民族で違う「おふくろの味」 南アフリカの主食パップの話
「南アフリカの主食って何ですか?」と質問されると、一瞬うーん......と迷ってしまいます。というのは、「虹の国」という言葉にも表されているように、南アフリカは黒人、白人、カラード、アジア系からなる多民族国家だからです。
これだけ多様な民族がいれば、当然それぞれの民族の主食は異なります。でもそんな多様な主食の中から、主に黒人が主食としている「パップ」について書いてみたいと思います。
パップの材料は、ミリミル(Mielie Meal)と呼ばれるトウモロコシを乾燥させて粉にしたものです。トウモロコシと聞くとメキシコ辺りをイメージするかもしれません。でも実はアフリカの国々でも結構活躍していて、南アフリカのパップの他には、ケニアのウガリやザンビアのシマなどもトウモロコシ粉からつくられています。
パップのつくり方はとってもシンプルです。まず、大きな鍋に水(またはお湯)とミリミルを入れます。ダマにならないようよーく混ぜながら、火を加えつつ練り上げば完成。最後にちょっと鍋底を焦がすと風味が加わっていいみたいです。見た目はちょっとお餅に似ているような気がします。
日本だとご飯はお茶碗に、おかずはお皿にと別々に盛り付けることが多いですが、南アフリカではパップとおかずを一皿の上に盛りつけます。
おかずは、野菜や肉、グレービー(ソースのこと)などです。他にも揚げ魚や内蔵、地域によっては昆虫も食べたりします。ただし、一般的な村の家庭では普段から肉を食べられる訳ではなくて、おかずはキャベツの炒めものだけなんてこともあります。
この日のおかずは鶏肉、キャベツ、ホウレン草、トマトソース
パップは主に黒人の主食として食べられていますが、面白いのは民族によって微妙にパップの仕上げ方が違うところです。
例えばベンダ(Venda)族とズールー(Zulu)族を比べると、ベンダ族の方が硬くてしっかりしたパップを好みます。また、パップの材料となるミリミルもブランドによって味が違うため「うちはいつもこれ」というものがありますし、同じブランドでも挽きの粗さが異なる種類が売られています。
また、普通パップはミリミルをそのまま練り上げてつくりますが、ミリミルを少し発酵させておくとちょっと酸味が効いたサワーパップと呼ばれる別の料理になります。また、マベラパップといって、トウモロコシの粉を使わずにソルガムという穀物からつくるパップもあるんです。
日本人のお米へのこだわりはすごい!と思っていたけど、南アフリカ人のパップへのこだわりもなかなかのものです。
僕はリンポポ州にいる時間が長いこともあって、ベンダ族のパップを主に、たまにズールー族のパップを食べています。でもコサ族は?あるいはツワナ族は?などまだまだ興味は尽きないところ。南アフリカ滞在中にどんどん開拓したいと思っています。
揚げ魚とパップ。リンポポ州の村の家庭にて
牛の内臓とパップ。ムプマランガ州の屋台にて
伝統的な野菜とパップ。リンポポ州の村にて
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