#24 欧米人に人気!"Santuk Silk Farm"で蚕の一生について学ぼう!

公開日 : 2019年05月10日
最終更新 :

コンポントムからこんにちは!

コンポントム特派員の舛屋彩子です。

コンポントムの観光スポットと言えば、

今や世界遺産としての知名度を広げている「サンボープレイクック遺跡」が目玉。

・・・しかし、それだけではありません!

みなさま、コンポントムに実は「シルクファーム」があるのをご存知でしたでしょうか?

サントゥク シルク.JPG

ファームの名前は、「サントゥク ・シルクファーム」。

サントゥク というのは地名で、

州都があるストゥンセン市に隣接している郡。

中心部からファームまでの距離は約16km。

サンボープレイクック遺跡までの距離が約30kmなので

中心部から比較的アクセスのし易い立地です。

サントゥク シルクファームの設立は2005年。

ベトナム戦争の米軍退役兵士であった故Budd Gibbons氏と、そのカンボジア人の奥様・Navinさん(現オーナー)により始まりました。

故Bud Gibbonsさんは、1967-68年にベトナム戦争の軍務に服しました。

1994年、沢山の恐怖を目撃した場所で、何か自分ができることはないだろうか?ー再びベトナムの地を踏みました。

その後、縁あって彼はベトナム戦争退役兵によるNGOで活動するためカンボジア・ストゥントレーン州に。

そのNGOは、地雷被害者とポリオに苦しむ人々と協働する組織でした。

Bud Gibbon氏はストゥントレーン州での事業を引き継ぎ、

シルクウェービングのプロジェクトをスタートさせます。

そこで奥様である現オーナー・Navinさんと出会いました。

NavinさんはかつてストゥントレーンのUNTACでの勤務経験もある方。

所属するNGOが活動終了した際、

コンポントム州・サントゥク 地区に土地を購入し始まったのが

このサントゥク ・シルクファーム。

なぜ設立にあたりサントゥク 地区を選んだのか?

その理由は至ってシンプル。

首都プノンペンとアンコールワットのあるシェムリアップ州の中間点であるため。

中間地点ということ、つまり人々がトイレ休憩で寄る地点、というところに目をつけたそう。

綺麗な洋式トイレも売りにしています!

(オーナーのNavinさんは、トイレのことをHappy roomと呼んでいます笑

 オーナーさんのチャーミングさ、文面から届け!!)

Navinさんガイド.JPG

このシルクファーム、蚕が卵からシルクのスカーフになるまでの

全てのプロセスを見ることの出来る、

カンボジアの中でも数少ない場所の中のひとつ。

カンボジアでのシルクスカーフ作りに使われているシルクが

中国やベトナムから入ってきたものが多いのに対し、

ここで使用されるシルクは「Khmer golden silk」というカンボジア特有の種。

その名の通り、金色に輝く光沢が特徴のシルクです。

シルク比べ.JPG

並べてみると、その差は歴然。

ゴールデンシルクの方がぶれてるので笑、

こちらをどーん。

IMG_0423.JPG

自然と思えない美しい光沢。

IMG_0419.JPG

こちらは蚕が桑の葉を食べている様子。

順調に行けばぐんぐん育ち、この1トレイが5トレイまでになるそうです。

なぜ順調に行けば、という条件付なのかというと

桑の葉っぱの成長が追いつかないからだそう。

このシルクファームには300〜400本の桑の木がありますが

それを凌ぐ蚕たちのパワー。

小さくたって、漲る生命力。

IMG_0420.JPG

幼虫は初めは緑色ですが、成長するにつれて黄色に変化。

黄色になったら、幼虫を小枝の束へ。

3−4日かけて繭を作ります。

小枝にまゆ.JPG

さなぎから成虫(蚕蛾)へ。

オスは10日、メスは卵を産んでから2日までの短いいのち。

交尾が行われ新たな命のサイクルが。

IMG_0422.JPG

紙に張り付いている卵、見えますでしょうか?

