ハズレなしのワイン屋さんがある町〜パーリー・オークス〜

公開日 : 2020年06月20日
最終更新 :

イギリスに引っ越してくる直前の2017年ごろ、日本では「ワンコイン・ワイン」、つまり500円をきってもけっこうおいしいチリ産ワインが流行っていました。お酒に詳しい知人いわく、関税やらの関係でフランスやイタリアといったいわゆるブランド国のワインに比べて、チリのものは同程度の品質でも日本へは安く供給できるのだそうです。その原理からいうと、イギリスでなら距離的にも経済的にもなにかと近い、周辺諸国のワインを安く手に入れられるのでは、と予想していたのですがハズレました。

スーパーでみても、あまり安くはない。いや、まてよ。あったあった、ワンコインなみのお値段、最安値ですと£3.99(約560円)程度のものがどこのスーパーにもありました! さっそく買ってみたのですが......

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日本のワンコイン・ワインと比べてしまうと、味がよろしくなくイマイチでした。日本のものとは異なり、イギリスのワンコイン・ワインは「安かろう悪かろう」に近いのではないか、と個人的に感じました。おいしいものもあるのかもしれませんが、残念ながらわたしはいまだにめぐりあったことがありません。「ヨーロッパなんだから」という期待が大きすぎてアテがはずれ、日本酒も焼酎もふつうは手に入りにくいし、ワインすら高いのであればいったいどうすれば......と、イギリスにきた当初はしばらくアルコール難民になっていました。

地元に根づくワイン屋さん

そのうち、ご近所さんや友だちから「地元民ご用達のワイン専門店がある」と教えてもらったのがパーリー・オークス(Purley Oaks)という町にあるワイン屋さん、Laithwaite's Wineでした。

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そのころにはもうワンコインにこだわるのはやめていたので、安いといっても£10(約1400円)近くはするものが多いですが、箱買いをすると1本あたりがかなりお得になります。「地元民ご用達」とはいえ、店舗はこちらのパーリー・オークスだけでなく、おもにワイン作りがさかんなロンドン南部、サリー州を中心に全国展開する大手チェーン店でした。

創業者の魅力

ここ数年日本でも「顔のみえる生産者から買う」ということが好まれてきましたが、このワイン屋さんの創業者トニー・レイスウェイト氏は50年以上前からそれを実践してきました。熱意あふれる人物らしく、もとはワインボトルの洗浄スタッフだったにもかかわらず、そのあと事業を軌道にのせ現在では「イギリス最大のワイン商」とまで呼ばれるようになりました。すっかりトニーさんのファンになったわが家も、今では実店舗のみならずオンラインでもお世話になっています。

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Laithwaite's WineはITをおおいに活用しており、たとえば顧客はお店のウェブサイトに登録し購入したワインの評価をつけることができます。正直に低い評価をつけるとただちに次回利用できる割引クーポンが送られてきたりして、サービスの満足度は高いです。複数の生産国の商品がいり混じっているセットをよく購入するのですが、そのどれもがおいしく、味のアタリ率がとても高いと思います。実店舗でのスタッフの接客態度もすばらしく、ワインのこともいろいろ教えてくれてフレンドリーです。

イギリスでは今週月曜日の6月15日より、生活必需品以外の商店でも営業が再開されました。Laithwaite's Wineも現在、顧客、従業員双方の健康と安全を考慮しながら慎重に限定されたサービスで営業中です。新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)以前は、ワインの試飲会やかく種イベントが実店舗でそれぞれ定期的に開催されていたのですが、現在はワインだけでなくカクテルの作り方実習など、複数のイベントをオンラインで実施しています。また、バーチャル・ワイナリーのツアーもあり、この事態ならではの楽しみ方もできそうです。

クロイドン(参考記事)から電車で2駅のパーリー・オークスにはそのほか、めずらしい食材が売られているポーランド系のスーパーや広々とした公園、おじいさんがいつも店先で暇そうにしているアンティークショップなど小さなお店が多いです。

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現時点ではまだ営業を再開できていませんが、全国展開するファミリーレストランや老舗パブもあるので「イギリスの日常」を感じさせる、こじんまりとした町です。

■Laithwaite's Wine〈クロイドン店〉・住所: 417 Brighton Road, South Croydon, CR2・アクセス: 電車Purley Oaks駅より徒歩5分・営業時間: 月曜〜土曜 10:00〜18:00、祝日 10:00〜16:00・URL: https://www.laithwaites.co.uk/

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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