まだまだ進まないドイツのワクチン接種の現状
12月末から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったドイツですが、期待したようには進んでいないのが現状です。
まず、ドイツのワクチン接種においては3つの優先グループが規定されていて、対象者は以下のようになっています。
優先グル-プ1
・ 80歳以上の国民
・ 介護施設入所者、職員
・ 集中治療室、臓器移植患者や腫瘍患者の治療従事者
・ 救急医療従事者
・ コロナワクチン接種従事者
優先グル-プ2
・ 70~80歳の国民
・ 知的障がい者、痴呆、精神病患者
・ 臓器移植を受けた国民、癌患者
・ 肺、神経筋、肝臓、腎臓などの慢性疾患の国民
・ コロナ感染した場合に重症化すると、医師が判断した国民
・ 施設に入居していない70歳以上で、臓器移植などの者もしくは障害を持つ要介護者との接触者2名まで
・ 妊婦への接触者2名まで
・ 知的障がい者施設関連の職員
・ 患者と常時接触のある医療施設従事者、コロナテストセンター従事者
・ デモなどに出動する警察官、機動隊員
・ 不十分な保健衛生状況下で業務を行う外国公館などでの従事者
・ 保育所、小学校、特殊学校の職員
・ 病院インフラ関連従事者
・ 難民施設、路上生活者収容施設などの収容施設居住者及び職員
・ 法律の規定内において、年配者および要介護者のもとで定期的に従事している者。
優先グル-プ3
・ 60~70歳の国民
・ 癌、免疫欠如、HIV,自己免疫、リュウ-マチ、心不全、不整脈、脳卒中、喘息、慢性の大腸炎疾患、糖尿病、肥満症などの病歴のある国民
・ コロナ感染した場合に重症化すると、医師が判断した国民
・ 施設に入居していない60歳以上で、前述した疾患を患っている要介護者との接触者2名まで
・ 国家機関従事者(政府機関、行政機関、連邦軍、警察、税関、傷病所、法務関連機関、海外でのドイツ公館、など)
・ 投票所係員
・ 薬局、製薬業、葬儀業、食料品、エネルギーや水の供給、下水関連、輸送関連情報国学、テレコミュニケーション関連などの施設や企業において、そこでのインフラが危機的な状況にある場合に、それらの施設や企業の重要なポストにある者。
・ 医療施設においてコロナウイルスに対する危険が低い分野での従事者。とりわけ研究所や患者を介護しない従事者
・ 食料品店従事者
・ 青少年関連施設、学校従事者(小学校・特殊学校以外)、そのほか職場や生活環境において感染リスクの高い人々
目下のところ上記優先グループ1、そして州によっては優先グループ2の国民も予約をすることができます。
しかし、優先グループ2に属する人たちも接種可能になったということで、優先グループ1の接種はほとんど終了したのかと思いきや、実際はまったく違うのが現状です。
とりわけ、最も早急にワクチン接種を行わないといけない80歳以上の国民の接種率をみますと、愕然とします。
ほとんどの州で、接種済みの80歳以上の国民の割合は、いま現在半分にも満たないのです。
現在、ドイツはとりわけ感染力の強い変種株の新規感染者数が増加しており、一刻も早く高齢者の接種を行う必要があるのですが、現状は追いついてないのが懸念されます。
唯一喜ばしいことは、介護施設入居者についてはほぼワクチン接種が完了していることです。
しかし、自宅で生活している80歳以上の国民の接種率は非常に低いのが現状なのです。
ワクチン接種が始まってほぼ3ヵ月が経過しますが、全体に見て非常にペースが遅い印象があります。その背景には、もちろんワクチン供給量が予定より少ないという問題もありましたが、それ以外にも問題点が目につきます。
まず、最もびっくりしたのが、国民に対して何ら予防接種の案内状などが送付されないことです。私が知る限りでは、ベルリンだけは個人宛に案内状が送付されたようです。
人々は、自主的に連絡先を把握して、接種の予約を取る必要があるのです。
しかも、開始当初しばらくは電話での予約などなく、オンラインでのみ可能な州がほとんどでした。
最近になってようやく電話での受付も可能になりました。
これって、あまりに不親切な制度ですよね。80歳以上の人でオンラインで予約できる人って、そんなに多くはおられないのではないかと思うからです。
それでも、そういった制度に対する批判報道などがないのが、非常に不思議です。
さらに、一時期アストラゼネカのワクチンが65歳以上は推奨しないということで、ドイツ政府は65歳以下の教師、保育士、警察官などにも接種の権利を与えたところ、当然ながら殺到。その結果、肝心の80歳以上の国民の予約自体が取りにくい状況になったそうです。
4月の初めからは、かかりつけ医での接種も可能になることが、先日決定されました。
なんとかスピードアップして、とりわけ高齢者の接種を迅速に進めてもらいたいものです。
春の到来とともにコロナの状況も明るい兆しになることを期待してやみません。
筆者
ライプツィヒ特派員
シェーファー 玲子
2008年夏よりドイツ中東部の町ライプツィヒ在住。現在はライプツィヒにてフリーランスと主婦業に従事している。
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