レストラン注文時に役立つ「イギリスの肉事情、部位名」

公開日 : 2020年08月01日
最終更新 :

昨年2019年は、日本で長い間途絶えていた英国産の牛肉の輸入が23年ぶりに再開された、イギリスの畜産業界にとって感慨深い年になったようです。同時に、英国産の羊肉(ラム)の輸入も初めて認められました。

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イギリスの牛肉は赤身の評価が高いとのことですが、日本では最近でこそ赤身のヘルシーさが注目され始めましたが、伝統的に霜ふり牛が人気の日本ではラム肉同様、イギリスの肉事情はあまり知られていないのではないでしょうか。そこで今日は、レストランの注文時にも役立つような肉の部位名を英語で紹介するなど、お肉情報をお伝えします。

かたまり肉文化

イギリスに越して来たばかりの当初、手間どったことにスーパーでの買いものがあります。見知らぬ野菜にもとまどいましたが、肉の種類、形態、部位名が日本とかなり異なるので、何を買えばいいのか判断がつかず、選ぶのに時間がかかりました。

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まず、日本ではあたり前のパックに入っている薄切り肉が見当たりません。角煮やチャーシューにするような塊肉(pork tenderloin fillet)か、ステーキ肉(steak)か、カレー用肉(diced pork/beef/chicken)か、せいぜい豚カツ肉(pork loin steak)かしょうが焼き(Thin Cut Pork Loin Steaks)程度まで。小間切れ肉のような日本で慣れ親しんだ形態のお肉が存在しません。

正確にいえば韓国や中国など、アジア食材店まで出向かないと、普通のイギリスの地場スーパーでは手に入りません。この事実を初めて知ったときは動揺しましたが、必然的にそのあとはサイコロ状になっているカレー用肉や「炒めもの用(stir fry) 」という、豚カツ肉を細切りにしてあるもので代用しています。それでも便利なせいか、品切れがけっこうあるので油断なりません。

日本とは逆の値段設定

日本では豚バラ(pork belly)がほかの部位に比べて高かった気がしますが、こちらは当然うす切りはないもものの、棒状のかたまり肉がボンボン入って安めです。そのかわり、スペアリブ(spare ribs)が手に入りにくく、ポークリブ(pork ribs)という、スペアリブよりやけに骨と身が長い部位を代替にしています。

牛肉は日本でもそうですが、値段と味が如実に比例します。種類も日本でよく知られたサーロイン(sirloin)やフィレ(fillets)牛のほかにランプ(rump)肉など、複数の種類があります。そのためはじめは選ぶ自信がなかったのですが、友達の家で出されたステーキサラダがおいしく、「イギリスのお肉でもこんなにレアで食べられるんだ!」と感動し、以来教えてもらったリブアイ・ステーキ肉(ribeye)という部位のものを愛用するようになりました。

そして一番手こずったのがとり肉です。ムネ肉はchicken breast で納得したのですが、モモ肉が思いつかず調べてみるとchicken thighでした。牛肉と同じで、日本ではパサつきがちなムネ肉よりも脂が多くジューシーなモモ肉のほうが人気で、値段もそのぶんモモ肉のほうが高いです。ところが驚いたことに、イギリスでは「ヘルシー」という理由でムネ肉のほうが人気は高く、値段もモモ肉の方が安いという、日本と真逆の現象です。

骨つきとり肉の種類

そういうわけで、モモ肉好きの日本人には助かるイギリスですが、注意しなければならないのがfiletsと書かれたものを選ばないとchicken thighだけですと、骨がついた状態のモモ肉になってしまいます。

はじめはこのことにも気づかず、誤って購入してしまい調理にてこずりました。フィレ(filets)のほうは、皮がほとんどとり除かれ下処理がよくされているので使いやすいです。日本でいう「皮なしモモ肉」のような状態で、以降わたしはこちらのchicken thigh filet タイプを愛用しています。

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なお、手羽元はchicken nibletsといい、こちらもごていねいにskin offと皮がわざわざとり除かれています。あくまでも個人的な推測ですがムネ肉といい、イギリスではどうも皮や脂身がないことが「ヘルシー」の象徴なのかもしれません。なお、この手羽元もどこのスーパーにもあるわけではなく、アジア系食材に強い特定のスーパーにしか置いていません。

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手羽中にいたっては皆無で、こちらで骨つきのとり肉といえば逆に日本にはないchicken drum sticksという鶏の脚の下部の関節部分か、手羽先(chicken wings)が主流です。クリスマスの時期には七面鳥(turkey)やローストチキン用のchicken legが大々的に売りだされます。ササミはmini chicken breastといい、幸いどのスーパーでも普通に手に入るので安心しました。

ひき肉とそのほかの肉類

最後にひき肉(mince/ground)についてですが、合びき(Bolognese mince)ととりひき肉が手に入りにくいです。はじめはどこにもないのかと思い、自分で豚と牛を混ぜて作成していたほどですが、そのうちいくつかのスーパーではふだんから売られているということに気づきました。

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けれど、これまた品切れのことも多いので見つけたらすぐに買うことが多いです。とりひき肉は基本的に七面鳥のものになり、以前はふたつのスーパーで見かけましたが、なぜかここ数年はもはや1社のスーパーにしか置いてありません。それも、やっぱりムネ肉のみのひき肉(chicken breast mince)で、モモ肉のミンチは売っていません。あまりにも売っていないので、何度か七面鳥のものをトライしてみましたが、日本人には臭みが感じやすいかと思われ(お好きな方もいらっしゃるでしょうが)、わたしは断念しました。

ほかに日本と異なるのは、ラム肉(lamb)のコーナーがどこでも常設されていることです。慣れるとハマる、みたいな話をけっこう聞くので1度だけ、挑戦しやすいかとひき肉タイプを試してみましたが、わたしにはダメでした......。調理法がマズかったか、臭みをモロにだしてしまい、初心者にはハードルが高かったです。そのあとラム肉がとってもおいしいトルコ料理屋さんに出合い、ラム肉は外で食べよう、と思いました。

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今ではイギリスで売られているお肉の各種類、違いを理解し、ふだんの買いものもスムーズになりました。また、これらを知ることは外食でレストランやテイクアウトをする際にも役立っています。メニューを広げたときに、どんな肉類なのか想像がついたり、「なぜとり肉といえばムネ肉のものばかりなのぉ〜?」という疑問も解消されスッキリ納得です。日本の外国レストランでも活用できることがあるかもしれませんので、予備知識として参考になればうれしいです。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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