卵は10日ほどで生まれます。

この美しいシルク製品の元になるのは、こちらの繭。

まゆ.JPG

無事に蚕蛾へと成長した場合、繭にはぽっかりと穴が空きます。

穴が空いた繭は、実はシルク作りには使わない繭。

羽化した蚕蛾は、次の世代の命を紡ぎます。

成虫とならずに蛹期間に命を終えた個体の、

穴が空いていない繭のみがシルク作りに使われます。

命の循環ですね。

繭を茹でて、繭から糸を紡いでいきます。

まゆ茹で.JPG

一度に茹でる繭は、ここでは40がベスト。

それ以上でもそれ以下でも、

糸同士がくっついてしまったり引っかかってしまったり。

長年の経験から編み出されたこの職人の勘、素晴らしい。

この方は設立当初からいらっしゃる方とのこと。

糸紡ぎ職人.JPG

一つの繭から取れる糸はなんと400m!

陸上競技場のトラック一周分です。

繭から糸を紡ぎ終わると、役目を終えた幼虫が出てきます。

なんと、食べれるそうです。

紡がれる糸は細いものと粗いものが出て来ますが、

クオリティを見ながら糸を分けていくそうです。

こちらが最終段階、クロマー(スカーフ)を織っている様子。

現在は3名の女性が勤務しています。

織り手.JPG

職場には子供を連れて来てもOK!

とっても女性に優しい職場です。

織られたクロマーはもちろん購入可能!

一般的にクメールゴールデンシルク製品は非常に高価なことで知られていますが、

こちらではなんと$20-$35というお財布コンシャスな価格帯で販売中。

同僚の女性曰く、「市場で買ったら$80近くするよ!」とのことでした(!)。

染料には色落ちしにくい高品質なドイツ製染料を使用。

もちろん、シルクそのものが持つ色を生かした製品も。

2-3回洗うと、柔らかさが出るとか。

作り手さんの姿を見れると、

物を大事にしよう!という気持ちが増します。

美しい光沢を持つ、ひとつひとつ表情の違うスカーフたち。

ここに来るたび、愛のある物欲との戦いです。笑

カラフルスカーフ.JPG

そして、ファーム裏にはこだわりのお庭が。

サントゥクシルク庭.JPG

故Gibbonsさんは、カンボジアの景色を表現するためにカシューナッツの木(老いてしまったため現在は伐採済ですが)や、

その他アジアの情緒を感じられるような植物でお庭をいっぱいに。

そしてなんと!こちらでは前日までに連絡を入れると、

現オーナーNavinさんの手作りカンボジア家庭料理ビュッフェが頂けます!

(1名$6・写真は一例です)

サントゥクシルクビュッフェ.JPG

ランチ会場のお庭のタイル石は、お向かい?サントゥク 山の石。

かつてサントゥク 山からは大量の石が採取可能で、

近くにある石造彫刻の村で作られる彫像たちの材料となる石は、

サントゥク山から採れたものでした。

こちらのシルクファーム、見学のみはなんと無料。

Navinさんによるシルクについて学ぶファーム内ガイド付き。

(ガイド時間は約20分〜/英語・クメール語のみ)

コンポントム中心部からトゥクトゥクで約30分ほど。

相場は往復で$12~.

サントゥク 地区には、

サントゥク 山・石像彫刻の村・ソンポートレイロックトレイロアッ寺院といった観光地が集中している場所。

これらとのコンビネーションで訪れる場合は$15~が相場。

立地よし・サービスよし・価格よし、

なんといっても良き学びを得られる場所。

手織りのゴールデンスカーフシルクを是非訪問の記念に。

比較的訪問しやすい場所をお探しなら、ぜひサントゥク シルクファームへ!

Contact detail;

Mrs, Navin +855 12 906 604 (English or Khmer)

OR

Facebook Nv Kong へメッセージを。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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