#30 スクンのタランチュラはコンポントム産!?〜女性掘り師に会いに行ってみた・その1〜

公開日 : 2019年07月03日
最終更新 :

【虫嫌い注意!!】

(でも、虫について少しでも身近に感じられたら嬉しいです笑)

コンポントムからこんにちは!

コンポントム特派員の舛屋彩子です。

特派員に拝命されてからあっという間に半年が経過し、

あっという間に30稿目です。

癖が強めですが毎回お付き合い頂きありがとうございます。

さて、今回も癖が強い!?内容を。

カンボジアでタランチュラといえば!!

言わずもがな?コンポンチャム州スクンが有名ですね。

タランチュラの銅像もあるほどです。

タランチュラ像.JPG

(カンボジアの銅像は全てリアルですねぇ)

ちなみに、写真左側にあるオレンジ色の果実は、カシューアップル。

国道6号線、都市間バスが多く往来する

コンポンチャム州スクン では、

いつ行ってもタランチュラが山積みになって売られています。

そのお値段、なんと一匹2000riel(!)

(季節により変動する場合があります)

地方部だと、カンボジアのご飯の大定番であるお粥が2000rielで食べれてしまうので、

この高級度がお分かり頂けるかと・・・!

こんなメタメッセージからか、

コンポンチャム=タランチュラの産地!

という印象を持ち続けておりました。

そう、彼女たちに出会う前は・・・!

今から4ヶ月程前になるでしょうか、、、

コンポントムでのコオロギに関するフィールドワークを開始した際、

いつもお話するバス会社のお兄さんからとっても面白そうな情報をGETしたのです。

私「天然コオロギを捕まえて売っている農家さん知ってる〜?」

彼「わかるよ〜!!○○のとこなら夜8時くらいになると主が現れるはずだよ〜!」

それだけでも十分な情報だったのですが、

更に彼はこう続けました。

彼「あと、サラヴィッサイ(地名)にはタランチュラ獲れるところがあるよ!

  多分、トゥクトゥクで1時間くらい行ってから30分くらい歩くかな?

  道が悪いから・・・子供たちが案内してくれるはずだよ〜〜!」

タランチュラ!??面白そう!!!

コオロギ調査の延長で、タランチュラも追跡調査してみたら面白いかも・・・!?

ということで・・・

"サラヴィッサイにタランチュラが取れるところがある"

そんなsuper vagueな情報を頼りに、

同僚に聞いてみました。

私「サラヴィッサイにタランチュラが取れるところがあるって聞いたんだけど知ってる??」

同僚「サラヴィッサイでポリスをやっている友人がいる。電話してみる!!」

ということで、速攻で場所を突き止めることができました。

国土が大きくないカンボジアですが、

その分こんな時ネットワークは強固です!!!

(だからなのか、なんとかなる精神が良くも悪くも身につきつつある今日この頃)

そしてそれから数日後・・・初めての訪問。(2月中旬)

(ここに辿り着くまでもなかなかのアドベンチャーでした笑)

スイカ畑2.JPG

例のタランチュラが獲れる場所は、この広大なスイカ畑。

スイカ結実.JPG

この白砂の中でスイカが結実することにも驚きだったのですが。

さすがゴールデンランド・カンボジア。

掘り師夫婦.JPG

右側にいる女性がその掘り師さん。

手に持っている鍬のようなものがそのツール。

旦那さんであろう男性もタランチュラについて知り尽くすタランチュラマスター。

「乾季はあまりタランチュラいないんだよね〜〜〜」とのことでした。

タランチュラの巣.JPG

これが2月に見せて頂いた際のタランチュラのお宅。

穴の中にいるなんてことも知りませんでした。

1回目に見つけた穴は、もぬけの殻。

どうやら住処を変える習性があるようです。(後述)

掘る.jpeg

これを失礼ながら、掘り進めていくこと1分・・・

!!!!

出て来たタランチュラ.jpeg

見えますでしょうか?

出て来ました〜〜〜!

初めてのタランチュラに一同大興奮。

一緒に行った同僚も見るのは初めてだったとのこと。

これだけでも見応えがあったのですが、

掘り師のおばちゃん曰く、

「12月〜1月はメスが妊娠していて卵があるから大きいものが獲れる。

 1〜2月に卵が孵化してくるから、2月に獲れるやつは小さいんだよ〜〜」

とのこと。

更に、

「タランチュラは1ヶ月ごとに穴を変えるんだ。雨季から乾季に変化する時も変える。

 妊娠しても変える。でも、いくら変わっても穴は見つけやすいんだ」

自然と暮らし、働くということが一体になっているからこそのこの経験知。

かっこいい〜〜〜!

「スクンのバイヤーから定期的に注文があって、

 注文が入るとこうして収穫するんだ!」と。

森林伐採などが進み、タランチュラの個体数も減少しているといいます。

こうして他方からも注文して安定供給されているのですね。

タランチュラは輸送される前に毒部分の牙を取って、

生きたままバイヤーの元に届くそう。

(驚きの牙除去プロセスは次回!!)

毒の強さはというと、小さな子供の場合は死に至るころもあるそう(!)

