ライプツィヒで江戸時代の屏風が鑑賞できる!2021年1月まで特別展開催中!!
ライプツィヒにある「グラッシ-民族学博物館」。この博物館は、日本の貴重な作品もいくつか所蔵しています。
それらの多くは、ライプツィヒの医師ハインリッヒ・ボ-ト-・ショイベが1877-1882年の間、京都滞在中に収集したもので、のちにこの博物館が購入したものです。
これらのコレクションの中に一枚の貴重な屏風があり、このたびその修復を終え、特別展「生活の光景 日本の屏風とその歴史/物語」にて初めて公開されています。
撮影:2020GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig © SKD, Foto: Kevin Bress
撮影:ライプツィヒ特派員シェ-ファ-玲子(承諾済)
そして、隣の部屋の奥の方に屏風が立っています。
撮影:GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig © SKD, Foto: Angelica Hoffmeister zur Nedden
この屏風の作者は不明ですが、京都の四条通でにぎわう舞台娯楽の様子など、当時の生活の光景が描かれています。
撮影:GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig © SKD, Foto: Adrian Sauer
なかでも注目されるのが、屏風の左上の舞台で踊っているのが女歌舞伎であるということ。歌舞伎は1629年以降は男性のみが可能となったそうですので、この屏風が描かれたのは17世紀前半に限定されることになります。
そこに描かれている観客はお弁当を食べながら鑑賞していたり、籠を運ぶ男はサロンパスのようなものを足に張っていたりと、細かいところに目をやるととても興味深いです。
さらに、屏風に描かれている当時の品々のうち、いくつかは実際にショ-ケ-スに展示されているのもとてもわかりやすい演出です。
撮影:ライプツィヒ特派員シェ-ファ-玲子(承諾済)
撮影:ライプツィヒ特派員シェ-ファ-玲子(承諾済)
撮影:GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig © SKD
これは、旅行者用に西洋の写真家がスタジオなどで撮影したもので、架空の日本像を作り上げていたものです。またそういった写真の中で、屏風が小道具として重要な役割があったのでした。
ちなみに、この屏風の修復は、東京文化研究所と共同で行われたそうですが、実際に屏風の修復に携わったグラッシ-博物館の修復家のお話によると、日独の修復文化の違いが大きかったそうです。
例えば日本の修復は、伝承されてきた方法に従ってオリジナルに忠実に作品を製作するもので、それは無形文化遺産のひとつに数えられます。
それとは逆にヨ-ロッパやアメリカ合衆国では、作品に残るかつての使用痕跡を残すことが、修復の基本となっていて、そういった痕跡は場合によっては歴史の変遷を暗示するものになり、またその歴史は作品の由来にも関連してきます。そのため、あらゆる構成部分をできる限り保存し、補修しないことをめざすのだそうです。
そのほか、屏風を作る道具や、日本の伝統的な工具なども合わせて展示されています。
このようにひとつの屏風を基に、さまざまな分野へと興味深い展示が行われています。
特別展「生活の光景 日本の屏風とその歴史/物語」は、来年2021年1月17日までライプツィヒのグラッシ-民俗学博物館にて開催中です。
日本語による解説もありますので、どなたでもお楽しみいただけますよ!
日本からドイツに旅行できるようになりましたら、ぜひご覧くださいね。
■グラッシ-民俗学博物館(GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig)
・住所: Johannisplatz 5-11
04103 Leipzig
・開館時間: 10:00〜18:00
・休館日: 月曜
入場料:€8(17歳以下無料)
※毎月第一水曜日は入館無料
・アクセス: 中央駅より市電で一駅のAugustusplatz より徒歩2分
筆者
ライプツィヒ特派員
シェーファー 玲子
2008年夏よりドイツ中東部の町ライプツィヒ在住。現在はライプツィヒにてフリーランスと主婦業に従事している。
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