北イングランドのスカボロー、アン・ブロンテのお墓と「パラダイス」を訪ねて
今夏は娘ファミリーが住む北イングランドのヨークシャーに、しばらく滞在していました。夏季だったので海辺の町スカボローにもたびたび行き、のんびり楽しく過ごすことができました。
そんなある日、スカボロー・ビーチから30分ほどで行ける丘の上まで歩いてみることに。中世の古城が残り、また丘の上から眺める海も美しく、いい散策でした。
スカボロー城のすぐ近くには、これまた14世紀に建てられたという古い教会が。
これはセント・メアリーズ・チャーチ(聖マリア教会)。教会そのものを見ても、14世紀に建てられただけあって威厳に満ちているのですが......ここはブロンテ姉妹の末っ子、アン・ブロンテのお墓があることで有名なんですよ。
ブロンテ一家は彼女以外の全員が、一家で暮らしていた町ハワースの教会に埋葬されたのですが、アンだけは療養のため滞在していたスカボローで亡くなったからです。当時(1800年代中期)は衛生的な輸送技術もなく、仕方なかったのでしょう。
とはいえ後年ここから分骨して、いまは家族が永眠するハワースの教会床下にも埋葬されているそうです。仲のよかった姉たちと一緒で、きっとアンも喜んでいると思います。
将来このお墓を訪ねてみたい方に、ひとつ小さなアドバイス。彼女のお墓は教会に近いほうの墓地ではなく、こうして道を隔てたほうの墓地にあるんですよ。
駐車場にも隣接しているのでそちら側に行き、上の画像で何人かの人がいるところの右手に、アン・ブロンテのお墓があります。
また、教会から海に面した方角を見やると......「パラダイス」と名づけられた一角が。
凪いだ海がキラキラ光る、心休まる風景が広がります。この墓地に眠る故人をしのび、愛した人の魂がいまは楽園にいると信じて......そんな想いが伝わってきます。
ブロンテ姉妹の小説と同じく、美しくてちょっと哀しい「パラダイス」です。
■セント・メアリーズ・チャーチ(St Mary's Church)
・住所: 168 Castle Rd, Scarborough YO11 1HY
筆者
イギリス特派員
小野雅子
在英30年を過ぎました。初めてイギリスへいらっしゃる方にも分かりやすいロンドン観光&文化情報を中心に、イギリス各地やヨーロッパの情報もご案内いたします!
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