トイレで◯◯を発見

公開日 : 2013年07月30日
最終更新 :

クルーガー国立公園(Kruger National Park)での1泊2日弾丸サファリを終えてマカド(Makhado)に戻る道中、トイレを使うためにガソリンスタンドに立ち寄った時の話です。

洗面台に置かれた意味深な箱は何?

ここは有料だったので、1ランドを掃除のおばちゃんに渡してドアを開けてもらうと(田舎は有料の場所が多いです。遠出する時は小銭の用意を忘れずに)、すみずみまで掃除されたとても清潔なトイレでした。

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青い箱が洗面台の上に

用を済ませて手を洗うために洗面台に向かうと、その角に何やら箱を発見......。ラベルには「選択(Choice)」と書かれています。一体これは何でしょうか。

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南アフリカ政府が無料で配っているチョイス・コンドーム

そうです、箱の中に入っていたのはコンドームです。実はこのチョイス・コンドームは、南アフリカ政府が無料で配布しているもの。医療関係の施設はもちろん、ホテル、クラブ、バー、キャンパス、公衆トイレなどさまざまな場所で手に入れることができます。それにしてもどうして、政府がコンドームを無料で配る必要があるのでしょうか?

コンドームをHIV/エイズ蔓延防止の切り札に

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「カレシの元カノの元カレを、知っていますか」南ア版

南アフリカでもっとも深刻な社会問題の1つに、HIV/エイズがあります。HIV感染者は南アフリカ国内で560万人で、これは1ヵ国のHIV陽性者数として世界でもっとも多い人数です。

2004年に公的な医療機関で薬(抗レトロウイルス薬。略称ARV)が無料で配られるようになって以降は感染が即刻死につながる病気ではなくなってきているものの、HIV感染者に対する偏見や差別は(南アフリカだけの話ではありませんが)まだまだ社会に根強く残っています。また、HIV/エイズによって働き盛りの世代を失って残された家族や、両親に先立たれたエイズ孤児(210万人とも言われています)たちが厳しい生活を強いられる現状には変わりありません。

さて、南アフリカのHIV/エイズに関する説明を続けると長くなってしまうので、話をコンドームに戻したいと思います。

コンドームは言うまでもなく、セックスをする時に使うものです。エイズウイルスは、性的・血液・母子という3つの経路で感染しますので、この中の1つである性的感染、つまりセックスによる感染を予防しようということで、政府がコンドームを配っているという訳です。

ところが......人々に選ばれない政府発のチョイス・コンドーム

無料で手に入るのだから、みんなが使ってくれるはず......ところが、そう簡単にはうまくいかないのが、この問題のむずかしいところです。

南アフリカエイズ財団(South Africa AIDS Foundation)が2012年にアンケート調査を行った結果、回答者の95%から「より使ってもらうためには、コンドームのブランド見直しが必要」との答えが返ってきたそうです。いくつかコメントを紹介します。

「政府から配られるものよりも、お店でクオリティが高いものを買った方がいい」(32歳、男性)

「政府が無料で配っているコンドームを使ったら男が下がるじゃないか。ブランドが新しくなっても使わないよ」(25歳、男性)

「チョイス・コンドームの香りが好きじゃないの。もっと魅力的なものにするために、香りや色の種類を増やすべきだわ」(23歳、女性)

「少なくとも3年に1回はブランドを見なおした方がいいと思うわ。今までのものには悪いうわさが多いし、私たち若い世代は新しいもの、たくさんのバラエティがあるものが好きだから、ブランドを新しくしたらニーズも増えると思うの」(18歳、女性)

南アフリカ政府発のチョイス・コンドームは今後生まれ変わって、「選ばれる」ようになるのでしょうか。僕としては、クオリティ云々よりも「男が下がるじゃないか」というコメントに難しさを感じますが......。

しばらく気にかけてみたいと思います。

参考情報

関心がある人は下記の記事も読んでみてください。

・ようこそコンドーム大国へ

・Poll Results on Choice Condoms

・Free condoms not the youth's Choice

・Choice facts about condoms

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