イギリスの110番/119番は999【緊急時に遭遇したら】

公開日 : 2020年03月20日
最終更新 :

以前イギリスでは「新型コロナウイルスの疑いがなくても少しでも体調に異変があれば即刻、国民保健サービス(NHS)専用ダイヤル111まで電話するように(関連記事)」との御触れが出ていましたが、2020年3月19日時点でのウイルス感染者数は3269名(そのうち死者144名)と日本よりはるかに増え(参照:英国保健介護省)電話回線が非常に込み合うようになってしまいました。そのため、最近ではNHSのWebサイトでその症状や対処法を確認するよう、呼びかけられています。

イギリスの緊急番号

NHSには、この111番以外にも怪我をした時や緊急を要する病状など、日本でいう119番にあたる電話番号、999番があります。先日、日本ですら119番をしたことがない私が、まさかのイギリスでこの番号を利用しなければならない事態に遭遇したので、参考事例として以下にご紹介します。

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ある日いつもの見慣れた道を歩いていると、普段見かけない何か異質な物が、道を塞いでいるのが見えました。路上駐車が連なる中で、何かがそれら車の間から突き出て、道路に対して垂直に横たわっています。マネキン......?

思わぬ事態に遭遇した時

日本では、夜中の駅構内などでよく人がうずくまったり、完全にひっくり返ったりしている人がときどきいます。初めて目にしたときはそれにも驚き、声をかけたことがありますが、何のことはない、単なる酔っ払いでした。むしろ関わり合いになりたくないので、それ以降は見て見ぬ振りをしてやり過ごしていました。しかし、今回のこの状況は昼間で普通、あり得るはずのない場所で何かそれらしきものが倒れている。

ここは外国、殺人事件でもあって、まだそこら辺に犯人が潜んでいたりしたらどうしよう、テロか? などとアレコレ考えはじめると怖くなって、歩みが遅くなりました。すると、タイミングよくちょうど反対側からも人がやって来たので、とりあえずその女性の動きを見てから近寄ろう、と思っていると、女性も訝しげに歩みが遅くなりました。それでもその女性は私より勇気があり、果敢にも確認しようとその物体に近寄ってくれたので、私もそれに続くことができました。

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意識を失った中年の白人女性が、買い物袋を手に倒れていました。発作でも起きたのでしょうか。酔っ払い以外で人が倒れているのを初めて見ました。とっさに何をすればいいかわからずオロオロしている私に向かって、女性は私に救急車を呼ぶよういいました。こんなときのために、というわけではないですが、家族で必要になったときのためにもイギリスでの救急番号は知っていました。ただ、それがまさかこんな状況で利用することになるとは想像もしていませんでした。

イギリスの119番は救急車だけではない

初めてのことなので、自分にやり取りが務まるか不安を抱えたまま999番(日本の119番に相当)に電話をしました。すると「救急車か消防車かどちらか」と聞かれ、のっけから想定外の展開にアタフタ。そういえば、これらの連絡先は同じ番号だと、以前耳にしていたような気もしますし、日本でもこれは同じでした。

このように頼りにならない私を見かねて、女性が途中で電話を代わってくれました。そうこうしているうちに、通行人も増え大学生らしき若い男の子がさらに電話を代わって、以降の救急隊とのやり取りをしてくれました。先日地元の病院内にあったテレビのCMでも見たのですが、今時は人工呼吸というものは(状況によって)あまり有効性がないのか、しなくてもいいようです。このときも、若者は電話での指示で呼吸を確認したり、気道を確保したりいろいろとしてくれていましたが、人工呼吸はしませんでした。

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(写真参照:© Mini Medics by Instructuk Resources Ltd April 2018)

そのうちさらに人が増え大分心強くなりましたが、普段この道は人通りが極端に少なく、人っ子ひとりいない日も多いので、一番初めに私以外の女性がいてくれただけでもだいぶ助かりました。

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(写真参照:© your Croydon Issue 88- Spring 2020)

ちなみに、イギリスでは警察を呼ぶ110番に相当するものも999番です。112番でもいいそうで、緊急性のない通報は101番です。

学びポイント

今回、緊急番号999番にかけた場合、まずは救急車か消防車のどちらが必要なのかを伝えなければならないこと、携帯電話から実際に繋がること(いざとなったときに本当に通じるのか心配でした)、質問される事項、応急処置の仕方などを身をもって知ることができ、いいケーススタディになりました。

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(写真参照:© Mini Medics by Instructuk Resources Ltd April 2018)

現在イギリスでも、新型肺炎の流行もあり感染の有無にかかわらず自宅で自主隔離をしている人が多くいます。今後の備えと、今回のようなこういった不測の事態に遭遇した際にも、より迅速かつ的確に対応できるかと思います。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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