新型コロナでレストランの灯が消える(ヨハネスブルグ)
カテゴリー:レストラン・料理・食材 投稿日:2020年6月17日
新型コロナウイルス対策によるロックダウンが続く南アフリカで、レストランの苦悩が続いています。
2020年6月1日から導入されたロックダウンレベル3では、レストランやカフェの持ち帰り&デリバリー営業が認められました。ビールやワインなどのお酒も、小売店同様に月〜木の9〜17時であれば販売が可能です。
しかし、持ち帰り専門店とレストランは、飲食を提供するという共通点がありつつも、性格がまったく異なります。ロックダウンが3ヵ月近くに及ぶなかで、持ち帰り&デリバリーで今を耐えるのか、それともお店を閉めるのか。多くの飲食店が困難な決断を迫られています。
IllovoのFarro
、そしてMelvilleのBa-Pita
から届いた閉店のお知らせは私にとって少々ショッキングでした。
Farroはヨハネスブルグで貴重なスタイリッシュかつ気兼ねなく使える小さなビストロ。小規模生産者を中心に扱うワインリストも魅力的で、おいしい料理とワインをかしこまりすぎずに味わうのに最適なお店でした。
Ba-Pitaは1980年台のYeouvilleで持ち帰り専門店として創業したMiddle Easternのお店。120席を構えるまでに成長し、ジャーナリストや芸術家、活動家に愛されたものの、ヨハネスブルグ市内中心部の治安悪化にともない1990年台に惜しまれながら閉店。
そのあと、20年近くの空白期間を経て昨年2019年、ヨハネスブルグヒッピー文化の中心地Melvilleに舞い戻ってたばかりでした。
両レストランは経済的な問題ーーロックダウン長期化による収入減、そして仮に営業再開されたとしてソーシャルディスタンスを保ちながらの営業での採算確保の困難さーーと閉店の決断にいたった理由を挙げています。
ただし、経済的な理由だけではなさそうです。Farroは閉店のお知らせにこう綴りました。
「レストランは単に、料理を食べる部屋ではないんだ」。
Restaurants are more than just rooms to eat food in. It's not just about sustenance. It also has to be about romance, the music, the mood, the reason for red lipstick and a strong whiskey cocktail and a date, or a catch up with your best friend.
残念ながら、南アでの新型コロナ感染拡大は米国のような爆発的な増加にこそいたっていないものの、収束の兆しが見られません。ヨハネスブルグのレストランに春が訪れるまでには、まだ時間がかかりそうです。