今から2年半前の現地紙"Khmer times"の記事によると、

タランチュラを取る農家さんが数グループおり、当時は1日500匹ものタランチュラが獲れたそうな。

これが全て手作業だからすごい・・・!

当時はサイズにより1匹500〜1000リエルで取引されていたものが

今では1匹1000リエルから、特大だと1匹1ドルということも!

ちなみにこれ、6月下旬に訪問した際に巡り合った特大サイズ。

特大タランチュラ.JPG

このレベルだと1〜1.5ドルくらいかな!?なんて言っていました。

タランチュラ大きさ比較.JPG

脱牙した後に触らせてもらいました。

毛がファサファサ。

ちなみに、個体数が少ない乾季だと値段は割増になるらしいです。

そしてなんと、こちらの農家さんはカシューナッツも栽培しているのですが

そちらにもタランチュラが生息しているとのことでそちらにもお邪魔。

いくつか、何かが住んでいると思われる穴があり聞いてみると、

「これはサソリだね〜〜」

「それはコオロギだね〜〜」

といった具合で、タランチュラ以外の生命体も生息していることが判明。

・・・サソリも掘って頂きました。

要領はタランチュラと同じように、掘ること約1分。

サソリ掘る.jpeg

出て来たのは、微かに緑色に光る立派なサソリ。

出て来たサソリ.jpeg

この時、プノンペンから昆虫を専門にする方も同行していたのですが

「この緑色、レアなのでマニアにはたまらないと思います」とのこと(!)

シェムリのサソリ.JPG

ちなみに、カンボジアではサソリも食べます。

シェムリアップのパブストリートに行くと巡り会えるかと。

サソリベンダー.JPG

食べる前に尻尾の毒部分を捥いでくれます。

話をコンポントムに戻しましょう。

タランチュラ挟む.JPG

・・・見る見るうちに穴を見つけては、掘る。

そのへんに落ちていた木の枝をトングのように使ったり、

時には素手で用意したバケツに入れていきます。

バケツのようなツルツルした面は登れないよう。

収穫物.JPG

こんな感じに、タランチュラvsサソリという

いつ決闘が始まってもおかしくない緊張に包まれた環境が完成・・・!

(喧嘩はしませんでしたよ)

冷静に考えると、おぞましい・・・笑

本日の収穫は、タランチュラ×3、サソリ×1。

「持って行くかい〜〜?」と言われたものの、

どうしていいか分からず私は遠慮。笑

同僚が、「薬作ってみようかな!?」と言い、

収穫物は同僚のものに。

古くから、お酒に漬けて滋養強壮のため飲まれてきたそうな。

タランチュラは、カンボジアでは古くから伝統的に薬として用いられてきたようで

おじいちゃんおばあちゃん世代にはコモンな存在のよう。

食用として浸透していったのは、1970年代。

内戦の影響による飢餓や飢饉により食料が不足していたことから、

今のこうした食文化に繋がっていったようです。

調理方法としては、醤油・ニンニク・チリで下味をつけてからのフライ。

現在は嗜好品的要素が強いですが、

グリルして野菜などと共にご飯のおかずとして食べられることも。

体の部分は最も美味しいと考えられているようで、

足の部分はカリカリ。

食べたことのある人は、

「濃厚なウニ」と表現します。

私も一度、スクンでタランチュラを実食してみました。

(食べるつもりはなかったのですが、バスで仲良くなったおじさんがお近づきの印にとご馳走してくれたのです笑)

タランチュラ山盛り.JPG

これは食べないわけにはいかない。

恐る恐る足から食べてみると、、、

カリカリでカンボジアによくある甘辛い味付け!

佃煮のような感じでしょうか。

次に頭。

ウニ・・・?かどうかは不明でしたが確かに濃厚でした!

ボディは頭部分と似たような味。

今思えば、卵が入っていたのかな・・・?

私、数の子が苦手なのですがあんな食感がしたんです。

(あれ、どっちがどっちだったっけ・・・記憶が曖昧)

そして特大サイズのコオロギもご馳走になりました。

コオロギ山盛り.JPG

今までは小さいコオロギしか食べたことがなかったのですが

大きいものとなるといくら野生的な私でもさすがに少し躊躇う。

が、せっかくのご厚意。

足と羽を捥いでいただきます。

こちらも甘辛い!!

ビールのおつまみになる味。

甲殻類っぽい味なので、エビに近いです。

職業病なのか、最近はコオロギを見かけると

「天然?養殖?」と聞いてしまうんですが、

ベンダーさん曰く、

「天然モノだよ!このサイズのコオロギは掘って捕獲するんだ!」と。

いやはや、失礼しました。

(最初の農家さん訪問ではコオロギ掘りはしなかったのですが

2度目の訪問で見せて頂いたので次の投稿でご紹介したいと思います!)

国連も注目している昆虫食。

昆虫食先進国であるカンボジア。

非常にタイムリーな経験ができました。

次回以降、2回目の訪問時のことをレポしていきたいと思います〜〜!

最後までお読み頂き、ありがとうございました〜!

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