがるまではなにもさせない、と始めから考えていました。ただし、ボーイスカウトだけは別でした。

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制服の格好よさと健康によさそう、という単純なイメージから以前より少なからず興味をもっていました。日本でも探してはいたのですが、イギリスに来てみると、なんと近所にあるではないですか。それもそのはず、ボーイスカウトとはイギリスが発祥の地でした。これはもう「やるしかない」とその気になったのですが、聞けば時期によっては順番待ちになるほど人気なんだとか。

入隊手続きと準備

知らなかったのですが、「ボーイスカウト」といっても「スカウト(Scouts)」と名のれるのは10歳から14歳までだけで、ほかの年齢の子供たちは「ビーバー(Beavers )」や「カブズ(Cubs)」といった別のクラスに分けられます。

最年少クラスのビーバーへの入隊は6歳の誕生日の1ヵ月前から可能なので、皆それぞれ入る時期が異なります。制服は事前に店舗かオンラインで購入するのですが、上はポロシャツかトレーナーのみ、下は自由と、やたらカジュアルで想像していた「格好よさ」と違いました......。

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ビーバーだからかと思いましたが、その上のカブ、スカウトと年齢が上がっても似たようなもので、制服は各国それぞれのようです。わたしは日本以外にも他国の制服を見たことがありますが、それと比べると意外にも本国のそれがもっとも気軽でカジュアルなのは意外でした。

費用は学期ごとの£45に加え、初期費用として補償費£35と、あの象徴的なスカーフ£4.15がかかります。おもしろいことに試用期間のようなものがあり、そのあいだはスカーフをもらえません。

授与式を経て正式メンバーに

ボーイスカウトには「3つのちかい(誓い:Scout Promise)」と「8つのおきて(掟:Scout Law)」があります。無事入隊してひと月ほど経つと、「ビーバーで活動していく心がまえができている」とみなされ、正式メンバーになるための授与式(investiture)を個別にしてもらえます。

式では誓いと掟を復唱し、ようやくスカーフや所属バッジなど、基本的なセットをひと揃い授与されます。その約束ごととは3行の短いもので、「他者を助ける」「心身ともにすこやかに」といったものですが、まず第1に「神と国への忠誠」を誓わされます。

わたしはイギリスに来た当初、教会の多さや子供の学校での宗教行事になにかと戸惑ったのですが、まさかこんな習いごと(課外活動)にまで神がかかわってくるとは思いもせず、衝撃を受けました。

が、そこは多民族国家、その「神」の部分は各自が信仰する仏やアラーの神などでもよく、わが家のような無神論者には代替として「世界を愛す」という文言もちゃんと用意されていたので安心しました。

活動内容

ボーイスカウトというと、まずはキャンプなどの野外活動が思い浮かべられるかと思いますが、キャンプは学校の長期休暇中のみです。ふだんはハット(hut)と呼ばれる各グループ(隊)の拠点でゲームや図画工作、天体学習やときには料理やおかし作りなど、さまざまなアクティビティを屋内でします。

これらに加え、不定期でハイキングやボルダリングなど、場所を変えた屋外活動があります。活動日時は所属する隊によって異なりますが、ビーバーは放課後17時半頃から1時間というスケジュールが多そうです。

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これらの活動をひとつずつこなしていくと、「チャレンジバッジ」と称したワッペンをもらえます。このバッジは制服に縫いつけなければならないのですが、課題をこなすたびに増えていくので、縫うのがたいへんです。

ちゃんとつける位置まで決まっているようですが、よく確認しなかったわたしは初年度めちゃくちゃにつけてしまい、ほかの子に「違う」と指摘されてしまったようです。

コロナ中のリモート活動

2020年の今年は新型コロナウイルスの影響で、学校同様ボーイスカウトも3月よりハットが閉鎖されてしまいました。はじめは活動も停止状態だったのですが、そのうち「Night Away at Home」と称して、それぞれの自宅で課題に沿ったキャンプ活動をしたり、Zoomアプリを使った遠隔ミーティングがはじまりました。

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「おうちキャンプ」は金曜日の夜からはじまり、その日は自宅の庭か家の中にテントやシートを敷き、寝袋で寝ます。翌土曜日には昼食を自分で作る、ということで料理やBBQをしたり、植物を5種類探す、ロープの結びかたを学ぶ、マッチ箱に自分のお気に入りのものがどれだけ入るか試す、というゲームをしたりしました。

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Zoomのミーティングでは新メンバーの授与式もオンラインで行い、「バーチャル握手」もしました。ゲームは家中からリーダーに指定されたものを探してきて見せる、借りもの競争(scavenger hunt)が子供たちに大人気で毎回大盛りあがりです。

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夏休みに入る最終日にはパーティということで、台所に移ってマグカップひとつでできるカップケーキを作って「みんなで」食べました。

コロナ以前は課外行事として教会での式典も多く、母の日(参考記事)や戦没者慰霊の行事(参考記事)などを地域住民の方々と一緒に行うこともありました。現在は夏休みで活動も休止中ですが、皆が9月の新学期からまた元のハットで会えることを心待ちにしています。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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