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ドイツの町の路上でよく目にする、躓きの石

カテゴリー:文化・芸術・美術 投稿日:2020年2月 3日

ドイツの負の歴史ホロコースト。
毎年1月27日はアウシュヴィッツ強制収容所が解放された日にあたり、ホロコースト記念日とされています。また、毎年ポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所跡では追悼式典が行われます。


2020年は、75周年という節目にあたり、1月23日にイスラエルでも世界中の首脳約50人を迎えて追悼式典が行われました。ドイツからはシュタインマイヤー大統領が招かれ、ドイツの元首としては初めてイスラエルの追悼式典で演説をされました。これは歴史的なことで、シュタインマイヤー大統領も、この機会を与えられたことはイスラエルからの「恩寵」「和解の驚き」と評しました。

今から15年前の開放60周年の年には、ドイツのメルケル首相がイスラエルに招かれ議会で演説を行いましたが、その時議員の多くが退席した風景がいまだに忘れられません。当時もすでに60年経っているにもかかわらず、ホロコーストというとてつもないドイツの大罪に対して、ユダヤ人が心から和解に至るにはまだまだ短いのだとしみじみ感じたものです。

今回の75周年の式典で、シュタインマイヤー大統領はドイツの責任を改めて認め、この記憶に終止符を打ってはならないと主張。これまでのドイツの元首のスタンスをしっかりと貫いています。

このドイツの負の歴史を決して忘れてはならないとする努力は、日常的にも垣間見ることができます。

そのひとつが、躓きの石、シュトルパーシュタインです。

Strasse1.jpg



皆さんがドイツの町を歩かれると、道路に10cm四方の大きさの金色をしたプレートが彫り込まれているのを目にすることがあると思います。是非、立ち止まってご覧になってみてください。

これは、ケルンの芸術家Gunther Demnigが初めたプロジェクトで、ホロコーストの犠牲になった人たちがかつて住んでいた家の入口に、その記録を残そうというものです。

Gebäudeeingang.jpg


今ではヨーロッパ中の町に埋め込まれ、2019年12月には75000個目が埋め込まれました。



Großes Bild.jpg

こちらの躓きの石に書かれている内容は、

左側: 「ここにマックス・ズィヒェル(1896年生まれ)が住んでいた。1939年にフランスへ逃避。1942年8月26日にアウシュヴィッツへ移送され、1942年11月24日に殺害された。」

右側:「ここにヒルデガルド・ズィヒェル(1911年生まれ)が住んでいた。1939年にフランスへ逃避。1942年9月2日にアウシュヴィッツへ移送され、殺害された。」

このご夫婦はアウシュヴィッツに移送された日付が1週間ほど違いますが、殺害されるまでの約3ヵ月の間、一緒にいることができたのでしょうか。。などと思いを馳せてしまいます。


この躓きの石は、虫けらのように殺害された人たちの、人間として生きていたせめてもの証なのです。

かつてザクセン州では最も多くのユダヤ人が暮らしていたライプツィヒの町でも、2006年からこのプロジェクトが始まり、目下のところ118ヵ所に265個が存在しています。また新たに居住地がわかった人については、どんどん埋め込みが追加されています。

こうして、日常的に道を歩いている時にでも、ふっとホロコーストの犠牲者のことを想う瞬間を得る機会がドイツ中にあるのです。ここでもホロコーストの犠牲者を忘れないというドイツ人の努力を垣間見ることができます。

過去の過ちを繰り返さないために、ドイツの負の歴史を決して忘れることなく、次の世代にも伝えていく努力が政治家のレベルのみならず、市民レベルにでも定着しているドイツ。私がこの国を尊敬することのひとつでもあります。



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シェ-ファ-玲子

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シェ-ファ-玲子

2008年夏よりドイツ中東部の町ライプツィヒ在住。その前は12年間ベルリン、そして学生時代はミュンヘンに留学していた神戸生まれの関西人。日本でも神戸のドイツ総領事館に勤務するなど、ずっとドイツと関わってきた。ドイツ移住後は謀テレビ局ベルリン支局にて2017年秋まで勤務。現在はライプツィヒにてフリ-ランスと主婦業に従事している。個人ブログ「ライプチヒで独逸日記」もよろしければご訪問ください! お問合せ・ご連絡はこちらまで。 DISQUS ID @disqus_vXOimP5ytn

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